J-WAVE SELECTION

SHIMIZU KENSETSU

DIALOGUE
IN SILENCE

  • 2017.08.13
  • SUNDAY
    22:00-22:54

体験型ワークショップ「DIALOGUE IN SILENCE」。
聴覚障害者や聴覚障害のあるガイドや
トレーナーの助けを借りて、
参加者が⾮⾔語表現のレパートリーを
発⾒する静けさの中の体験です。
東京での開催までの道のり、開催にかける⼈々の思い、
参加者の体験談などを丁寧に取材し、
⾔語を超えたコミュニケーションの先にあるものを
探っていきます。
この番組は「サイレントラジオ」と題し、
YouTubeでの⼿話による同時放送を実施します。

「DIALOGUE IN SILENCE」にメッセージを送りたい方は、
「メッセージを送る」ボタンから専用フォームにて送信ください。

メッセージを送る

NAVIGATOR

SUPPORTER

INTERVIEW

DIALOGUEに関わる方々にインタビューを実施しました。

    • 総合プロデューサー


      志村 真介

      ダイアログ・イン・ザ・ダーク代表


      志村 季世恵

      バースセラピスト / 一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ代表理事

    • 企画監修


      松森 果林

      聞こえる世界と聞こえない世界をつなぐユニバーサルデザインアドバイザー


      森本 行雄

      厚生労働大臣公認手話通訳士 / 聴覚障害児入所施設 / 金町学園児童指導員 / 大学非常勤講師

    • ダイアログ・イン・サイレンス発案者


      アンドレアス・ハイネッケ

      ダイアログ・ソーシャル・エンタープライズ

    • アテンド・リーダー


      廣川 麻子

    • アテンド・リーダー


      大橋 ひろえ

SILENT RADIO

言葉の壁を超えた対話を楽しむエンターテイメント

⾳のある世界で⼈と⼈のつながりをつくるのがラジオです。
それではなぜ私たちJ-WAVEが、⾳のない世界のソーシャルエンターテイメント「ダイアログ・イン・サイレンス」を応援するのか?
それは、ラジオとは真逆の世界を知ることで、「つながる」意味を改めて学べるのではないかと考えたからです。
グッドデザインをテーマに放送を続ける私たちの新たなチャレンジが「サイレントラジオ」。
ダイアログ・イン・サイレンスの特別番組を⼿話通訳で届けます。
ラジオは、⽿だけではなく瞳でも楽しめるはず。
より良い社会をつくるソーシャルグッドな試みとなることを祈っています。

「ダイアログ・イン・サイレンス」公演,チケット情報はこちらへ

ON AIR ARCHIVE

番組で放送した内容をテキストでもお楽しみいただけます。

【板井麻衣子 ナレーション】
まずは、5秒間、「音のない世界」を感じてください。

はい、これで5秒です。ラジオの放送で、5秒間無音にする、というのは、ほぼありませんので、かなりドキッとしますが・・・、この「音のない世界」が、今夜の番組の舞台です。

8月1日から、新宿のLUMINE 0で、「ダイアログ・イン・サイレンス」というエンターテイメントが始まりました。

「サイレンス」辞書にはこうあります。 静けさ、無音、静寂。ダイアログ・イン・サイレンス。つまり、静けさの中での‘対話’。およそ90分間、12人ほどの参加者が 一緒に さまざまな体験をします。ただし、言葉を発しては いけません。音を遮断する高性能のヘッドフォンをして、完全な静けさのなか、どうやって ものごとを表現するのか、お互い、どうやってコミュニケーションをとるのか、これを考えていくプログラムです。

