2011/11/11 東海大学、ソーラーカー・チームのHidden Story。

今週は、、、世界的なソーラーカー・レースを連覇!
東海大学、ソーラーカー・チームのHidden Story。

先月20日、嬉しい知らせが南半球から飛び込んできました。
東海大学が、オーストラリアで開催された世界最大規模のソーラーカー・レース「ワールド・ソーラー・チャレンジ」で優勝。連覇を果たしたのです。

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参加した車の名前は、「Tokai Challenger」。その特徴を、監督の木村英樹さんに説明していただきました。

平らな太陽電池を貼っているボディの上にちょこんと運転手の乗るコクピットがあってそこにキャノピーっていう風防がのっかっている形です。タイヤはフロントに2輪、リアに1輪。で、リアにモーターがついていてそれが駆動して走るわけです。
学生が基本的な寸法を採寸して基本的な形を作って、、、で、最終的には公道を100キロで走るので、オートバイメーカーの方に監修をしていただきました。(木村さん)

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横幅およそ1.5メートル、縦およそ5メートル。長方形の薄いソーラーパネルが そのまま走っているように見える車体。その車がオーストラリアに運び込まれたのは10月上旬でした。

10月15日、ヒドゥン・バレー・サーキットで開催された予選では東海大学OBの篠塚健次郎さんがドライバーを担当し、5位。

翌朝、オーストラリア北部の街、ダーウィンからレースは始まりました。木村監督、そして、チーム・マネージャーの学生、瀧淳一さんはこう振り返ります。

16日の朝8時半くらいにダーウィンを出発しました(木村さん)
市内は一般車が多いので、そこを抜け切るまでは心配ですよね。信号待ちもしますし、横から車線変更してくるかもしれない、ということで、本当に一般車と同じように走らないといけないんですよね。なので、エスコートカーが前後にいて、黄色い回転灯をまわして、ソーラーカーがくるから気をつけてね、ということで走るんですが、それでもソーラーカーで走るのは緊張しますよね(木村さん)

目指すゴールはアデレード。オーストラリア大陸を縦断、およそ3000キロ先のゴールを目指して37チームによるレースがスタートしたのです。

オーストラリア北部のダーウィンをスタート、南へ向けて車は走ります。

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一番先にアデレードに着いたものが勝つ、ということで、時間を競うんですね。
ただ、夜中はソーラーカーは走るのが難しいので、レース時間は朝の8時から17時までで、日の出から8時までと17時から日没までの間は止まって太陽光で発電していい、というルールですね。

じゃあ、チームによって1日目到達する場所が違うということですね?)

そうです、なのでだんだんばらけていくんですね。
途中でリードしたり脱落したり、ということになります。これはやっぱり発電量が多いとか、消費が少ないとか、そういうソーラーカーの性能で決まってきます。
あとは、ばらけたあとは天候が同じとは限らないので、晴れ間に恵まれたチームが有利になったりします。なので、陸のヨットのレースみたいな感じですね。
天候をうまく読まないと走れないんですね、ソーラーカーは。ですので、モータースポーツではなくブレインスポーツと呼ばれています。
作戦も大事ですし、車両の制作技術も大事なので、、、本当にいろんな部分が問われて。自動車産業だけでも裾野が広いのにさらに太陽電池までのっけて、天候まで予測しないといけないので、かなり奥が深いと思いますね(木村さん)

チームによって、その日、どこまで到達できるかは違ってきます。ということは、、、

あまり何もないところなので止まったところにホテルがあるなんてことはめったにないので、基本的にはキャンプですね。
テントと寝袋を持って行きます。食糧は買い込んで行くんですね。
でも買い込みすぎると腐っちゃうので、途中の街で補給しながら進みます。なのでそういう食糧調達隊もいるんです。
風呂も基本的にはないんですが、途中でシャワーがついているガソリンスタンドがあるので、そういうところでシャワーを浴びたりします。
今回一回だけかな、レース期間に?(木村さん)
一回だけありましたけど、2日目で、その日、ブッシュファイヤーがあって3チームがかたまっちゃったんですね。なので時間規制があって、うちのチームも全員は浴びられませんでした。ちなみに、私は5日間、浴びませんでした 笑(瀧さん)

乾燥地帯での火事。さらには竜巻、砂嵐。その合間に降り注ぐ太陽をつかまえる。チームは さまざまな力を結集して オーストラリア大陸を駆け抜けました。

ダーウィンをスタートしてから5日目。10月20日。アデレードに最初にたどりついたのは、東海大学。2年前に続いて 連覇を果たした瞬間でした。

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監督の木村英樹さん。今回の大会は、特別な想いを持っての参加でした。

やはりですね、これからのエネルギーはどういうものになっていくのかというときに、太陽電池だとちょっとまだ全体をカバーするには非力だというイメージだと言われていますが、節約するほうですね、省エネルギーもセットで考えれば何とかなりますよというのを今回のレースで示したい、というのがありまして、今回震災で、放射性物質が拡散してしまったこの日本だからこそ、今年こそ何とか勝たなければならない、と思っていました。
まず太陽電池も進化しますし、それとともに軽量なボディも作って省エネも進めれば、それでですね、未来の車はガソリンもコンセントにもささずに半永久的に走れると、ということを示したかったんです、はい(木村さん)

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過酷な自然環境においても、仲間と力をあわせ 工夫をすれば、 ソーラーカーで十分に走ることができる。若きチームが 新時代のエネルギーが持つ可能性を 証明したのです。