2014/9/5 9h(ナインアワーズ)のHidden Story

今週は、成田空港に開業したカプセルホテル、9h(ナインアワーズ)のHidden Story。

成田空港第2ビル。空港からも駅からも徒歩1分。分かりやすいサインがあちこちに表示されています。料金は、1泊3,900円から。7月20日、そんなカプセルホテル「ナインアワーズ成田空港」がオープンしました。
この「ナインアワーズ」。最初に開業したのは、京都でした。

もともとナインアワーズを京都で作ったときのコンセプトが、「都市の中で24時間トランジットする」という、「ホテル業とか宿泊業ではなく、トランジットサービスを提供するんだ」という考え方で京都にオープンさせたんですけど。

そういう意味では、コンセプトの段階で、空港とか駅とかサービスエリアとか、24時間不特定多数の人が行き交う場所にナインアワーズを機能させたい。というのはずっと思ってたことなんですね。

京都の街を本当に楽しんでもらいたいと思って作ったんですけど……よく言うのは、1泊目は俵屋に、2泊目はナインアワーズに泊まってくださいって言うんですけど……僕らの「2泊目はナインアワーズに」って言ってるのは、夜遅くまで京都の街を楽しんで、翌朝早くお寺参りを楽しんでくださいっていう、そういう街に対して開かれた活動的な滞在を楽しんで欲しいという事で、それもトランジットの1つというか、京都の街の中でトランジットするという。

そして、なぜこうしたホテルを作ろうと考えたのかというと……

自分が何か商売をするなら、世界に輸出するビジネスをやりたいと思っていたんですね。

たまたま、僕が秋葉原でカプセルホテルをやっていて、それを相続しなければいけなくなってですね、せっかく相続したんで、世界に輸出できるビジネスにしようと思って始めたのが2006年くらいですかね。

おそらく近い将来、映画の舞台になりそうな、近未来的な空間。
シンプルで質の高いアメニティ。
このホテルの事業全体のデザインを手がけたのは、プロダクトデザイナー、柴田文江さんを中心としたチームです。

カプセルホテルがもともと持ってる事業上の良さはあると思ったんですね。

坪効率が圧倒的に良いとかですね、機能が明確というか無駄なものがない、というのは非常に良いところだと思ったんですけど、普通の人の普通の道具になってないじゃないですか。それは、コモディティな道具になっていない最大の理由は、デザインされていないからだと思ったんですね。

で、1から10まで事業全体がデザインされているようにしたいという事を思って、それで、柴田文江さんというデザイナーさんと出会えて一緒に作っていただけたということですね。

チェックインカウンターに向かって、左側が男性。右側が女性の宿泊スペースになっています。

カプセルの数は、男性が71。女性が58。
提供するのは、「眠りとシャワー」。
それだけに、その「質」は徹底的に追及しました。

たとえば、ハンドソープ。

実際手を洗っていただけると、ハンドソープの匂いが分かると思うんですけど、これは玉の肌石鹸さんという墨田区で100年以上続く老舗の石けんメーカーさんの製品で、005番のフィグといういちじくの香りです。

ディレクター:いい香りです。

で、見ていただくと、カプセルがずっと並んでいるんですけど、旧来型のカプセルとそんなに大きさはかわらないんですけど、テレビがないとか、あと、きちんとデザインされたものなので印象は違うと思いますね。

マットレスは西川産業さんにつくっていただいたオリジナルのものなんですけど、厚さ8センチなんですけど、全然底づき感がないと思いますね。枕は、名古屋の北村さんていうこれも100年以上続いている枕のメーカーさんですね。ですから、アメニティもそうですし、眠りに関しても寝具は、日本の数百年続くものづくりの会社さんの技術に支えられていると。

チェックインすると 渡されるのは、ロッカーの鍵と、館内着とタオルです。

男性女性でサイズが分かれているんですが、これが館内着ですね。ワンピース型のパジャマです。タオルは、バスタオルとフェイスタオルがひとつずつなんですが、触ってみてもらうと多分違いがわかると思うんですが、これはエジプト綿ですね。これもいろいろ試してですね、手に取るともっとフワっとした風合いのものとかあるんですけど、洗濯試験などをした結果、僕らが一番安定して品質を堂々と言えるのがこのエジプト綿のタオルだったんですね。

1時間のシャワー、7時間の睡眠、1時間の身支度。
あわせて、9時間。
ナインアワーズがデザインしたのは、心地よい滞在でした。

本当に豊かってどういうことか、ずっと議論してきたんですよ。

僕ら、部屋という概念を捨てた代わりに、品質を研ぎすまそうと考えたわけですけど、本当に安心して気持ちよく使ってもらうものだけを提供したいと思うんですけど、本当に豊かっていうのは、徹底的に川上までさかのぼって品質をコントロールすることじゃないかなと思って、ここに至ったんですね。

トランジットサービスを提供する、というコンセプトで作られたカプセルホテル「ナインアワーズ」。
今後は、都心。さらには、世界への「輸出」も 視野に入っています。


成田で早朝のフライトの時など、これは嬉しいですよね。
しかも、アメニティや寝具は、日本の老舗メーカーのもので、宿泊料金は3,900円から。
9h(ナインアワーズ)