2013/9/27 綱本将也さんのHidden Story

今週は、サッカー漫画の原作などを手がける、綱本将也さんのHidden Story。
サッカー、フットボールへの愛に満ちたインタビューをお届けします。


綱本将也さんは、浅草生まれ、浅草育ち。
ジェフ・ユナイテッド千葉のサポーターです。
漫画の原作を手がけるようになったのは、今からおよそ10年前。

U31って、アトランタ世代の元日本代表選手がズルズルとダメになっていって、昔、出て行った不人気球団に戻ってきて、もう一回日本代表に戻るために「もがく」というか、そういう物語なんですけど、その不人気球団のモデルにしたのがジェフなんですけど、フィクションです。 フィクションなんですけど、アトランタ組って、あの頃みんな、前園選手とか城選手とか、すごく、もてはやされて、みんな海外へ出ていったけどノウハウもないままに戻ってきたり、各地を転々としているうちに、高原とか稲本とかのゴールデン・エイジ、黄金世代って言われている人が出てきて、なんかもう忘れられた存在になっていたんで、その当時。

日韓ワールドカップのときだったんですけど、それが、僕も同じ世代なので、面白くなかったというか、もう一回チャレンジして、そういう選手が出てきたら面白いかなと思って、そういう物語を書こうと思ったんですけど。

そもそも、綱本さんがJリーグのジェフを応援するようになった理由とは……

高校が千葉だったんですよね。
Jリーグができたときに、当時、東京にクラブがなかったんで、どこが一番身近なんだろうと考えたときに、一番ゆかりがあるのが千葉かなと。 柏もそのときなかったんで、というか下のリーグだったので、必然的に「千葉か市原しかないな」というんで応援し始めたんですけど。

毎試合のように行くようになったのは99年くらいですね。
そうするとちょっとずつ成績が上がって行って、それでオシム監督が来て「オシムのサッカーが面白いな」って、で、オシムが代表に取られた形になって、それからちょっとずつ下り坂になっていきましたけど、毎試合行ってますね。

歯磨きみたいなもんで……基本的には朝起きたら歯を磨くじゃないですか。
「ジェフの試合がやってるから試合を見に行く」というのと変わらないですね。

サッカー漫画の原作としては、『U31』、『ゴールデン・エイジ』スタート当初からしばらくの『ジャイアント・キリング』。 そして、この『ジャイアント・キリング』に出てくるチームの名前はなんと、「イースト・トーキョー・ユナイテッド」。

それは完全に「ここらへんにクラブがないから」です。 スタジアムがないから。

FC東京、東京ヴェルディ。
東京って言ってますけど、僕らのように東の方に住んでる人にしてみれば、馴染みはそんなに……親近感わかないじゃないですか。

イングランドだったらロンドンに何チームもあるじゃないですか。
主要な都市の本当の中心にクラブがない、というのが、応援するクラブがないんですよね。

だけどこっちって人口すごく多いじゃないですか。
それで「架空のなかでも応援してくれるといいな」というのと、やっぱり、僕ら東京から千葉まで応援しに行くじゃないですか、千葉で生まれ育った人が千葉を応援してるのってうらやましいんですよ。

「ユナイテッドっていう言葉を入れたいな」というのもあったし、東東京だと7つの区が一緒に持っているという名前にしたかったのと、ユナイテッドって言葉、いい言葉だなと思っていて。
人と人をつなぐとかいろんな意味があるじゃないですか。

現在綱本さんは、ジェフ千葉、そして 町田ゼルビアのスポンサーにもなっています。

ずっとサポーターをしてきたわけじゃないですか。それで、サッカー漫画で世に出してもらったので、ある程度余裕ができたら、サッカー界にお金を戻すのも……僕が認識していないだけかもしれないですけど、例えばサッカー漫画をやってお金をもらっている人たちが、そういうことをしているのをあんまり聞いたことがなかったので、一応、サッカー界にお金を戻すというのと、「自分の好きなチームにスポンサードできたらな」と前から思っていたんですよ。

ジェフのサポーターである綱本さんが、町田ゼルビアを支援し始めた理由。
ひとつは、親交のある方が 当時、町田のゼネラルマネージャーに就任したこと。
そして……

まだ新しいチームじゃないですか。
クラブとしては歴史がありますけど、Jリーグに参画するのはまだあれなので、サポーターも増やさないといけない状況だったので、必ず毎試合10何席か買って、席を、それを必ず今まで見たことがない人とか、町田に住んでいてサッカーをまだ見たことがない人を招待する席にして、必ず毎試合呼んでくれと話をして、その中から何人かでもサポーターになってくれたらいいじゃないですか。

今でもスピーディーワンダーシートという名前で、そのスピーディーワンダーシートを通じて、「大きな意味でサッカー、フットボールピープルを増やす手助けが出来ればいいな」と思ったので。

それで結果的に仲間が増えればいいじゃないですか。

フットボールを愛する仲間が増えてほしい。
サッカーへの愛に満ちた、綱本将也さん。
漫画の中では、「イースト・トーキョー・ユナイテッド」というチームも作りました。

みんな23区内の人が応援するクラブがあればいいと思って。
隅田川沿いにホームスタジアムがある設定になっていますし。
願望ですね。

大企業が気合いを入れてスタジアム用地を買って、でも、何百億くらいで出来ると思うんですよね。
「だったらやればいいのに」と思うんですけど。

これから東京23区にスタジアム作って、Jリーグ目指すというのをやったら、宣伝効果も抜群だと思いますし、ビッグクラブを目指すって言って作ればいいじゃないですか。

綱本さんからの提言。
「東京23区内にビッグクラブを。」

そして、その時のクラブの名前はおそらく、東京ユナイテッド。


インタビューのなかで「町田ゼルビアのホームゲームに『スピーディー・ワンダー・シート』という席を提供している」というお話がありましたが、これはもちろんスティービー・ワンダーをもじったもので、綱本さんが原作を手がける競馬の漫画「スピーディー・ワンダー」のタイトルからとったものです。
こちらの漫画もぜひチェックしてください。