2010/5/14 鈴木成和さんの情熱物語

今週は、このほど六本木ヒルズにステーキハウスをオープンさせた鈴木成和さんの情熱物語。
実は、鈴木さんはこれまで数々の人気レストランを手がけて来た仕掛人。 その仕事を支える情熱の源とは 果たして?

鈴木成和さん。
彼のキャリアはホテルマンとしてスタートします。
時は今から30数年前、東京ヒルトンホテルに入社。 その後、ヒルトンホテルから名前を変えたキャピトル東急ホテルの営業支配人に着任します。
当時のエピソードをひとつ。

  

キャピトル東急ホテルという名前自体が、世間的にも世界的にも知られていなかったんですね、ヒルトンから変わってしまったので。 宿泊客の7割を占めていた海外からのお客様が半分くらいに減ってしまったんです。 それで何とかホテル自体を認知させようということで、じゃあヒルトンのときは断っていたミュージシャンとか、世界的に有名な人に泊まってもらえば、あの人が泊まったホテル、それから取材でテレビが入りますのでね、それから有名な人が泊まるようになったんですね。
エリック・クラプトンとか、それからもちろん、マイケル・ジャクソン。
おそらく東京に来るミュージシャンの半分くらいは泊まっていたと思います。

レコード会社や、コンサート・プロモーターに飛び込みで営業。
思い切った交渉で著名なアーティストに宿泊してもらうことに成功しました。

その後、昔からの夢 「自分のレストランを作ること」を実現するため、ホテルを飛び出します。
1995年、会社を設立。 そして……

1軒目は新宿のアイランドタワーというビルだったんですけど……
普通は1軒をしっかりやるというのが独立するときの定石だと思うんですけど、1軒目をやるうちにすでに2軒目の話が持ち上がっていて、それがお台場なんですけど、当時、青島幸男さんが知事になるときで、都市博が中止になって、お台場が廃墟になるっていうときで……そのときに東京都肝いりで高層住宅を建て始めたときで、その1階の店舗の借り手がいないと。 それで見に行ったら、目の前はビーチで、橋は見えるし、夜景は綺麗だし、ものすごいいいロケーションだったんですね。 普通ならレストランをそこでやりたい人はいないんでしょうけど、そこでどうしてもやりたくなって。

このとき、オープンしたお店の名前は、「ブルスケッタピックス・カフェ」。 当時は、今のように開発されていないお台場。
そんな場所で大丈夫なのか? 誰もが首をかしげました。 しかし……

そのお台場のブルスケッタピックス・カフェというのが、レストランではあり得ない売り上げをあげる大ヒットとなって。 イタリアン・レストランで一日10回転くらいするお店になったんですね。 普通の常識からは考えられない、オープンして3ヶ月後には、5200万くらいの売り上げをあげまして。 70坪だったら、1,500万円で成功、2,000万円で大成功……そこで5000万円くらい売ってですね……
そのお金で優雅に暮らせばいいのに、次から次へとお店を開けることになるんですけど。

「あり得ない売り上げ」を記録。 でも、鈴木さんは動き続けます。

当時、パークハイアットがオープンしたばかりでニューヨークグリルっていうのが、日本で一番売れてたレストランなんですけど、非常にかっこいいんですよね。

それで、あんなレストランをやってみたいということで、たまたま東麻布に物件があって、そこでそのホテルのなかではない、街の中なんだけどニューヨークグリルみたいにかっこよくて、ウェイターは若いイケメンで、という、それが3軒目なんですが、「イル・ピノーロ」というレストランを開業したんですけどね。

仕掛けたレストランが 次々に大ヒット。
しかし、このあと、鈴木成和さんは大きな壁に直面することになるのです。

高級レストラン、カジュアルイタリアン、ジェラートショップが13〜14軒。
55軒くらいまでいくんですけど、借金も増えてですね、リースも含めて30億くらいの借金になって。 売り上げが50億くらいですかね、それで、このままでいくとまずそうだなと思って、不振店を一気に閉めようかとか考えてたんですけど、ある日、寝てて目が覚めて、思ったのが、一番手塩にかけて育てた一番いいブランドを売ったらいくらくらいになるかなと。 ひょっとしたら20億くらいになるかなと。
それで借金を7割くらい返しちゃったら、また新しい道に進めるんじゃないかなと思って、その道に進むわけなんですね。

莫大な借金を前に、決断は大胆でした。
「一番大切なブランドを手放そう」。

この決断の裏には、こんな想いがありました。

    

私はどちらかというと、同じ名前でたくさん作ってると飽きてしまうんですよね。
こういう店が面白いからこういう店作りたいと考えるほうが好きなんですね。

普通の会社は新しいことを考える方が非常に大変なんですね。だから、一軒ヒットしたら、それでどうチェーン化して作ろうかとか、そういうのが普通なんですけど、私の場合は、考えてそれを実現させるほうが好きなので、じゃあまた一から考えればいいやと。

新しいものを作るのが好き。
ならば、また1から考えればいいじゃないか。

鈴木さんの新しい挑戦はすでに始まっています。
六本木ヒルズにオープンさせたのが、37 Steakhouse & Bar。

ヒルズのなか、六本木周辺を見てもイタリアンはたくさんありますし「じゃあ、どんなお店がいいだろう?」と、「このあたりは外国人のビジネスマンも非常に多いんで、お肉関係はどうだろう」といったところ、一番美味しいのはステーキハウスなんですよね。 私は実はステーキが大好きで、赤身のステーキが大好きで……それじゃステーキ屋を考えようかなということで、それでスタートしたのがこの、37 Steakhouse & Barということです。

ニューヨークやハワイにあるようなステーキハウスを作りたい!
情熱が、また1軒、新しいお店に結実しました。
仕掛人の、「常に新しいものを作りたい」という想いが東京の食いしん坊を 楽しませて続けてくれるのです。

» 37 Steakhouse & Bar

TOKYO UNITEDチームもいただいてきましたよ。