2015/2/13 森の図書室の Hidden Story

今週は、お酒を飲みながら 本が読める場所、渋谷にある「森の図書室」のHidden Story。
森の図書室

「森の図書室」があるのは、森のなかではありません。場所は、渋谷の道玄坂。渋谷駅のほうから坂をのぼった右手。ビルの3階にあります。中に入ると目に飛び込んでくるのは、壁一面の本棚。その本棚に沿うように、木をベースにしたテーブルが並んでいます。

開設したのは、森俊介さん。

こういう形での図書室を作りたいと思ったのは、社会人になってからなんですけども、もともと中学生くらいのときに読んだ本に、おじいちゃんが自分で図書室をやっている話があって、それを読んだときに、「自分も将来、本に囲まれて暮らしたいな」と思ったことがあって、それが一番最初にこういうことをやりたいなと思ったきっかけですね。

図書室と言っても、普通の図書室ではありません。
お酒をはじめとするドリンクや簡単な食事のメニューもありますし会話もOK。
むしろたくさん話して欲しいというちょっと変わった図書室なのです。

本を読む読書って基本的に1人で完結する趣味だと思っていて、でも、好きなことって誰かにしゃべりたいし、しゃべったら楽しいしって思っているんですね、僕は。

そういう意味で、「自分の好きなことを、誰かとしゃべれる場所があったらいいな」と思いました。

好きな本は違うかもしれないけれど、少なくとも本が好きなスタッフはいるし、あわよくば本が好きな人同士、お客さん同士がつながっていただいて、好きなことの話ができる場所になるといいなと思っています。

会話のきっかけにもなりそうな仕掛けも用意されています。

例えば、コースター。  
そこには、森俊介さんがおすすめする本と、その本にまつわるコメントが書かれています。

さらに、飲食のメニューにはこんな工夫が施されています。

本を読んでて、本に出てくるこれ食べたいとか、これ飲みたいとかって、人によってはあるのかなと思っていて、曲がりなりにもそれをかなえるためにというか、本に出てくるメニューを作らせていただきました。

例えば、グリとグラのカステラとか、村上春樹さんの小説に出てくる料理だったり、ウイスキーだったりとか。

村上春樹さんの「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」に出てくる『セロリと牛肉の煮物』。角田光代さん、「彼女のこんだて帖」に登場する『ミートボール』。
有川浩さんの「植物図鑑」に出てくる『カレーもやし』。

読んだことがあれば思わず注文したくなる、そして読んだことがなければその本が読みたくなる。そんな 二度美味しいメニューがラインナップされているのです。

営業時間は、深夜1時まで。  
その理由について「森の図書室」の森俊介さんはこう語ります。

僕、本屋とか図書館もよく行きますし、本にまつわる場所は結構行っているほうで、学生のときとかって図書館をよく使っていたんですね。でも社会人になってからほとんど図書館を使ってないんですね。

というのも、仕事が終わる時間がすごく遅いので、公共の図書館って時間が早く終わってしまうじゃないですか。というのもあって、仕事が終わってから行ける場所があるといいのになと思って、それでちょっと遅くまでやっているというのがありますね。

図書室ですから、当然、本を借りることができます。
貸し出しシステムは、Facebook のアカウントを利用した仕組み。

また、中でも注目なのは、お店の一角にある 特別な棚です。

こちら側にある本棚、一応会員制でうちはやらせていただいているんですが(会員じゃない方でも全然来ていただけるんですが)、会員の方が「自分の選んだ一冊」を置いている棚があるんですね。

例えば、ステッカーが貼ってある本はそうなんですが、全部じゃないんですが、めくると(めくる音)選んでくれた方からのメッセージが入っていたりするので、見る方は多いですし、見てて楽しい本棚だと思います。

本読むときって、誰かから「この本面白いから読みなよ」って言われて読むことが多いと思うんですが、この棚はどれを選んでも、誰かが一番好きな本で。

誰かにおすすめしたい本が手にとれる棚になっているので。

もう1つ質問。
渋谷という場所を選んだ理由を教えてください。

僕がこういう場所を作って誰かに本を届けたいなと思った時に、いろんな人に届けたいなと思って、例えば、銀座とか恵比寿とか、そういう場所でやると来ていただく方が限られてしまうのかなと思って、でも新宿とか渋谷だといろんな人がいるので。

ちなみに、「森の図書室」について、森俊介さんの中には、こんなイメージもあります。
スタジオジブリ作品『耳をすませば』のような、胸がキュンとするような出会いが生まれる場所。

本をきっかけに人がつながったらいいなということですね。

なんか、結構、お客さま同士で付き合ったりするかなと思っていたら意外と生まれないんですよね。一組二組くらいは聞くんですけど、もっと生まれていい気がしているので。もっとみなさんキュンキュンしてくれたらなと思いますね(笑

本との出会い。そして、本を通して、人と人がつながる場所。
今日も、「森の図書室」に多くの人が集います。