2014/7/25 白石尚久さんの Hidden Story

今週は、スペイン 4部リーグのサッカークラブ、「ガバ」のコーチを務める日本人、白石尚久さんのHidden Story。

白石尚久さんのフットボール・ヒストリーは海外での挑戦の連続です。選手として、アルゼンチンで4年、フランスで3年、下部リーグの セミプロ・チームでプレー。その後、帰国して広告代理店に勤務されました。そして……

「やっぱり僕は指導者をやりたいな」というのがふつふつと出てきまして、自分が目指しているサッカーとか、ヨーロッパとか南米で見てきたものを表現したい。で、海外でやってみたいなと。世界中に履歴書を送ってですね、自分の興味があるクラブをインターンでぐるぐる回っていたので、そこに正式にお願いをしたと。

実は、白石さんは、インターンという形で、
ヨーロッパのクラブを回っていました。
アーセナル、チェルシー、フェイエノールト、モナコ、ニース、バルセロナ。
それぞれのアカデミーやリザーブチーム、あるときはトップチームの練習にも参加しました。

トップチームの選手が練習してますよね、その横に監督さんとかコーチの方とかたくさんいる中で、そのピッチの横に立って、実際どういう風に指導してて、どういう事をやってるかを横で見て……

ディレクター:では、ベンゲル監督がいて?

ベンゲル監督と直接お話させていただいて、どういう風にチームマネージメントをしているか、練習メニューを見学させていただいて、練習終わったあとに、質問とか、どういうことをやってるのかとか、1週間のトレーニングを全部。

で、もうひとつは、グアルディオラ……現在バイエルン・ミュンヘンの監督ですが……僕がインターンで見学に行ったときにはバルセロナのBチームの監督をやっていて、そのときに、ベンゲルさんのサッカーを、パスサッカーでポゼッションで攻撃的なサッカーをどこにあるんだろう?と、アーセナルしかないんじゃないかな?と思ってたら、それがたまたまFCバルセロナに行きまして、リザーブチームでやっているグアルディオラのサッカーに魅了されて、これはすごいなと。

白石尚久さんは、ヨーロッパのクラブに履歴書を送りました。さらに、それぞれのクラブを直接訪問。
しかし、一番行きたかったアーセナルには 断られてしまいました。

チェルシーも可能性ありそうだったんですけど、アーセナルがダメで、どうしようかなと。

「じゃあ、ちょっと最後にFCバルセロナあるから行ってみるか、バルセロナは知り合いもいるし」
って、そんな感じだったんですよ、本当に。

で、行って、じゃあ、グアルディオラの練習でも見てみるかと、トップチームはダメだって言ってるからリザーブチームだったらいいよって言うんで行ったら、なんじゃこらと。ベンゲルよりも、アーセナルよりもすごいサッカーをやってるぞと。それで何としても入れてくれと(笑)びっくりして。なんだこのサッカーと。

2008年の夏。白石さんは、FCバルセロナで仕事を得ました。
6歳から9歳の7人制のチームを 教えることになったのです。
サッカー指導者としてのキャリアが、バルセロナで始まりました。

2010–2011シーズン、バルセロナと業務提携しているサンガブリエルというクラブのU15(15歳以下)のアシスタントコーチに就任。さらに次のシーズンは、U12の監督。翌年には、女子のトップチームと U13の監督を兼任しました。

僕は女子の監督になったときにベテランの選手はほとんど切りまして、23人のうちベテランは4名だけにしました。あとの選手は16歳から20歳くらいで、16歳の選手は最年少でプロ契約しまして、トップチームのコーチングスタッフ、アシスタントコーチとゴールキーパーコーチはバルセロナから。

で、僕がFCバルセロナに32歳のときに入りまして、当時、グアルディオラが36歳で1部リーグでデビューしたんですね。
その時に僕も「36歳で監督をやりたい」と目標設定をしてたんですね。

そうすると、僕、誕生日が10月28日なんですけど、その前ですよね、36歳の8月の時点で「来シーズンの監督はキミだ」と言われて、36歳で、スペインに来て5シーズン目で、プロのチームの監督。女子のですけど、一部リーグの監督になりました。

白石さんは、とにかく、すべてを出し切ろうと考えました。

自分が今までインターンとかサッカー選手とかやってきたなかで、いろんな国でいろんな人に話を聞いたサッカーノートが大量にあるんですが、その中から引き出しを全部やろうと。

首になろうが、やりたいことは全部やろうと思いましたね。

結果はですね、当時16チームありまして、8位以内が国王杯に参加できるんですが、シーズンスタートして16チーム中12位13位とかが、最終的には8位で国王杯に参加することになりました。

嬉しかったのは、FCバルセロナの女子の監督から16チーム中、唯一、FCバルセロナのようにスペースをつくってボールを運んで攻撃的なスタイルでサッカーをしているのは、唯一僕のチームだけだと。

白石尚久さんは、昨シーズンの途中からスペイン4部リーグ、ガバというクラブのコーチを務めています。
そんな白石さん、今後の目標は?

やっぱりヨーロッパの1部リーグで監督をやりたいですね。

ただ、現実的な目標としては、アーセナルでベンゲルと働きたいというのが1つと、今、現実的に本当に近い存在であるルイス・エンリケとウンスーエと働きたい、というのが実際やりたいことです。

そのあとで欧州の一部リーグで監督をやりたいです。それが僕のやりたいことです。

バルセロナの新監督ルイス・エンリケとアシスタントコーチのフアン・カルロス・ウンスーエ。縁あって、彼らと知り合った白石さん。今シーズンは、ふたりから教わるバルセロナのメソッドで、ガバを指導します。

魅力的な街バルセロナで、魅力的なサッカーを目指す白石さん。
視線の先にあるのは、ヨーロッパ一部リーグでの監督です。


スペインから一時帰国された際に お話をうかがったんですが、1部リーグでの選手経験はなく、しかも指導者としての経験も
バルセロナの6歳から9歳の7人制のチームを教えたのが最初だった、という白石さん。
着実にステップアップして、4部のコーチまで来ました。

目指すのは、「ヨーロッパの一部リーグでの監督!」とのこと。
今後のご活躍、期待しています!