2010/7/23 「ノントレー包装機」の開発秘話

今週は、スーパーマーケットで生鮮食料品の包装に使われている白いトレー……
このトレーなしで食品を包装する機械「ノントレー包装機」の開発秘話。

お肉をはじめとする生鮮食料品……
スーパーマーケットでは、白い発泡スチロールのトレーに乗せられ、さらにラップをかけて販売されています。
今日ご紹介するのは、「その白いトレーなしで食品を包装するため」の機械です。

そもそもはですね「技術部の中で、新商品をアイディア出ししていきましょう、商品化していきましょう」という活動をしているのがベースにあります。

そのなかでですね、「よく家に帰ると、白い発泡トレーがゴミ箱の片隅に洗われて山積みになっている」とか、「洗って乾かす手間が結構面倒だ」とか……そういうことを家で、母だとか嫁さんだとかに聞くところで、「最初からこのトレーなかったらいいんじゃないの」というところから始まっていますね。

取材に答えていただいたのは、株式会社イシダの長谷川基行さん。
そもそもは、さまざまな計量器の開発を手がけてきたイシダ。
発泡トレーに食品をパッケージする機械も販売してきました。
しかし……「食品が乗せられているトレーは なくてもいいんじゃないか?」
この着想は、次第に確信へと変わっていきます。

みなさんこういう話をすると、「おお、そのトレイ、いらないと思っていたんだよ」という話はちらほら聞こえたんで……あと、スーパーの買い物かごからマイバッグに移すところがありますよね。 その下にゴミ箱があるんですけど、そこにトレーが捨てられているんですよ。

それは、おばさま方がそこでトレイを剥がして、袋に入れて、袋だけで持って帰る。

そういうのも発見されていたんで「これは必ずニーズがあるだろう」と。
商品化というかそういうテーマで追っていこうということになりました。

トレーなしで包装する機械を作ろう。
開発が始まりました。

「スーパーのサービスで出てくるビニール袋に商品を詰めるような機械を作ろう」ということで最初は始まりました。

袋の口があいているところに上からモノを投げる、投げ込もうと。
最初はそこから始まったんですよ。

ビニール袋に上からモノを投げ込むシステムはどうか?
しかし、この方法には大きな問題がありました。

薄切りの肉ですね、綺麗に盛りつけておきたい肉が見栄え良く売れない。
せっかく綺麗に並べた薄切り肉が、固まりみたいになってしまうので、お客さんが見て中身何か分からないので、このままでは使えない。

5人の開発チームは、頭を抱えました。

生鮮食料品を発泡トレーなしで包装する機械、
「ノントレー包装機」。

開発を手がけた株式会社イシダのチームが直面した問題
「薄切り肉を 綺麗に並べなければならない」。

薄切りで綺麗に並んだ状態でスーパーに並ばなければいけない、どうしようかということで、メカ屋さん5人が、ず〜っと5人で考え続けて続けて続けた結果
「フイルムに盛りつけた状態で乗せて、包んでやればいいのか」と。
形的にいえば、餃子の皮に餃子のたねを乗せて折り返すようなイメージ。

あのイメージでやれば、綺麗に盛りつけられて店頭に置けるんじゃないかというのに辿り着いた。

盛りつけの問題は解決できました。
でも、ここで もうひとつの課題が浮上します。

いかに小型化するか、が難しくて。

フイルムにモノを乗せるんですけど、乗せるモノの大きさは大きくなったり小さくなったり、変わりますよね。
でも、作業者、オペレーターは「乗せる場所を大きいからちょっとこっち」とか、「小さいから、ちょっとこっち」とかは、さすがにやってもらえなくて、どんな大きさでも同じところに乗せたら同じように包める。ていう機構を。

ただ普通にフイルムを乗せて包むだけだと、どうしても置く場所が変わってしまうんですよね。
あと、大きさ的にも、奥行きが大きくなりすぎて、バックヤードに置けなくなるんで、それをクリアするための機構が苦しみましたね。

食品を置く場所ではなく、食品を乗せるフイルムの長さを調節する。
このアイディアが、ノントレー包装機を完成に導きました。

開発にたずさわった株式会社イシダの長谷川基行さんに、最後にこんな質問。
「ノントレー包装機」、世に送りだしたことについての感想は?

関わって来たもものが、他にはないという形で世に出る、ということは技術としてモノ作っている以上、一番の喜びですよね。

それでお客さん、うちから言えばスーパーさんと、それを買っていただく消費者の方がみんな喜んでもらえれば、これに勝るものはないんで。
家庭でもゴミが減る、手間も減る。 で、スーパーさんにとってもそのトレーってかさばるんで、バックヤードにはトレーが山積みなんですね。 一日に何千使ったらそれを補充するという作業が発生するんですけど、フイルムであればロール1本2本で済むんで、その手間も減ると。

お店も喜んでもらえて、ゴミが減ることで地球にも喜んでもらえてと。

日本全国津々浦々に存在するスーパーマーケット。バックヤードに置かれる機械が「ノントレー包装機」に変わって行く……
その機械で包まれるのは、お肉をはじめとする生鮮食料品だけではありません。
きっと、地球への想いも一緒に包み込まれていくのです。

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