2011/8/5 「LIGHT UP NIPPON」のHidden Story

今週は、8月11日に東北地方各地で同時に花火大会を開催するプロジェクト。
「LIGHT UP NIPPON」のHidden Story。

» LIGHT UP NIPPON

「東北を、日本を、花火で元気に」
そんな合い言葉のもとに行われる「LIGHT UP NIPPON」。
発案者は、東京の企業に勤める高田佳岳さんです。

僕、もともと学生時代に大槌町にいたことがありまして、2年間過ごした大学院時代をこの震災後、フラッシュバックというか、思って、向こうの人たちのことを考えない日はなかったんですよね。連絡もとれないし、ニュースでは凄惨な様子ばかり映し出されているなかで、たまたま3月の末に東京湾の花火大会が中止になったというのを聞いて、当時大槌にいたころに、お祭りとか、もともと町に伝わって来た踊りとかを大切にして、夏の時間をすごく楽しみにしていたのをよく覚えていたので。そういう人たちのことを思っているなかで、花火っていうものの持っている「追悼」という意味もありますし、それを見て楽しむという日本人の心というのもあったので、大槌町の人たちと花火がリンクをして3月の末に思い立って。

高田さんが大学院時代を過ごした 岩手県の大槌町。
太平洋に面していて、震災では大きな被害を受けました。

地元の方が「本当にやりたい」と言ってくれるかどうかが分からなかったので、初めて4月9日の時点で現地に入って、地元の人にお話をうかがって、夏にこういう花火を上げたいんですがどう思いますか?というヒアリングから始めたんですよね。あくまでも地元の人がやろうと言っていただかないと花火なんて大それたことはなかなかできないので。大槌町の昔、僕がお世話になっていた宿泊施設があって、そこの寮母さんにかわいがってもらっていたので、そこでいろいろ地震のときの話を聞きながら、徐々にこういった花火の話もさせてもらって。そしたらそこにたまたま小学校6年の甥っ子も来て、その子どもたちにも同じ話をしたら、すごく喜んで「上がるところが見たい」と強く言ってくれたので、がんばってみようかな、ということで、翌日に、大槌町で避難所のリーダーをやっている方を紹介していただいて。

花火大会は、地元の方が「やろう」と言わないかぎり、できるものではない。
高田さんは大槌町の避難所の方に会いに行きました。

答えは、「やりましょう」。
夏へ向け、準備が始まりました。
思い描くのは、大きな花火。夏の夜空を明るく照らす花火でした。

そこからですね、もともと僕は大槌町に入ったものの、他の場所でも同じようにできるんじゃないかと、その方から別の町の商工会の青年部だったり、商工会議所の方をご紹介いただいて、そちらに移って行って同じような話をしていくという形で進めていきました。

東北の町から町へ。想いは つながり始めました。

気仙沼(菅原さん)
はじめ聞いたときは本当にありがたいお話だなと思って。
まだ問題はあると思うんですが、ぜひ実現に向けて前向きにやっていければなと思います。

山田町(佐藤さん)
本当にできんのかな?って思いましたね。この状況で。
ただ、何かやんないとだめですもんね。このまま下を向いていてもね。私も今年で青年部卒業なんで、最後の花火大会だったんで悔しい部分もあったんですけど、こういう話もらってよかったですよ。

釜石市(天津さん)
これはぜひ、ほんとうにたくさんの知り合いが私の前で消えていきました。その人たちへの祈りとともにぜひ、ぜひ成功させたいと思っています。どうか力を貸してください。どうかご尽力ください。よろしくお願いします。

最終的に、開催が決まったのは、
岩手県の宮古市、山田町、大槌町、釜石市、大船渡市。
宮城県の気仙沼市、多賀城市。
そして福島県の南相馬市、会津美里町、いわき市。
花火の打ち上げ場所が確保できず、やむなく断念したところもありました。
でも、一般からの寄付、企業の協賛を得て、10カ所で花火大会が開かれます。

8月11日の夜7時、東北で一斉に花火が上がるのです。

実は会場によって、打ち上げる状況が違うもので、一概には言えないんですけど、トータルで2万発強の花火大会ができるんではないかなと思っています。ただ会場によっては特殊な事情があって「ごくごく少ない花火を大切に上げる」という場所もあるんですけど。

大槌町(神田さん)
今回の花火の目的は、亡くなった方の霊をなぐさめるということの意味合いにおいて、慰霊ということと精霊という目的で上げると。そういったことで地域の人もひとつになってくれたらなと考えています。

追悼、そして復興への願い。
Light Up Nippon。花火が人と人、町と町、想いと想いをつなぎます。