2012/6/15 佐々木則夫監督のHidden Story

今週は、なでしこジャパン佐々木則夫監督のHidden Story。
あの優勝の裏にあった知られざる物語、そしてロンドンオリンピックへの想いに迫ります。

2011FIFA女子ワールドカップドイツ。
ほぼ1年前、6月26日に開幕した大会です。
それはつまり、東日本大震災からわずか3ヶ月。
なでしこジャパンにとっては、ワールドカップである、ということだけでなく、もうひとつ、重要な意味を持つ大会だったのです。

Q: 震災のビデオを選手のみなさん一丸となってご覧になったんですよね?

我々は日本のスポークスマンとして世界にアピールできるし、日本のみなさんにも見て頂くということで、みんなそういう想いが強かったので、タイミングのなかで、そういった映像やスライドを見て「心を引き締める」ということはしましたけどね。

グループリーグ3戦目、イングランドに敗れたため、ベスト8の対戦相手は、開催国、ドイツになりました。

勝てるかな?負けるかな?前勝ったことがあるよね?とかね、そんな余分なことじゃない。今まで勝ったことがないと。
とにかくドイツで開催されていて、そのホームで、こんなシチュエーションはないだろうと。

そのドイツ戦。0-0で迎えた延長後半。
試合を決めたのは、監督が重視する「控えの選手」、丸山桂里奈選手のゴールでした。
そこには、こんなHidden Storyが。

彼女もね、北京後は代表に呼んでなかったんですよ。
でも彼女は本当に変わったんですよ。

本人に聞いたら、チームで10キロ走って練習終わりだったのが、20キロ走って「何とか代表に選ばれて、何とか日本のみなさんに勇気と元気を、そのチームに私も参加したいんだ」と。
僕は前から、スタミナをつければもっと質が上がるよと言っても聞かなかったのが、311の状況で、日本のみなさんに元気を送らなきゃいけない、ということで走ったそうですよ。

2011FIFA女子ワールドカップ 決勝。対アメリカ。
なでしこジャパンは先制され、いったん追いつくものの、また突き放される厳しい展開。
そんな中、コーナーキックから澤穂希選手のあのゴールが決まります。
そのとき、ディフェンダーの岩清水梓選手は……

岩清水選手: ニアのほうに飛んでってくれたら、こぼれがあるかなと思ったんで、そこにボールがきたから。
「あ、ニアに行った」と思って、こぼれ球を狙おうと思ってたら、入ったから、うわ〜〜〜と思って。そのあとは、もう守んなきゃって感じでしたね。

そして、佐々木監督は……

Q: あの瞬間は?

あの瞬間、僕は本当は岩渕選手を投入しようと思ってたんですよ。
そしたら同点になったので、岩渕ちょっと待てと。
それをコントロールするだけで精一杯でしたね。

優勝がかかったPK戦。
蹴る順番については、こんなやりとりがありました。

澤選手も、メンバー5人以内には入っていたんですけど、ちょうど大きなボードに名前の入ったマグネットを並べたわけですね。そしたら彼女は4番手だったんですけど、小耳にね、私シュートだめ、と。
ま、いいじゃないかと。
澤はさっき点とってくれたし、それでマグネットをポンとやったら海堀のとなりにピタっとはまったんですよね。
で、あとはズレろ、みたいな。

まあ、その辺でも笑いはきてましたけどね(笑)

あの歓喜から1年。
史上初、ワールドカップ、オリンピックの連覇へ。
なでしこジャパンは、スウェーデン遠征の後、2012年7月11日。 国立霞ヶ丘競技場でオーストラリアと壮行試合を行います。

本当にランキングも高いですし、欧米タイプの選手もそろってますし、もしロンドンまで応援にきてくださる方がいらっしゃればそれにこしたことはありませんが、行けないという方は、オーストラリアではあるけれども第1戦対カナダだと思って応援していただければと思います。

Q: いい準備ですね。
そして、ロンドンへ……1位通過だとアメリカとファイナルでリマッチの可能性。

アメリカも本当に素晴らしいんですが、フランスも質を上げています。
それからイングランドも、今回は英国というチームでいい選手を集めていますし、スウェーデンもナンバーワンのトップのフォワードがいますからね。

我々、世界チャンピオンになったとはいえ、オリンピックでメダルを取るのも容易ではないかもしれませんが、本当に楽しいスペクタクルな試合を、ぜひ、見たり聞いたりして楽しんでいただければと思います。

今度はどんなドラマが待っているのか?
佐々木則夫監督と、なでしこ達の新たな冒険が始まります。