2013/11/15 スーダンで活動する医師、川原尚行さんのHidden Story

今週は、アフリカ、スーダンで活動する医師、川原尚行さんのHidden Story。

川原尚行さんが最初にアフリカを訪れたのは1998年。
外務省の医務官として、タンザニアに赴任しました。
そこで3年半。 その後ロンドンで、熱帯医学を学びました。
2002年、今度はアフリカ、スーダンへ。

非常にネガティブな印象しかなかったですけどね、もちろん援助とかもストップされて「内戦の影響がある」「テロ支援国家である」と、未だにそのレッテルは貼られたままですけど、実際スーダンに入って、印象がだいぶ変わってきたんですけどね。
実際、そう思って行ったんですけど「全然違うじゃないか」というのが現実でしたね。

国が広いので、全体が戦争に巻き込まれている感じじゃなかったんですよね。

最初は、自分は外科医ですから病院で勤務しまして、その病院というのは、1985年に日本政府がODAで建てた病院なんですけど、そこも援助が完全に停止してるので、そこの人たちが頑張っている姿を見ていたので「出来ること」ということで始めましたね。

スーダンで2年半。
そのあいだに、日本からの援助がストップ。 欧米からの援助もストップ。
「この状況を何とかしたい」と、川原さんは外務省を辞め、組織を立ち上げることにしました。

何も知らなかったんですよね、まったく素人で。 国際協力をどうするかとか。

スーダンは国際援助には厳しいお国柄でして、要は、「国際協力と言いながら、反政府政策をサポートしているんじゃないか」という疑いを持っているので、「団体をきっちり作らんといかんのかな」ということで、向こうで医療しながらも帰ってきて、いろんな支援者にもお願いして、団体を作ったということですね。

立ち上げたNGOの名前は「ロシナンテス」。
高校時代のラグビー部の後輩など、3人が仲間として加わりました。
スーダンで最初に行った活動は……

医療もいろんな形があるんですよね。
国際医療支援って、これ1本じゃないですから。 いろんなやり方があるんですよね。

我々としては、最初にイブンシナ病院という、日本が建てた病院のフォローということで、色々なお医者さんを日本から呼んだりとか、私が行ったりとかして、そういったイブンシナ病院の支援が1つと、もうひとつは、地方の医療支援。 これは診療所を2つばかり構えて、最初は巡回診療からやってたんですけど、診療所を作って地域医療をすると。 それにプラスして、母子保健をして「お母さんと子どもの命を守る」といったところから、医療支援をしていきましたね。

川原さんからの問いかけ。
「医療とは何をすることでしょう?」

「下痢の患者さんが来て、薬を出して治りますけど、家に帰るとまた下痢して帰ってくる。」

根本的には「水が汚いから」と。
「じゃあ、水をきちんとしなくちゃいけないな」と。

衛生教育も含めて。 きれいな水というのは井戸を掘るのが1番でして、井戸を掘りますと。 水の給水所を作ろうかと、これも私にとっては医療になるんですね。 直接関わってきますから。

さらに、この診療所、私たちが永遠にいると依存ということになってきますから、地元の人が医療に携わって欲しい。
そのためには学校が必要だと。 じゃあ学校を作ろうかと。 学校を作りました。
これ、女の子の学校も作りましたけど、そういうことも医療につながってくるので、非常にワイドレンジに構えて。

究極に言えば、国が平和になることが1番の医療ですからね。
そこまで考えての医療をやってますね。

そして、今、ロシナンテスが「やりたいと」強く思っている事とは?

「病院を建てたい」と思っているんですよね。

1985年に日本政府が建てた病院があるんですが、日本の経済状態もそんなによくないですし、国に頼ってばかりというようなことじゃなくて、自分たちの手で建てたいと思ってるんで、そういう目標を立てて、今やっているところですね。

で、そこを機能させていきたいんですね。
医療をしっかり日本がサポートして国の安定を図ると。 「医療が平和をもたらす」というようなことを、やっていきたいですし、さらには、南スーダンが分離独立しましたが、そこの人も診ると外交的な機能を持たせたいなと。 そこが日本を支援しているとなると、日本という国の存在意義がグッと出てくると思うんですよね。

医療によって、地域に平和をもたらしたい。
そんな活動こそ、日本人がやるべきである。

さらに、川原さんにはこんな夢もあります。

うち、サッカーチームを持っているんですね。 子どもたちの。

で、スポーツで平和を、ということも思っているんで、ダルフールという戦乱のところにサッカーボールを持っていったこともありますし、で、いずれはワールドカップに出れるくらいの、ナショナルチームを強くできればいいなと。
夢だけ、でっかいんですけどね(笑)

スポーツを愛する川原尚行さん。
仕事の哲学として挙げたのは、かつてプレーしていたラグビーの世界でよく使われる言葉。

One For All, All For One.
ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために。

日本の仲間。 スーダンの仲間。
そして、支えてくれるすべての人と、がっちりスクラムを組む日々が続きます。



スーダンに病院を建設するのが、目標!
みなさんにお願いしたいことは「ロシナンテス」という団体の会員となってサポートしてくださること。
さらに、募金箱を置いたり、あるいは講演会を企画して、そこに川原さんを招へいして欲しいというお話でした。

そして、「ロシナンテス」は、東日本大震災以降は、東北での活動も始められています。

» ロシナンテス