【DIALOGUE IN SILENCE 会場の模様】
それでは 大変お待たせいたしました。4時半の回 スタートしていこうと思います。お集まりいただいてもよろしいですか。はい。では皆さんの顔が見えるように、一緒に1つの円を作ってもらってもいいですか?じゃあ お姉ちゃん、こっちお願いします。はい。初めて会うメンバーもいますよね。ぜひお互い少し顔を見合っていただいて、挨拶をしてからスタートしていこうと思います。よろしくお願いしまーす。では 最終的なお手荷物の確認です。携帯電話、腕時計、音や光が出てしまうようなもの。全て預けていただけましたか?ありがとうございます。このあとは 音のない世界に皆さんをご案内するんですが、ここからは、声を・・・ 使わないでください。では そんな音のない世界を、ご案内するアテンドスタッフを紹介させていただきます。では どうぞ。はーい こんにちは。彼女は耳が聞こえません。ですが、音のない世界で過ごしているので、音のない世界でコミュニケーションをとることができるエキスパート、達人です。ぜひ、皆さんがうれしいことだったり、何かいいことがあったら、共有して 一緒に楽しんできてもらえたらなと思います。では皆さん 準備はよろしいですか?大丈夫?では出発していきましょう。

〔ドアの閉まる音〕

【板井麻衣子 ナレーション】
こんばんは、板井麻衣子です。今週のJ-WAVE SELECTIONは、ただいま、日本で初めて開催されている「ダイアログ・イン・サイレンス」。耳の聞こえない方がアテンドとなって、参加者を さまざまな体験にいざなうというプログラムなんですが、このイベントを通して、コミュニケーションについて、障害のある方、ない方、国籍が違う人、それから、子どもや高齢者。初めて会った人と どんな対話ができて、そこでどんな気づきがあるのか・・・。こうしたことを見つめていきます。

・・・と今の説明ですと、ちょっと堅いイベントなのかなと思われたかもしれないんですが、私も実際に体験をしてきました。まず第一に、エンターテインメントということで、とっても楽しいものなんです。そして多くの発見に満ちています。
この楽しさの秘密はどこにあるのか??実は、開催の2ヶ月ほど前から イベントの初日まで、準備の様子、スタッフのみなさんの気持ちの変化、そして、そもそも なぜ「ダイアログ・イン・サイレンス」を開催するのか、関係者の方々に取材をさせていただきましたので、このあとじっくりご紹介していきます。

そして、今夜の放送は、「サイレント・ラジオ」 と題してYouTubeのJ-WAVEチャンネルで、手話による同時放送も実施しています。ぜひJ-WAVEのウェブサイトをご覧ください。

J-WAVE SELECTION 清水建設 DIALOGUE IN SILENCE板井麻衣子のナビゲートでお送りします。

音のない世界の前に、光のない世界がありました。「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」。
暗闇のなかの対話。1999年に東京 初開催、その後、2009年から外苑前の会場で開催されてきました。真っ暗闇のなか、視覚に障害のある方がアテンドとなり、8人ほどの参加者と一緒に進んでいく、というプログラムです。これを考えたのは、ドイツ人のアンドレアス・ハイネッケさん。実は、その背景には、戦争の残した 深く、重く、受け止めがたい傷がありました。そもそもの始まりについて、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を手がけ、今回の「ダイアログ・イン・サイレンス」でも総合プロデュースを担当する志村季世恵さん、志村真介さん、そして、アンドレアス・ハイネッケさんご本人にお話をうかがいました。

