2010/10/8 自由が丘商店街のHidden Story

今週は……あさって日曜日と、翌月曜体育の日に女神祭りが開催されます、自由が丘。
その商店街のThe Hidden Story。

多くの人が訪れる人気の街、自由が丘。
しかし、その始まりについて語られる機会はそう多くはありません。
そもそも、どのように生まれた街なのか?
自由が丘商店街 振興組合の事務長、中山雄次郎さんにうかがいました。

自由が丘は、大正から昭和に変わる頃にできてきた街で、それまでは碑衾村といって駅前なんかは葦が生い茂る村だったんですけども、ちょうど大正から昭和に変わることに若者がヨーロッパに文化を取り入れるために、作家だとか音楽だとか芸能を学びに行った人たちが東京に戻って来てですね、文化村、理想郷を作りたいということで集まってきて……そのなかのひとりの手塚岸衛さんという、自由教育をこころざした方が最初に自分の学校の校庭にこんもりした塚みたいなものがあったので、自由が丘学園という名前をつけて、それに共鳴した人たちが「自由が丘」と呼ぶようになって、今の名前ができてきて……この辺ですね、歴史の始まりは。

のちに、黒柳徹子さんがベストセラー「窓ぎわのトットちゃん」で描いたトモエ学園の前身、「自由が丘学園」。
ここに自由が丘のルーツはあったのです。

ちょうどその頃、東急線の線路……ここの自由が丘駅のあるあたりが九品仏駅と呼ばれていたんですね。
で、ちょうど九品仏のお寺の前に駅ができたので九品仏駅という名前はそっちに持って行かれて、今ある自由が丘駅の名前をどうするかということで、碑衾にするか自由が丘にするか、地元の人で話し合って、やっぱり自由が丘だということで駅の名前が決まりました。
それが昭和2年ごろのことですね。

戦争中も「自由」の名前をおろさなかった街、自由が丘。
昭和38年、12の商店会が集まって「自由が丘商店街振興組合」が発足します。

自由が丘の場合は、先人たちは賢くて、東京にスケールの大きな街はほかにもたくさんあるんですけど、自由が丘は12の商店会がひとつひとつ振興組合を作るんではなくて「このくらいの街の規模だと一枚岩でないと都心の大きな街には対抗できないだろう」ということで、ひとつの振興組合として立ち上がったんですね。

そうすることによって、商店街の規模としては日本で一番大きい、今や1,300もの加盟店を持つ規模になってますけど。

加盟店舗数およそ1,300。 日本で最も大きな規模をほこる自由が丘商店街。
それをひとつにまとめるための秘訣……
自由が丘商店街 振興組合の中山雄次郎さんはこう語ります。

自由が丘の名の下にはひとつにまとまりやすいというか、そういうことはあると思います。
とってつけた名前ではないのでね、昔の時代から積み上げてきたものがあるので……

今でこそ、おしゃれで自由という言葉は響きがいいんですけど、つけた当時は思想性が高くてロックな響きがあったんですよね。 もともと芸術とか文化とか、そういうところから出発した街なので……表層だけ見るとふわふわしたおしゃれで綺麗な街ですけど、そこの基礎の部分に芯のしっかりした部分はありますよね。

全国的に見れば、商店街の不振が叫ばれる今。
自由が丘には、毎日、多くの人が訪れます。
その理由はどこにあるのでしょうか?

来ているお客さんも画一的で便利なものを求めているんじゃなくて、そこに流れている時間とか豊かさだとか、ゆっくりした、、都心からそんなに離れてはいないんですけど、みなさんおっしゃるのは流れている時間がおだやかだと。

効率性を求めるならショッピングモールとか、そういうところのほうがいいんでしょうし、何でもそろって駐車場もあってすぐ買い物ができる、というところもあるんでしょうけど、でも同じ2時間を豊かに過ごそうと思ったときに、自由が丘みたいに道も細くてごちゃごちゃしているけれどそれを探検する感覚で歩いたり、自分だけのお気に入りのお店を見つけたり、角を曲がったところにある風景が心にささったりとか。

自由が丘の商店街を見つめつづけて15年という、中山雄次郎さん。
最後に「Unite」をキーワードに、商店街について語っていただきました。

今、商店街がショッピングセンターになったりスーパーになったりして、なかなか人と人と会話だったりつながりが希薄になって、一言も言葉を交わさなくても買い物ができるようになっていますけど、自由が丘は面倒くさくても、ネットとかではなく、街に来て、店員さんとのふれあいだったり、店先の植物を見てほっとしたり、一言、「いらっしゃいませ」とか「どうしてました?」とか、そういう声がつながっていく街でありたいと思っていますね。

人と人をつなぐ場所としての商店街。
今日も、およそ1,300の店先で、何気ない一言とあたたかい心がつながっています。

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