2013/11/29 PANDA BLACK の Hidden Story

今週は「着なくなった服を、黒く染めることで生まれ変わらせよう」というプロジェクト。 PANDA BLACK の Hidden Story。
» PANDA BLACK (WWFジャパン)


取材にお答えいただいたのは、WWFジャパン広報室の大西悠さん(以下、大西)と、HAKUHODO THE DAY の牧野圭太さん(以下、牧野)、柴田賢蔵さん(以下、柴田)。
まずは、WWFジャパンの大西さんに、このプロジェクト「PANDA BLACK」について説明していただきました。

大西:「PANDA BLACK REWEAR PROJECT」というんですけど、「服のリサイクルをすることによって、地球環境に配慮したライフスタイルを選ぼう」という趣旨で始まったものです。

具体的にはですね、着古してシミがついてしまったりとか、色があせてしまったりとか、黄ばんでしまったりとかで、着なくなってしまった服ってありますよね。 そういう服を黒く染めることで、シミですとか、傷とか、黄ばんだところを隠して、黒にして、もう1回着なおそう。 なので RE-WEAR。

プロジェクトが始まったのは、今年6月。

牧野:「世の中の9割のデザイナーが、世界の1割に人のためにしか仕事をしていない」と。

そうじゃない、世界環境だとか、エコロジーだとか、そういうところに「クリエイティブで出来ることはないかな」と思って、WWF さんにご連絡をして、僕がいきなり突撃して行ったところから始まっていて、それで、お話しているなかで、ひとつ、たまたま見かけた中に「服を大切にしよう」と。

日本っていろいろ服を買うけど、すぐに捨ててしまう。
それって環境にとっていいことじゃないよね。
そういう話を伺って、僕たち2人で何をしようかと企画を考え始めたところから始まっています。

柴田:突然、牧野から「飲みにいきませんか」って、飲みに連れていかれて、「こういう課題があるんだけど、アイディアないですか」って言われて、飲んでるうちに「じゃあ、黒く染めようか」と。

牧野:1案目でしたね。


色があせた服を黒く染めて、もう1度、楽しく着られる服にしよう。
HAKUHODO THE DAY の牧野さんと柴田さんは、WWFジャパンの大西さんに、そのアイディアを提案しました。

大西:「服を黒に染めちゃえ」っていうのが、すごく新しくて。
しかも、楽しいじゃないですか。

リサイクルとかリユースという言葉に付随する「ちょっと我慢しなくちゃいけない」とか、そういうイメージがなくて。 ま、パンダの色でもあるし。

スピード感を持って、企画がスタートしました。
しかし、ある問題がチームの前に立ちはだかります。

柴田:次は「黒く染めてくれるところを探す」っていう。
見切り発車すぎて、僕ら、「黒く染められるでしょ」と思っていたんですけど、意外と探してみると無くてですね。

牧野:「黒に染めるって、すごく難しいんだよ」と。
こんなの無理だよ的な。

柴田:「かなり難しいです」って言われてしまって、「やっちゃったかな?」と、一瞬、思ったんです(笑)
提案もしちゃったけど……っていう。

PANDA BLACK

実は、とても難しいとされる「黒く染める技術」。
解決してくれる人は、京都にいました。

柴田:京都に、「京都紋付」さんっていう会社があって、紋付をずっと染めていたところなので、で、牧野がすぐに連絡して。

牧野:本当に、黒く染める技術については、京都の技術というのは、すごいものがあるらしいと。
「これはもう、京都しかない」と2人で話して。

で、決めたら、普通の問い合わせフォームからメールを送って、こういう企画をやりたいんですけどと送ったら、その日の夜に京都紋付の代表の荒川徹さんから返ってきて、そこでまた見切り発車したのが、「じゃ、僕ら次の日行きます」と。 僕と柴田で次の日、京都に行って。

大西:荒川さんもね、全然なんか、「うちは京都で100年もやってます」というところがなくて。

牧野:それまで、ずっと袴とか紋付の世界でやってきたんだけど、100年前に比べると、はるかに市場が無くなっていて、「このままでは、黒染めの技術がなくなってしまう」と心配されている方でもあって、なので、今回、服をリサイクルするという環境保全のアプローチにも積極的に参加してくれたっていう。

1915年創業。 「京都紋付」の協力を得て、「PANDA BLACK」は 走り始めました。
10月の下旬から開催された「東京デザイナーズウィーク2013」では、このプロジェクトで黒く染め直した服の数々を 展示しました。

大西:まあ、みなさん、古着だとは思わないんですよね。

「実は、これこれこういう訳で黒く染めたんですよ」と説明をすると、黒のキレイさにびっくりしますね。
「自分でやってみたい」っていうのは、みなさんおっしゃってましたね。

「PANDA BLACK」。
最後に、今後のビジョンについて、教えていただきました。

牧野:僕、「出来ればクリーニング屋さんに置きたいな」と思っていて。

これまでクリーニング屋さんは、今まできっと「色を落とす」とか、「きれいにする」という発想だったと思うんですけど、「もうこれ、黒く染めちゃったらどうですか」という発想の逆転をサービスとして展開できたら面白いなと思っていて。

大西:この伝統技術と地球の環境保全、という組み合わせを、ぜひ、海外にアピールしていきたいと思っています。

WWFは世界各国にオフィスがありますので、逆に、各国の黒染め技術があったとしたら、その国でその国ならではの黒染めを展開するのも面白いと思いますし、いろんな展開ができると楽しみにしています。

「黒く染める」。問題を解決するために思いついたアイディアは、京都の伝統技術によって実を結びました。

そして、日本中に、いや、世界に これを広めたい。
「PANDA BLACK」の挑戦は 続きます。


「服を黒く染めることで、生まれ変わらせよう」というプロジェクト。
PANDA BLACK の Hidden Storyをお届けしました。

この黒く染め直すサービス。
「京都紋付」で実施されています。

» 京都紋付

そして、このプロジェクトを行っている WWF と、J-WAVE がコラボレーションして、
『One Planet Festival×TOKYO』を開催します。

2013年12月7日(土)、12月8日(日)。
会場は、六本木ヒルズアリーナ。

トークやライヴなど、さまざまなコンテンツを通して、環境について考えるイベントです。

ライヴは、福原美穂さん、トライセラトップスの和田唱さん、一青窈さん、bird さんなど。 トークには、藤原紀香さんや、さかなクンが登場します。

» One Planet Festival×TOKYO