【志村季世恵さん、志村真介さん、アンドレアス・ハイネッケさんインタビュー】
(志村季世恵さん)
アンドレアス・ハイネッケ。ドイツ人なんですけれども、お母さんがユダヤ人で、お父さん ドイツ人なんですね。お父さんとお母さんが結婚する時にお父さんが奥さんに条件を出して、ユダヤ人であることを伝えないでくださいって。身内の人たちに。で、結婚したんです。だからハイネッケ自身も、お母さんはドイツ人と思って育ってきたんだそうなんですけど、ある時に ユダヤ人の人たちがアウシュビッツに運ばれていく記録映画を見て、それを見た時に「この人たちがいたからドイツは負けちゃったんだよね お母さん」って振り返ってお母さんを見た時に、お母さんが涙をボロボロこぼして「私、実はユダヤ人なんだ」って話を初めて聞いて。ハイネッケは すごくびっくりして、お父さんとお母さんが実は戦い合ってた民族だったんだとか、そういうことを知って。そこからマイノリティ マジョリティに対してすごく興味を持つようになったんですね。特にマイノリティの人たちに対しての気持ちを理解したくて“なぜ そんなことが起きてくるのか”“なぜ 追いつめられたりとか弱者になってくのか”ってことを調べたくて、勉強を始め、哲学を学んだそうなんです。大学で。で、そこで争いとか戦いは全て対話で解決ができるんだっていうような内容の本を読んだそうなんです。

(アンドレアス・ハイネッケさん)
哲学を学んでいる時に、ユダヤ系の哲学者マルティン・ブーバーの本に出会いました。そこに“唯一の学びの方法は遭遇すること”という言葉がありました。これをきっかけにダイアログ=対話の大切さを考えるようになったのです。対話はお互い、そして自分自身への理解を深くします。対話を持つことで自分を知り、相手を知り、お互いを高めることができるのです。
(志村季世恵さん)
私たちが唯一の学ぶ方法は遭遇にある。そして対話をすることによって、学べるし解決がつくんだっていう本だったそうなんです。で、彼は対話の場をうんと考えていて、対等な対話の場を考え続けるんですね。それで暗闇だったらば対等な対話ができるんじゃないかなって考えて、たまたまその時ハイネッケの部下である人が視覚障害だったんだそうなんです。で、目が見えない人と関わっていくうちに暗闇をその場にしようと思ってそして暗闇を選んだ。でもその時彼の頭の中では、すでにもう聞こえない空間もあっていいんじゃないかと思ったそうなんです。

(志村真介さん)
彼の考えたアイデアの一番すごいところは、その当事者たちふだんから目を使ってない。人をそこで遭遇させるということだと思うんです。助けたいなと思う人に助けられる経験とか、アテンド自体も目を使ってないし、参加者も目を使ってない。そこに対等な出会いっていうのが一つあって、そこで対話を促していくっていうことなんですけど、今回のサイレンスの場合も聞こえない空間、しゃべらない空間を作ってそこでアテンドしていく、ナビゲーションしていくのは聴覚障害者のふだん音を使わずにコミュニケーションをとってる人たちがそこで遭遇していく。対等に遭遇していく

曲 Everything in it's right place / Radiohead

【「ダイアログ・イン・サイレンス」参加者の声】
(男性)
人とコミュニケーションすること自体が、やっぱり言葉があってもなくても面白いっていうことを確認して。雪景色がきれいなのは境界線が消えるからだって言った人がいて、雪が降る前は道があって家と家の間に垣根があったりして区切りが全部見えるけど、雪がバーって降ると境界線が全部消えてみんな一つに見えた時のあのきれいさとか、あの美しさみたいなこと言ってる人がいて。今日も、だからノーボーダーみたいな。なんかね、ノーボーダーだけ言うとキャッチコピーみたいなのでちょっと軽く使われちゃったりもするかもしれないけど、今日、ほんとにそれが起こってたなっていうのは実体験としてあったなと思って。

(女性1)
そうですね。やっぱり表情とか身振りとか、ふだんはあまり重視しなかったことが、人とコミュニケーションをとるには大切で、自分の考えを伝えるには相手の気持ちを考えながら伝えるのが一番近道なんだなって気づきました。

(女性2)
なんかすがすがしかったというか、何だろ。たまに耳の聞こえない方なのかなって見る方って、すごい表情が豊かだっていう印象があったので、今日 実際近くで接してみて、やっぱりほんとにすごい表現力が豊かで、言葉がなくてもよく分かった場面がいっぱいありました。

