2015/1/2 Sun Pad 10 の Hidden Story

今週は、バッグに入れて持ち運ぶことができるソーラーパネル。
Sun Pad 10 の Hidden Story。

A4の用紙より、ほんの少し大きいくらい。
重さは、407グラム。 厚さは、3ミリ。
しかも、スマートフォンを急速充電。
iPhoneならば90分でフル充電できるという性能を持っています。
まるで下敷きのような10ワットのソーラーパネル、「Sun Pad 10」。

これまでの小型のソーラーパネルというと、名刺くらいの大きさのものがよく売られていてテレビでも便利グッズとして紹介されてきたと思うんですけど、街なかで実際それを使っている人をなかなか見ないですよね。やはり、「全然発電できない」と、「携帯電話の充電ができていない」という声が強かったんです。ソーラーパネルでやるからにはきちんと充電できないと。また再生可能エネルギーについての関心が高いですが、「なんだ、ソーラーパネルって発電しないじゃん」という声になってしまうわけですね。ですから、こういう手頃なものでもきちんと発電をさせて、「太陽光でも結構いけるじゃないか」とみなさんに実感していただくことが、社会的な役割としてはあるかなと思っています。

取材にお答えいただいたのは、株式会社システムトークス、代表取締役の板坂太郎さん。
この商品の開発で、性能と並んで重視されたのは、持ち運びやすさでした。

薄くて軽くすることがテーマで、そんなの誰でもできるだろうと思われるかもしれませんが、実はここに載っている太陽光のセルというのは、ガラスよりもっともろいものでちょっと触っただけでパリンと割れてしまうんですよ。よくソーラーパネルというと、外側にアルミのフレームががっちりしたのが付いていると思うんですけど、あれは風が吹いても絶対に曲がらないようにしないといけない、ということですね。ちょっとでも曲がったら割れてしまって、1カ所割れると断線しますので、全部パネルが動かなくなってしまうんです。強度をどれくらい強くして、さらに薄くして軽くするにはどういう材質でどういう構造をとればいいかが最大の悩み。

さらに、大きさについては、何度も議論が交わされました。

なかなかビジネスバッグに入るサイズにおさまらないんですね。最初作った試作はこれより一回り大きいわけです。社内でも議論がありました。「もうビジネスバッグに入るサイズはあきらめましょう、無理だから」という声が出てくるんですけど、「いやいや、それは譲れないと。ビジネスバッグに入らなかったら意味がないと」。このサイズできちんと充電できることが重要だ、ということで、とにかくサイズは絶対動かさない。そのなかでじゃあどうやったらこのサイズでおさまるかということで、厚さを少し厚くすることで、外側のフレームで補強しなくても、この板だけで強度が保てるようにすることで、このようなつるつるの下敷きのような形に出来上がってきた、ということですね。

開発にかかったのは、およそ半年。
当初の見通しの 倍以上の時間が かかりました。

ソーラーパネルはいろんな階層があるんですね。補強している層とか、防水の層とか表面の層ですね、ガラスを使っていたりとか、こちらはペットボトルのペットの材質なんですけど、こういったものを重ねて、真空にして、そこにある温度をかけて圧着させて固めていくという手法をとるんですね。この温度が低すぎると、今はくっついていてもしばらくするとはがれたりとか。材質と温度と時間と、いろんな組み合わせをしないとうまくできないんですよ。提携の工場があって作っていただくんですけど、そこに材料を持ち込んでああだこうだああだこうだやるんですけど、工場も忙しいので、夜の10時くらいからやりましょう、と、1時2時とかそういう感じですね。ずっと試行錯誤する、という形になりますね。

薄くて軽い、Sun Pad 10。
太陽光で発電出来るということは、大きな災害などで停電が発生したときも、自分で発電をすることができます。これも大きなポイントです。

防災用途、という部分があります。震災のときでいうと、電話が通じないと。ずっと電話かけてないといつつながるか分からないからかけていないといけない。するとすぐに電池がなくなってしまう。充電できる手段がない。そういう声が多かったということですね。この小型のソーラーパネルをカバンの中に入れていただければ、東京中が停電になっても、とりあえず私の携帯は、日中晴れていれば充電できる、ということになるんですね。こういう風に普段から使っているものが防災のときでも役立つ、というのは常々開発で考えているテーマです。

最後にHidden Storyをもうひとつ。
下敷きのような形のソーラーパネルSun Pad 10。
角が丸くなっていますが、その理由は?

角を丸くすると、収納がカバンに入れる時にすっと入るんですね。角がとがっていると引っかかっちゃう。私もものぐさでノートとかが引っかかっちゃうとイライラするんですよ。そのイライラっとすることがあると、こんなの入れてらんないよと思われてしまう。機械っていうのは使ってお客さんの役に立って、その役目を初めて果たせるんですね。人の役に立つものを作らなければならない。そのためには使い勝手も大事で、角を丸くしようと。コンピューター上で、1ミリとか0.5ミリ単位で削ってカーブも変えて、こういうデザインができてくるんです。正直それやっているときはとても楽しいです。見つけたぞ、みたいな。

晴れた日には、ランチタイムにこれを持ち出して、お昼を食べながら太陽光発電。
未来の話ではありません。
今すぐ、 あなたも自然エネルギーを作ることができるのです。