2014/11/28 はやぶさ2の Hidden Story

「はやぶさ2」のHidden Story。
JAXA(宇宙航空研究開発機構)の安倍正真さんに伺いました。

傷だらけになりながら何とか地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」。
その初代「はやぶさ」が成し遂げられなかった事を 確実に実行する。
そんなミッションを果たすべく生まれたのが「はやぶさ2」です。

はやぶさは、「太陽系の小さな天体である小惑星に探査機を送りこんで、その近傍の観測とともに小惑星の表面の物質を地球に持ち帰る」という事をやりました。

地球の歴史を探る上では、地球に残っている情報を調べるのが簡単ですが、地球は「大きく成長する中で、表面がドロドロに溶けてしまった」と考えられていて、過去の情報が残っていないんですね。

だけど、小惑星のような小さな天体は「表面がドロドロに溶ける」というような事が起きていないので「太陽系が出来た頃の情報が、そのまま残っているだろう」という事で、地球がどうやって出来たのかを調べるためには、小惑星みたいな小さな天体を調べたいという事で行なったミッションです。

はやぶさが探査した小惑星は温度が高くなっていた事が分かっていて、水とか有機物のような揮発性の高いものは、ほとんど残っていないという事が分かりました。

地球の海とか生命の起源を知るためには、今度は、そういうものが残っている天体を調べたいという事で「はやぶさ2」が計画されています。

地球の起源を知るためには、揮発性の高いもの—つまり、蒸発しやすい水や有機物—を調べる必要があるのです。

有機物や水がどうして地球にもたらされたかは分かっていないんですが、それを小惑星と通して調べるという目的があります。

仮の名前として、1999JU3という名前の小惑星に行く事が決まっています。
小惑星の軌道としては、地球と火星の間を回っている小惑星に行きます。

小惑星に到達するまでにかかると見込まれている時間は、およそ3年。
しかも、打ち上げた後も、細心の注意が必要とされます。

探査の仕方というのは、打ち上げた後に慣性飛行といって、「軌道を変えないで天体に辿り着く」という方法が取られるんですが、はやぶさとか、はやぶさ2の場合には、イオンエンジンという非常に燃料効率が良い推進機を使っているんですが、燃料効率が良い代わりに、その都度、小惑星と地球の間の軌道の途中で、軌道を常に変えて行くという操作が必要になります。

「日々、探査機の状態を見つつ、軌道を変えて行く」という操作が必要なので、ほかの探査と比べると非常に難しいと言えます。

「『探査機がどこにいるか』という情報も常に調べる」という事をやり続けながら、見失わないようにするというのが難しいところですね。

本当に0.00何度変わるだけで電波が弱くなっしまう世界なので、アンテナの向きを調べるのは非常に難しいと言われています。

はやぶさ2が目指すのは、全長1キロメートルほどの小惑星。
そこに降り立ち、水や有機物を地球に持ち帰る事が目標です。

非常に小惑星が小さいという事で重力が小さいので探査機が何かしようとすると、探査機自身が重力の反動というか、探査機がやった事の反動で小惑星から離れてしまうんですね。

宇宙飛行士が月面でぴょんぴょん飛び跳ねているのをイメージしていただければ良いかと思うんですが、あれよりもさらに重力が小さいので、何かものをつかもうとした途端に探査機が離れてしまう。

なので、「探査機自身は小惑星の表面に触れると同時に、5グラムくらいの金属製の弾丸を小惑星の表面に300メートル毎秒という速いスピードで打ち付けて、小惑星の表面を打ち砕いて、破片がいっぱい舞い上がってくる。それをある容器でキャッチする」という事を考えています。

さらに、「探査機が小惑星の上空1キロくらい離れたところからものを放出して、打ち当てて、大きなクレーターを、穴を掘り起こします。そのクレーターが出来たところに、探査機が降り立って、先ほどの方法でサンプルを採る」という事を行います。

問題は、重力が小さい事。 さらに、そこは誰も知らない場所なのです。

月とか火星の探査というのは、当然、事前の探査機があって、そこの地形とか情報がよく調べられているので計画が練りやすいんですけど、特に、はやぶさのときには、小惑星の表面がアポロが探査した月のようなサラサラした砂のような状態なのか、砂みたいなものは全部飛び散っていて岩の固まりで、ハンマーなどで砕かないとサンプルが採れないのか分からない。そんな中で、弾丸を打ち付けて舞い上がらせたものをキャッチすれば良いだろう、というのははやぶさの時に考えついた方法で、誰にも真似されていない。そしてそれは、はやぶさ2にも受け継がれています。

「初代はやぶさ」のときには、うまく作動させられなかった、弾丸を撃ち込む仕組み。
そのシステムの 本当の力を発揮させる時がやってきます。

はやぶさ2、サイエンスチームのメンバー。
安倍正真さんは、こう語ります。

地球でいえば「大航海時代で新大陸を探して行く」という事の宇宙版だと思って貰えれば良いと思うんですけど、我々は宇宙を探査で来て、さらには太陽系の歴史が分かる、地球の起源、生命の起源に迫る事が出来る。そんな時代になってきた事を感じていただければと思います。

わたしたちはどこから来て、どこへ行くのか?
地球の起源、生命の起源に迫る旅がふたたび始まります。


打ち上げ予定は、明後日、2014年11月30日(日)午後1時24分48秒。
インターネットでの中継もあるようですし、全国各地でパブリックビューイングも予定されています。

ライブ中継:はやぶさ2特設サイト