【板井麻衣子 ナレーション】
「ダイアログ・イン・サイレンス」を初日に体験したお客さんの声、お聞きいただきました。

「ダイアログ・イン・サイレンス」は、12人ほどがグループとなって、音のない世界で さまざまな体験をしていきます。まず 初めに“これからは声を出して話してはいけません”と伝えられて、静けさを生み出すために高性能のヘッドフォンをするんですが、その瞬間から完全に音がなくなります。聞くこと、聞こえること。ふだんそれを使っている人間にとって、聞こえなくなるということは、やはり不安とか恐れが先に立ってしまう。でもいろんな工夫があって、その緊張がだんだんとほぐれていくんですね。

実際にどんなことをするかというと何かの画像を見て、それで感じたことを顔で表現してみよう、というパートや手話の原形のような 手のサインが何を表しているのか、みんなで考えて、言葉を使わずに話し合うパート。こうした体験を 楽しく案内してくれるのが、音のない世界のエキスパートである、耳の聞こえないアテンドの方です。 私が参加した時は河合祐三子さんがアテンドを担当してくれたんですが、もう彼女の表現力がすごいんですね。顔の表情、体を使った表現、そして 私たちが何かを表現する伝えようとすると、すぐにそれを読み取って、把握して、表情や身振りでレスポンスをくれる。身体表現のボキャブラリーがものすごく豊富なことにとても驚きました。そのうち私たちも楽しくなって、こうやったらいいのかな、これだったら通じるかなと、いろんな工夫をし始めるんですね。そこは人と人のコミュニケーションなので、例ば一緒に体験する仲間、またアテンドの方によって、その対話がいかようにも変化していくということが、まず1つ面白いことなんじゃないかと思います。そして最後に“対話の部屋”というスペースがあって、そこで初めてヘッドフォンを外して感想を話し合ったりアテンドの方に質問をしたりするという時間があります。この時に初めて手話通訳が入ります。

そんな「ダイアログ・イン・サイレンス」を体験させていただいたあと、アテンドのリーダーのおひとりにお話をうかがいました。

【アテンド・リーダーの方インタビュー】
(板井麻衣子)
ではここで、ダイアログ・イン・サイレンスアテンドの方にお話を伺っていきたいと思います。手話の通訳は樋口さんです。よろしくお願いいたします。まず、お名前を教えていただけますか?

(大橋ひろえさん)
ええと・・・。はじめまして私、大橋ひろえと申します。

(板井麻衣子)
今回ダイアログ・イン・サイレンスに参加されたきっかけを理由を教えてください。

(大橋ひろえさん)
聞こえないっていうか、音のない世界をエンターテインメントで表すと聞いて、今までにない発想だったので、だからそこに私が参加すると、どんなふうに生まれ変わるというか、自分の中でいい刺激をもらえるのかなという発想からきて、今回この企画に参加しました。

(板井麻衣子)
ということは、ふだんは全く別のお仕事をしてらっしゃるんですか?

(大橋ひろえさん)
私は演劇の関係で、俳優をやっておりまして、さらに演劇のプロデューサーのような役割もやっております。

(板井麻衣子)
今回 ダイアログ・イン・サイレンス20日間の間に4千人近くいらっしゃるということですけど来たお客さんにどんなことを感じて帰ってほしいですか?

(大橋ひろえさん)
そうですね。最初はヘッドセットをしてるじゃないですか。その時点で皆さん怖いって気持ちになると思うんですよね。怖い世界を・・・私たちはそういう世界にいる。でも最後に外す瞬間の時に、その気持ちが私たちの世界を理解できる瞬間じゃないかなと思うんですね。だからそういう気持ちを一人一人多くの方に感じて、さらに聞こえない、音のない世界というのは聞こえる人たちが思ってるような怖いところではない、すごく楽しい世界であることを広めていきたいなと思います。

