2010/11/26 風呂ロックのHidden Story

今日は、11月26日。 いい風呂の日。
これにちなんで「銭湯でライヴを」というイベント『風呂ロック』のHidden Story。

東京、吉祥寺。
華やかな商業施設がならぶ街並が住宅地へとその佇まいを変えるちょうど境目。 銭湯「弁天湯」が営業を続けています。
この銭湯、普通の銭湯とちょっと違います。 脱衣所の壁にはミュージシャンの写真がずらり。
弁天湯は、『風呂ロック』と題した音楽イベントを開催しているのです。

ZAZEN BOYSの向井秀徳さん、大槻ケンヂさん、星野源さん、原田郁子さん、曽我部恵一さん。 数々のアーティストが銭湯でライヴを行いました。 『風呂ロック』。 そもそもの始まりについて、イベントを運営する佐藤広輝さんに伺いました。

6年前くらいですか……

吉祥寺のハモニカ横丁というところで立ち飲みの屋台をやっていて、いろいろなお客さんが来てくれているなかで、銭湯の孫の、ここの弁天湯の孫の岡竜平君というのも来てくれていて、僕は弁天湯に入りに来ていたんですけど、あるときに、銭湯の孫のその竜平君から、「銭湯にお客さんが減って来ていてお客さんを呼び込めることができないか」と相談を持ちかけられて。 で、僕がですね、飲み屋やりながら、そこで「投げ銭ライヴ」をしたことがあって、そういう投げ銭ライヴみたいなことを銭湯で出来たら面白いんじゃないかとひらめいて……

銭湯でライヴをやる。 企画が動き出しました。
ひとまず一度きりのライヴとして開催決定。

一回目はまずポスターを作って配ったりとか、フライヤーを作って、商店街に置いてもらったりというところから始まりましたね。 やっぱり笑われましたね(笑)。
「風呂ロックって何ですか?」って。

記念すべき第一回の出演は、佐藤さんが飲み屋さんをやっていたときから交流のあった、今野英明さん。

ここの銭湯さんの常連さんもだし、あと岡君がこのあたりの出身なので、近所のおばさんたちとか、もちろん今野さんのファンもいらっしゃったんですけど、半々というか、岡君のことを昔から知っている近所のおばさん、銭湯の常連さん、それと今野さんのファンという感じでした。

お客さんは、座布団を用意させてもらって、あと洗い場の椅子ですか、あと立ちの3種類があったと思います。
いや〜ちょっと、自分たちでも笑っちゃう感じがあったんですけど、もちろんそこは銭湯の場所で、普段体を洗っているだけでしかない場所で集中して音楽を聴いていると。 みんなプッて笑いそうな感じで、終始なごやかなライヴだったと思いますね。 なんでしょうね、場所の持つ……ここは60年以上も銭湯として営業している場所なんですけど、ここが社交場として持っている場の空気があって、それが弾き語りとマッチするなというのはありましたね。

一夜限りのはずだった風呂ロックですが、一度目の成功を受けて「では、とりあえず3回はやろう」。さらに、「10回まではやろう」と、開催が続いていきます。
なかには、こんなミュージシャンもいました。

銀杏BOYZの峯田和伸さん。

峯田さんのときに、まだ銭湯の常連のおじさん・おばさんも、たくさん来てくれていたんですよ。

峯田さんをまったく知らないで見に来るお客さんもいるんですよね。
峯田さんって歌詞に下ネタみたいなことが組み込まれていたりするんですよね。 だから、おじいさんおばあさんとか、「どんな風に見るのか」って心配していたんですよ。
でも、峯田さんはサービス精神がすごくて、表現者として、気持ちを込めてやっているというところで、そういう人たちに楽しんでもらえて、おじいさんおばあさんも銀杏BOYZのCDを買っていってくれたり。 「ああ、楽しかったのかなあ」とか、そういうのは嬉しいですよね。

もともとは、音楽業界とは関わりのない人たちが始めた『風呂ロック』。
これまで、実に32公演。
かつては社交場だった銭湯で、もう一度、人と人のつながりが生まれています。

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