2013/5/3 世界の報道規制事情

ジャーナリストによる非政府組織「国境なき記者団」が公表している「世界の報道の自由度指数」という指標があります。
日本の昨年度のランクは、震災後の原発事故に関する情報アクセスに問題があるなどで、前年の179カ国中22位から53位に急落しました。世界のあの国はどうなのでしょう?
今日も2カ国をコネクト。

報道の規制はありますか?

シンガポール。赤井亜紀子さん
「厳しい報道規制があります」

豊かで安全な経済大国というイメージとは対照的ですね

1963年にイギリスから独立して数十年で経済大国になったこの国。 ゴミのポイ捨てやチューイングガムの罰金は有名ですが、一党独裁の政府は国の隅々まで規制を行っていて、その1つに報道も含まれています。 例えばテレビ番組で生放送で見られるのはスポーツくらいです。 新聞でも国のイメージが悪くなるものは載せていません。

実際に政府を批判した記者を投獄や国外追放にしていて、最近ではブログでの批判でも捕まってしまうそうです。そして人種や宗教の争いも許されないので、国民感情に火をつけないような措置を事前にしていると思われます。

多民族国家で小さな国ならでは、なのでしょうか?

中国・マレーインドの多民族・多宗教国家の中で、これほど治安の良い合理的な国に仕上げた政府は国民からの評価も高く、実際生活していると表向きは抑圧されているという感じはあまり受けません。能力さえあれば成功できる環境にあり、国民は勤勉でパワーがみなぎっています。 だから「この国に住みたいなら当然守るべきこと」とシンガポーリアンから聞くほどです。 日本人からするとアメとムチを素晴らしく操る政府には驚きです。

報道の規制はありますか?

メキシコ、メキシコシティー。府川祐子さん
「ジャーナリスト個人と会社双方で自己規制が大きいです」

どんなものが自主規制となる対象なのでしょうか?

大半の人がカトリックのメキシコでは、宗教の批判めいたことはご法度です。 「サッカーと宗教は家庭で話題にするな」と、よく言われます。熱くなりすぎてしまうからです。そして、だれも折り合いません。 また、国家の英雄と言われている人や現職大統領の悪口はご法度でした。

以前は、政府を中傷する記事を書くと、新聞社なら紙の輸入を止められるとか、巧妙に嫌がらせをしました。
今でも、見えない圧力はあるようです。
ニュースのアンカーが突然降板する事もあります。

他にもあるのでしょうか?

麻薬組織は本当に恐ろしいと思います。 本人はもちろん家族も巻き込んで報復を受けるからです。 何十人ものジャーナリストが殺害された事もこの人たちの仕業だと言われています。

組織の干渉する事柄は、宗教も政治も経済も警察も巻き込んでいますから、つまらないことも彼らの気分次第で、大きな事件になります。メキシコの市町村の多くが麻薬組織と手を組んでいるという報道も見たことがあります。そこでバランスが取れていると、庶民の生活には入り込まないので、なかなか表面的にわかりません。