曲   Smile / Rickie Lee Jones

【板井麻衣子 ナレーション】
7月の土曜日、東京・青山のビルの一室で 研修会がおこなわれていました。初開催が迫る「ダイアログ・イン・サイレンス」のアテンドの研修会。聴覚障害を持つ方が およそ20人。アテンド候補のみなさんは、手話通訳を通して、あるいは、会話を文字化してくれる「UDトーク」というスマートフォンアプリで内容を読み取っています。その研修会のなか、参加者にこんな問いかけがありました。「耳が聞こえないことで、プラスなのはどんなことでしょう?」

【研修会の模様】
(女性1)
私接客業をやってて主人も外国人 外国人と関わることが多いんですけど普通の健聴の日本人って相手が外国人って見ると“英語しゃべれない 英語しゃべれないどうしよう”ってなるんですけどこっちは話しが最初から通じなくて分からないから“はい どうしました? どうしました?もう1回 もう1回 もう1回”“こっち こっち こっち”みたいな感じで(笑)ジェスチャーで積極的にコミュニケーションをとることができると思います。

(女性2)
私は2年前に聞こえなくなったんですけれども聞こえなくなって夫の文句 聞こえないから“そうね”って優しい妻になれました(笑)

【板井麻衣子 ナレーション】
夫の文句が聞こえないので、優しい妻になれています・・・。この答えには、かなり笑いも起きていましたね。同じ質問を、アテンドリーダーの大橋ひろえさん、廣川麻子さんにもさせていただきました。

【大橋ひろえさん、廣川麻子さんインタビュー】
(大橋ひろえさん)
やっぱり皆さん勘がいいでしょ。ふだんから聞こえない人は、相手が何を言いたいかを読む空気が小さい時から身についているんですね。だからその辺はものすごく勘がいいので、相手が何を言いたいのか先につかんでしまうってことがあるんですね。だからそういう面ではものすごくいい面だと思います。

(廣川麻子さん:通訳者の声)
そうですね。例えば海外へ行った時ですね。聞こえる人の場合は、音声言語ですので音声言語が分からないと通じない、コミュニケーションがとれないということがありますが、私たち聞こえない者は、それぞれ国によって手話は違うんですけれども基本的なベースの部分で似ているということがあるので、何となく手話をしていると通じるようになってくるんですね。それで聞こえない人同士っていうのはあっという間に友達になってしまうというのがあります。

【板井麻衣子 ナレーション】
この質問を考えたのは、「ダイアログ・イン・サイレンス」の企画監修を担当された松森果林さんです。ご自身も聴覚障害を持ち、聞こえない世界と聞こえる世界をつなぐ仕事をされている果林さん。この問いかけをした理由を教えていただきました。

【松森果林さんインタビュー】
(松森果林さん)
私もふだんは講演会を中心に仕事をしているんですけど、その時に質問される内容は“聞こえなくて困ることは何ですか”というのが多いんですよね。それはもちろん答えるんですけれども、でも逆に 聞こえなくてラッキーなこととかプラスになることっていうのはたくさんあると思うんですよね。そういうことを考える機会って意外となかなかないんだなと思って、この機会に皆さんに考えてもらいたいと思って1人1つずつ聞こえなくてよかったこととか、プラスになることとかを聞いてみました。一般的に障害があるとマイナスと捉えられることが多いと思うんですよね。でもそうではなくって聞こえないからこそ感じられる世界もありますし、むしろ音に頼る聞こえる人よりも豊かなコミュニケーションができると思うんですよ。そういうものを伝えたいなって思います。

【志村季世恵さん、志村真介さんからのメッセージ】
(志村季世恵さん)
どうしても障害者であることに対して理解してほしいとかその苦しみを分かってほしいとかっていう気持ちもあると思うんですね。だけれどもエンターテイナーになるっていうふうなことになってくと、そこを強みに変えていくことの力が必要で、そうすると すごくステキなことに私たちは障害はあるかもしれないけれども、これがものすごい文化となった強みだったんだということを理解していくんですね。

