2011/4/22 三浦知良選手の食を支える石川勝則さんのHidden Story

今週は、キングカズ!サッカー三浦知良選手の食を支える男。
カズ選手の ほぼすべての食事を作るプロフェッショナルのHidden Story。

三浦知良選手を食の面で支える その人の名前は、石川勝則さん。
所属しているのは、株式会社LEOCです。
ふたりの出会いは、2005年の秋。
夜遅く、石川さんの携帯電話が鳴りました。

もともと横浜FCのスポンサーを弊社がやっておりまして、その関係で、2005年にカズ選手がシドニーFCに移籍になったときがあったんですよね、そのときにシドニーに移籍して単身渡っていったんですが、食事がどうしても外食になってしまいますし、パフォーマンスが落ちて来たという相談をされまして、それなら、私どもの会社が食事を提供する会社ですし、スポーツ栄養にも事業を広げているときでしたので、調理師をオーストラリアに向かわせる、ということになったんですよね。そのときに、カズ選手も一食でも早く管理されたものが食べたいという風におっしゃって、私のところに電話がかかってきまして、パスポートを持っていたら明日にでも行ってくれ、みたいな感じで。

石川さんは、パスポートを所持していました。
電話から2日後、オーストラリアへ。

シドニーの太陽のもと、カズ選手が出迎えてくれました。

行って、着いて、ホテルの場所で落ち合おうということになっていたので、ホテルの入口ですね、ホテルって言ってもアパートメントタイプのものなんですけど、つっ立ってたらいきなり隣りに……すごい笑顔と握手で出迎えてくださいまして。

その日の夜からさっそく、カズ選手が滞在する部屋のキッチンで食事作り。
そして、あまりにも急な渡航だったため、最初の数日はカズ選手と同じ部屋で寝泊まりすることに。

私はあまりにも急だったので3日間だけカズ選手と同じ部屋で寝て、4日目からは近くに安いホテルを借りてあったので、4日目からはそこに泊まるはずだったんです。
キングと寝泊まりって、かなり気をつかうんですよね、すごく良くしていただくんですけど……

ただ、疲労のマックスが3日目に来てまして、今日食事を作ったらホテルに行って、とりあえずすっぱだかで大の字になって寝ようと思っていました。
そしたら、出て行くときになってカズさんが「一緒にこれからも住もうよ」とか言ってくれて……

私は、すごくありがたい話だったんですが、絶対無理だと心のなかで思っていたので、「それは絶対ご迷惑をかけるから。会社としても怒られちゃいますと。
キャンセル料もかかりますし」と。そしたらその場で携帯で電話をし始めて、「キャンセル料も全部大丈夫だよ。オッケー出たから」って。
まとめてあった荷物をまた出して、約1ヶ月間、同じ部屋で寝泊まりさせていただきました。

2005年、シドニーFCでのシーズンを終え、帰国したカズ選手。
石川さんも同じ飛行機で日本へ戻りました。

それ以来、ずっとカズ選手の食事を作る石川さん。
44歳のカズ選手、あの肉体を支える食の秘密。
どんなところにあるのでしょうか?

パフォーマンスをあげる食ですとか、疲れをとる食、年齢がカズ選手のように40代になってきますと、アンチエイジングの食もあります。

でも、一番大切なのは、信頼関係が大事だと思うんですね。もちろん基本的な栄養の知識は持っていないといけないですが、この食事を食べていれば120%力を出せるという安心感と信頼感、自信が一番大事だと思うんですね。

で、食事の制限はしつつ、毎日会ってますから体の管理はほぼ完璧にできますので、揚げ物も普段はまず食べませんが、トンカツなんかは結構好きなんですね。
でもカズさんは極端な節制をしたがる人なので自分からは食べたいとは言わないし、でも頭のなかにトンカツが好きなカズさんはいるんですよね。
だから年に数回はトンカツも出すんですよね。おおお〜って、すごい喜んで、少年のような笑顔で食べてますけど。

ちなみに、カズ選手。 試合前には炭水化物だけしか取りません。

炭水化物以外はいっさい取りたくないというリクエストをいただくので、試合前日は具のないパスタですとか、ペペロンチーノなんですけど、ペペロンチーノでもたいていベーコンが入っていたりするんですよね。
でも、本当に、にんにくとオリーブオイルだけで作ってくれって言うんで、私も頑張って作ってますけど……だからパスタ得意になっちゃいましたね、和食出身なんですけど、ちょっと負けないぞ〜くらいの……

今年3月29日。復興支援チャリティマッチ がんばろうニッポン。
後半途中から出場した三浦知良選手がゴール。
決めてほしいときに、決めてほしい男が 決めてくれました。

先日シュートしたときも、帰って来てから、「あのゴールの一部は石川君のゴールだよ」って言ってくれたときがあって嬉しかったですね。

本当に、私たちのやってるときは影の力で、99.9%はカズさんの努力と実力の世界ですけど、その何%でも食事が力になれてるかと思うと嬉しいですよね。
カズさんも帰って来て、「石川君、こないだまた泣いちゃったんじゃない?」って「お互い涙腺弱くなりましたね」って笑い合いましたけど。

最後にひとつだけ。
石川勝則さんの髪型はカズさん風。
「まねしましたよ」と言うと、カズさんもにっこり。
ふたりのプロの間には、確かな心と心のつながり、絆がありました。