2014/2/28 東北被災地支援 Precious の Hidden Story

今週は、東日本大震災の被災地を支援するプロジェクト「プレシャス」のHidden Story。
東北被災地支援 Precious(プレシャス)

「プレシャス」が手がけるのは、被災したみなさんに編み物で商品を作ってもらい、それを販売する、というプロジェクトです。
立ち上げたのは、エシカルデザイナーの野田治美さん。
震災後、野田さんは、被災地のために何かをしたいと考えていました。

当時、私も含めて、フリーランスの人も仕事を失う中で、なかなか「現地で仕事を見つけるというのは、きっと難しいだろうな」と感じたんですね。 ただ、現地の人たちが出来る事というのは分からないし、私もネットワークが無い中で。

とにかく、女性は手先が器用で、手編みができる方って多いんですよ。
とりあえず、手仕事。 手編みとかで何か作るプロジェクト。

そこから、わずかで良いから収入を得られるような……そこから喜び……支援って、究極的には、生きがい、希望が生まれることが一番私は活力になるし、大事だなと思うんですね。

「みなさんに編み物をしてもらおう」と思ったのには、理由があります。

仮設の中でできることと、というのも考えたんですよ。

とりあえず最初は手編み。
ということで、実はもともとアパレルにいた、ということもあって、毛糸を送ってくれないかということも声かけをしていたんですね。

最初はですね、みなさんで編み物をしましょう、ということで事前に声かけをしていただいたんです。
何月何日、毛糸も棒針も用意してやります、雇用支援を考えている団体です、というのをインフォメーションしてもらったんですね。

宮城県東松島市、矢本の仮設住宅。
20代から70代まで、30人ほどの女性が集まりました。

仮設って、場所によっては、ひとつのエリアから移住した人とかいろんな仮設があって、矢本の仮設はいろんな場所からいろんな人が集まっていたので、ちょうど私たちがやったときには、そこがオープンして半年は経っていたんですけど、ほとんど顔を知らない関係だったんですよ。
だから編み物を楽しむというよりは、そこで初めて顔をあわせるような。

ですから、とりあえずは、そこで、みなさんでワイワイと編み物を楽しみましょうと。
そういった中で、みなさんが交流しあうことが大事だなと思ったんですね。
まずは、そういったことから入っていきました。

最初は、道具も少なかったので、「指あみ」。
つまり、指で編む、という方法でスタート。

そして、活動を続ける中で、プロジェクトはもうひとつの意味を持つようになります。

最初は、アパレル企業から提供された毛糸などを使っていましたが、ある時点で方向が変わります。

「家庭で余っているものを上手く利用したい」という風に少しずつシフトしていったんです。

そこで「さきあみ」という手法を、私も「さきあみ」って知らなかったんですよ。
結局、これは、みなさん着ているジーパンとかシャツとかを手間ひまかかるんですけど、解体して、それを1センチくらいのテープに切って、それを編むんですよ。

だから、正直、大変なんですけど、でも着ない洋服を捨てるのではなくて、新しい命を、それも、こんなにオシャレなものができるんだよ、ということで、リサイクルではなくて、アップサイクルって呼んでるんですよね。

着なくなった洋服を さいて 編む。
「さきあみ」という方法でリサイクルではなく、アップサイクルなモノづくりが 始まりました。

今みなさんに毎日作ってもらっているのが、日常的に使えるキッチンマット、なべしきです。 いわゆる。

ディレクター:これは何を?

これはワンピース。 柄の。
ですから、同じものはないんですよ。ひとつの洋服で、ひとつかふたつしか作れないんですね。

あとはコースター、ハンガー。
この3アイテムが、みなさん今作ってもらってるんで。
あと、バッグはすべて一点ものなので。

野田治美さんに最後に伺いました。
プロジェクトを続ける中で、いま、どんなことを感じていますか?

今は、現地が自立できるような形で持っていっているんですね。
やっぱり自立できることが一番なので。

そういう意味では、実はいま、アパレルからオリジナルで現地で作るっていう、オリジナル企画の注文も入ったりとか。
現地の人も、自分たちで自主的な販売できる形を作っているので、徐々にそういった形も作りつつ、サポートしていきたいと思っています。

プロジェクトのフライヤーには、こう書いてあります。
「手仕事がつなぐ人と希望」。

人と人をつなぎ、そこで価値のあるものをつくることで、生きがい、希望を生み出したい。
野田治美さんの活動は続きます。


震災の被災地に暮らすみなさんに「編み物」をしていただき、収入につなげてもらおう、というプロジェクト、「プレシャス」のHidden Story。 お届けしました。

お話に出てきた「さきあみ」による品々が、今、代官山 蔦屋書店で展示販売されています。
また、2014年3月3日(月)の夜7時から、野田治美さんによるトーク&ワークショップのイベントが開催されます。

お問い合せ:代官山 蔦屋書店
03-3770-2525

代官山蔦屋書店のちいさな手芸教室