(志村真介さん)
これ両方が変化していくっていうのが面白いんですね。アテンドも変化していくし、お客様も変化していくし。実は運営のスタッフも変化していきます。

(志村季世恵さん)
双方向に“ありがとう”って対等に言い合えるのが一番うれしいって言うんですね。今までは 助けてもらってありがとうと思っていたアテンドの人たちが、街歩いていても何でも手を貸してもらってありがとうみたいな。そうではなくって来てもらってありがとうって言えて、お客様もこんなふうに楽しめたし、いろんなことが学べたありがとう、みたいな。そして、お互い成長して新しい世界をつくっていける。なんか感動する毎日がいっぱいあって、結構 泣きます。

【板井麻衣子 ナレーション】
2017年の夏。ひとつの出会いが、ひとつの変化を生み、ひとつの変化が またもうひとつの変化を生み、すがすがしく、あたたかく、嬉しい気持ちが、さざ波のように 広がっています。

板井麻衣子がナビゲートしています、J-WAVE SELECTION 清水建設 DIALOGUE IN SILENCE。新宿LUMINE 0で開催中、音のない世界での対話をテーマにしたエンターテイメント「ダイアログ・イン・サイレンス」。初開催までの道をたどりながら、そこに込められたメッセージを見つめています。

そして、今夜は、ひとつのチャレンジとして「サイレント・ラジオ」と題してYouTubeのJ-WAVEチャンネルで、手話による同時放送も実施しています。こちらは J-WAVEのウェブサイトでご覧いただけます。今回、このサイレント・ラジオにもご協力いただいている松森果林さんと森本行雄さんにサイレント・ラジオについて、コメントをいただきました。森本さんは、「ダイアログ・イン・サイレンス」の企画監修も担当されていて、普段は、手話通訳としてご活動、また、耳の聞こえない子どもたちの施設を運営し、大学で講義もおこなわれている方です。

【松森果林さん、森本行雄さんコメント】
(森本行雄さん)
耳の聞こえない人にとってみるとラジオは本当に縁がないところを、手話通訳が間に入ることで聞こえるラジオと聞こえない人をつなぐ、そういったパイプになれるんじゃないかという喜びがあります。

(松森果林さん)
今回のコンセプトの“誰も取り残さない”っていう言葉、すごく魅力的だなって思いました。

(森本行雄さん)
そうですね。私たちはふだん手話通訳の活動をやってて耳の聞こえない人とお会いしていると“情報補償”という言い方をよく使うんですね。漢字としては“補う”という漢字をあてるんですけど、例えば 聞こえない人に対しては聞こえている情報を耳は聞こえないですので目で見える方法、そういういろんな方法で情報を補って伝えていくということなんですね。そういった情報補償という言い方は、まだまだ一般的にはなじみがないけれども、実は耳がだんだん衰えていく高齢の方とか、そういう人もいるわけですから、これは決して聞こえない、いわゆる聴覚障害者のためだけの試みではなくて、いろんな事情で聴力が落ちていく人もいると思うし、ラジオを見える化するということは 決して聞こえない人のためだけのものではない、というふうに私もつなげていきたいなあと思っています。

(松森果林さん)
基本的には聞こえる人と同じ情報が欲しいなって思います。音楽が流れている時にもどんな音楽なのか、曲名とか歌っている人の名前とかそうした情報も知りたいですし、また静かな音楽とか穏やかな音楽とか楽しそうな音楽とかいろいろありますよね。そういうのも伝えてくれるとうれしいなって思います。人間っていうのは1つの感覚を失うと、ほかの感覚とか感性が無限に広がってくると思うんです。ですから聞こえなくなって、例えば夜空の星を見上げながら、星の音が聞こえそうだなって感じたりとか、そういう世界があるんですね。

