2015/1/16 耐震住宅100%キャンペーンの Hidden Story

今週は、「耐震住宅100%キャンペーン」のHidden Story。

「耐震住宅100%キャンペーン」。
そもそものきっかけは、阪神淡路大震災でした。

実は僕らは、もともと1995年に、あの阪神淡路の震災を実際に体験した人と、その後、ボランティアで震災の復興の活動をしている人が集まってこの会社ができました。

どういうことかというと、当時、僕は商社にいて、もう1人は集成材の材木を作っているメーカーにいた人と、それから播繁先生というのは、構造建築家で長野オリンピックのエムウェーヴっていうのがあったんだけど、それを……世界最大の木造建築を……当時設計してた方。

その3人が「震災で壊れたのは人災なんじゃないの?」と切に感じてね……実は3秒以内に90%くらいの方が亡くなったという事が、後で分かったんです。建物による圧死というのがそのほとんどの死因だった……それは建物を強くするしかない。

今回、取材にお答えいただいたのは、「耐震住宅100%キャンペーン」の実行委員長、株式会社エヌ・シー・エヌ代表取締役社長の田鎖郁男さんです。
実は、エヌ・シー・エヌ、という会社を発足させた理由自体が、「耐震住宅を100%に」という想いだったのです。

地震の被害の中身を調査していくうちにあることに気づきます。

木造の自分の家で亡くなる方が本当にたくさんいらした。
木造家屋がものすごく弱かったんです。

あるとき僕は、播先生に「なんでですか?」と。
そうしたら、「木造住宅は構造計算しなくていいんだよ」と言われたんです。

ビルディングとか、構造計算でちょっと手抜きしただけで業務停止を受けたりするんですけど、木造住宅については、構造計算書を作る前に、提出しなくても建ててもいいよ、というルールなんです。

(2階建て以下の)木造住宅でも 構造計算をするべきだ。
株式会社エヌ・シー・エヌが設立された翌年、1997年からそんな呼びかけが全国の工務店に対して行われました。

構造計算の基本は、その建物がどのくらいの重さなのかを測るのが最初です。例えば、震度5くらいの地震だと、一般的な30坪くらいのお家だと40トンくらいの重さなんです。それが地震でガン!と揺れた時に、だいたい10トンくらいの重さがかかる訳です。横に。

10トンの重さで建物を押した時に、どのくらいの角度で傾くのか。重さを測って、地震のスピードを計算して。それに対して柱や梁が壊れないだけの強さを持ってますか?というのを検査する。

実際に、もう18年やってますから、中越の地震もすごく大きかったですし、東日本大震災では地震のスピードというよりは津波の被害だったんですが、その両方に対して、この構造計算を施した建物は、結局、1棟も倒れなかったです。

「構造計算をしっかりして、性能を保証して、お家をお渡しする」という事を。全国の建設会社さんや工務店さんに、このノウハウとかやり方を広めていく。

震災を終えて、みんな大変な想いをして、ただ、少しでも災害が次の人のための糧になるのであれば、我々は前に進める気がしますよね。だから、悲しい想いをしたけれども、民間の運動としてちゃんと残していく。
それが耐震100%の想いなんです。これが100%になるまで頑張る。

「耐震住宅100%キャンペーン」では、もう1つ、こんな活動も展開されています。

「残したい建物を残そう」というのも、耐震100%のキャンペーンの中でやっています。
日本には、木造の、すごく美しくて、残したいものってたくさんあるんですよ。

東日本大震災の時に、僕らの会社も仙台や石巻にボランティアに行ったんですけど、松島の丘の上にカフェがありました。ロアンと言うんですけど。
ところが、震災の時にちょこっと壊れたんです。そしたら、国は耐震不適格だということで壊すというんですよ。

確かに壊して作り直したほうが、安全な建物が安く出来ることは間違いないんです。でも、僕らの思い出もその建物が好きだったんです。でも耐震性がないという理由で壊されたんです。

どうしたらいいかと。
じゃあ、残したい建物は僕らが構造解析をして、耐震性のある建物に補強しておけば壊されないで済むから、「みんなでそういう建物を集めて守ろう」という活動を始めました。

全国から集まった「残したい建物」のうち、1つについて、構造解析、そして、補強が行われます。

耐震性を取り戻す工事を、みなさんの前で披露すれば、「俺の家も、俺の思い出の建物も、残すことが出来るかもしれないな」とみんなが思ってくれれば。

阪神淡路大震災をきっかけに始まった「耐震住宅を100%にしたい」という呼びかけに対して、これまでの18年間で全国の工務店など520社が賛同。 安全な暮らしのために、さらなる挑戦が続きます。


住宅を建てる予定のある方、新たに賃貸契約を結ぶ方も、このキャンペーンのサイトをぜひチェックしてみてください。
耐震住宅100%キャンペーン