曲 Across The Universe / The Beatles

【志村季世恵さんインタビュー】
(板井麻衣子)
ではここで、ダイアログ・イン・サイレンス総合プロデューサーの志村季世恵さんにお話を伺いますよろしくお願いします。

(志村季世恵さん)
よろしくお願いします。

(板井麻衣子)
今回 日本初開催ですよね。ダイアログ・イン・サイレンス。季世恵さんがアテンドの方の研修を行われたということですけれども、研修を行うにあたって難しかったことっていうのはどういうことですか。

(志村季世恵さん)
対話の部屋があるんですね。ヘッドセットを外して初めて健聴者と言われている私たちが、また声を取り戻して話をする。耳も聞こえてきているで、また改めて出会っていたアテンドが耳が聞こえない人だったんだっていうことを知る。そこで初めて、またいつもの状態になって対話をするってところが。結構大きなシーンなんですが、ややもすると対話の部屋が、障害者は大変なんだ、つらいんだ、苦しいんだっていうことになってしまうかもしれないという恐れがあったんですね。そうは させたくなかったんです。確かに大変な部分はいっぱいあるんでしょうけど、ダークを私は体験していて、大変な部分はあっても豊かな人たちであることを知ってるんですね。独特な文化も構築していて。それは聞こえない人も同じなことも知ってるんですね。ですから 大変な部分だけを伝えてしまうと豊かな部分は分からなくなってしまって半分になってしまう。私は どちらも体験してほしかった。

(板井麻衣子)
改めてこのダイアログ・イン・サイレンス今 どんなお気持ちですか?

(志村季世恵さん)
言葉にするのは難しいですね。もうね、身体表現したいぐらいです。私ね、サイレンス ずっと関わっていたでしょ。手話を私はほとんど覚えてないので、全てはジェスチャーだったんですね。そしたら それがうまくなったのか分かりませんけど、“この気持ちはこうなんです!”ってあ… 見えないね、でも、そうやって訴えたいぐらいに心と体が躍動するような、これ日本でできるんだっていうことがほんとうれしいんですね。今日本って表情が少なくて、笑顔も少なくて、ちょっと何だか こう…閉じてる感じがするんですね。その状態の私たち日本人に聞こえない人たちが“そうじゃないよ”って、“こうやってもっともっと関わろうよ”ってことが言える、それはもうね、なんか大変なことです。

(板井麻衣子)
この期間に多くの方々が実際参加をされて、チケットもとっても売れていて、来たお客様に季世恵さんご自身がどんなことをこのサイレンスを通して感じて、それを持ち帰ってほしいと思ってますか?

(志村季世恵さん)
そうですねこの前体験会があったんです。事前体験会それで学校が好きじゃなかったと言っていた、中学高校ほとんど学校行けなかったんだっていう女性が来ていて、その人が私にこうやって言ってくれたんですね。“やっぱり世界は一つなんだね”って言ったんですよ。それはその回は外国人の方もいらしていたし、あと聞こえない人も何人か来ていて、自分もいて、みんなが関わっていて、あっ 世界は一つだったんだよかったって言ったんですね。こんなに自分はどちらかというと引っ込み思案で、人と関わらない自分なんだけど、そうも言ってられなくてどんどん関わるようになっていって、通じるようになって、言語も全然使わない。言語っていうか音声言語を使わない。その中で通じるんだなって、世界は一つだったんだなって思ったって話しをしてくれたんですね。それを聞いた時にアテンドが涙をポロポロってこぼしたんです。私も初めてこの体験でそう思えたって。私もあなたも同じ体験をしていますねって言ったんですね。これはお客様もアテンドもどちらも気づいていて。なんかこう、相乗効果で何かがつかめていくと思うんですね。これはとても期待しています。どちらも変わっていける。

曲  Aqua / 坂本龍一

【板井麻衣子 ナレーション】
私が感じた世界を あなたに伝えること。
うまく伝われば、嬉しくて、ときに涙がこぼれます。
あなたが感じた世界を 私に伝えてくれること。
うまく伝われば、嬉しくて、ときに笑顔がこぼれます。

私が感じた世界を、あなたに届けること。
それは、音楽も同じこと。そして、ラジオも同じこと。

いまを生きるあなたへ、この想いが届きますように。
J-WAVE SELECTION 清水建設 DIALOGUE IN SILENCE。新宿LUMINE 0で開催中、「ダイアログ・イン・サイレンス」について、準備期間を含めて取材をさせていただいた模様をお送りしてきました。

私も今回体験をして、やはり最初は不安と怖さ。でもそこから自分の中で何かがちょっとずつほぐれていくというか柔らかくなっていくなんか温まっていくそんな感覚が不思議とあって、いったいこれ何なんだろうなということを考えるんですけど、やはりいろんな情報が四方八方から降ってくるこのご時世、ついついフィルターを厚くして物事を見てしまうような気がするんですよね。でもそのフィルターをできるかぎり取り除いて、ほんとにシンプルな状態相手を見つめて思いやって、何を伝えたいかな、相手は何を思ってるかなと。なんか優しさなんだなということを改めて感じまして。なんかこんなふうに人と人が目と目を見つめ合って伝えようとすれば、なんか世界ってもっと平和になるんじゃないかななんて、自分の想像以上に壮大な感想を持ってしまっているんですが。あとですね、チャーミングなアテンドの方にもお会いできましたし、人との接し方というか対話の仕方のヒント、これが詰まっていたように思います。静寂の中で自分だったらいったいどんなことを感じるのかぜひ多くの方に体験をしていただきたいなと思っています。

ダイアログ・イン・サイレンス」は、8月20日までの開催となっていますので、ぜひお出かけください。チケットもまだぎりぎり間に合いそうです。

そして、今夜は、「サイレント・ラジオ」と題して、YouTubeのJ-WAVEチャンネルで、手話による同時放送も実施しました。今回は、ラジオとして初めてのチャレンジでしたので、どう受け止めていただいたのか? ぜひ番組ホームページからご感想をお寄せいただけると嬉しいです。今後、どんなことを伝えていけるのか? 番組づくりの参考にもさせていただきたいと思います。

また、番組の内容は、テキストで、番組ホームページにもアップしますので、そちらもぜひご覧ください。

では、最後は、「ダイアログ・イン・サイレンス」の総合プロデューサー、志村季世恵さん、志村真介さんの言葉を聞きながらのお別れとなります。ナビゲーターは、板井麻衣子でした。

【志村季世恵さん、志村真介さんの言葉】
(志村季世恵さん)
オリンピック、パラリンピックがあるというのは、随分 頭の中に入っていて、“おもてなし”って言葉が出た時に、もてなしって何なんだろうって思ったんですね。ハードなおもてなしはできるとは思うんだけれども、私たち日本人がソフトな部分でもてなすっていっても英語ができない人って、外国から来た人たちを見た時に伏し目がちになっちゃったりとか、気恥ずかしくてウェルカムできないですよね。

(志村真介さん)
でも 聴覚障害の人たち同士でしゃべられてるのを見るとものすごく豊かな表現力が、手もあるし、表情もあるしすごいんですよね。だからそういう人と遭遇して、そういう人と出会うと、何か自分たちの表現力も変わっていく気がするんですよね。なんかそういう人たちが、社会をイノベーションしていくきっかけになるのは、この2020年を機会とするとすごくいいんじゃないかと思うんですよね。

【板井麻衣子 ナレーション】
「ダイアログ・イン・サイレンス」の体験が終わったあと、参加者は、聴覚障害を持つアテンドの方とハイタッチ、あるいは、あたたかなハグ。伝えること、伝えられることの楽しさを音のない世界で感じた喜びが そんなシーンにあらわれていました。そして、そんな体験が、対話が、人をかえ、街をかえていきます。2020年の さらにその先へ。希望の方角は、はっきり見えました。