2010/3/19 沖縄国際映画祭

今週は、あのヨシモトが手がける映画祭。
今年が2回目の開催となる、沖縄国際映画祭のHidden Story。

 

吉本興業株式会社。
笑いを生み続けて、2012年に100周年を迎えます。
そんな会社が、なぜ「映画祭」を開くことになったのか?
内田久喜さんは、その始まりをこう振り返ります。

2007年の5月に、カンヌ国際映画祭に、ダウンタウンの松本人志監督の「大日本人」という作品があって、彼が初監督をした作品なんですが、それがカンヌの監督週間というカテゴリーに選ばれまして。 それで当時の吉本の副社長だった大崎とみんなで行こうと、こんな珍しいことはないからと。 本人、作家など含め大人数で行ったんです。

彼が生みの親で育ての親でもある、ダウンタウンの片割れの松本が映画の監督をして、それが世界の3大映画祭に招待される。もう、興奮してましてですね。
なんで興奮したかというと、吉本興業は寄席小屋があってそこに立つ。
そこで人気が出るとテレビに出てレギュラーを持たせてもらうとか、だから寄席とテレビを大きな生業としている、それで芸人さんが生活をしている会社なんですね。
それが、違った映像作品を芸人が作って世界に認められる、ということで、感極まってカンヌの街を歩いていました。

青い空と青い海と、日本に帰ったら映画祭をしよう、と言い出しました。
そのときは、はいはい分かりました、と。
それでその年の7月に大崎から「あれ、沖縄に行ってきたんか?」と言われて。

当時、吉本興業の副社長、現在は社長の大崎洋さんがカンヌの街を歩きながら言った言葉「映画祭をやろう」。
それは 冗談ではなかったのです。

青い空と青い海。 大崎さんの頭にはすでに「沖縄」がありました。
内田久喜さんは、すぐに沖縄へ飛びました。

第一回目は、北谷町のアメリカンビレッジというところがあって、海があってシネコンもあったんですね。
そこでやるというのは大崎の頭の中にあったんです。

それで県の観光振興課と北谷町役場に行って、吉本興業ですけどこんなことやりたくて来ましたと。
話を聞く県も町もポカーンですよね。この人、何言いに来たんやろ?というのが最初ですね。
で、7回くらい通いましたかね。
で、やっと7回目くらいに「あ、マジでやる気なんや」と。
それまで30分くらいで「忙しいから帰ってくれる?」みたいな感じだったんです。

この時点では、開催場所以外のアイディアはゼロ。
2007年秋、5〜6人が集まって、いったい何をやるのか、ミーティングが始まりました。

「映画祭やんな」っていう映画祭という名前にとらわれるわけですよね。
映画なんて見たこともない人もいるのと、吉本のマネージャーも忙しくて映画が見れない。 プラス映画祭というのは行ったことがない。

じゃあ、俺たちらしい映画祭ってどうやって作ったらいいんや?ということで、ある何回目からか、ある人が「お笑いに特化した映画祭にしたらどうや」と。
いや、そんなんじゃ映画集まりませんやん。 だって、コメディって日本じゃヒットしないじゃないですかと。
それでまた振り出しに戻ったりするんですよ、ミーティングが。

でも、何回か重ねるうちに、「やっぱり得意なことやろうや」。
で、ほぼ10回目かなんかのミーティングで、コメディに特化した映画祭にしよかと。

コメディに特化した映画祭を作る。
目指すべきものは決まりました。
しかし、難題が立ちはだかります。
コメディ映画が集まらない。

これは初めてしゃべるんですけど、途中、コメディ作品が集まらないんですよ。
ないんですよ。

テレビ局の映画部の方も、そんなこと言ったって無理に決まってるやんと。
なんで吉本が沖縄で映画祭をすんのと。 1プロダクションが映画祭をしますって話ですから。
「またまた〜」みたいな。 お話をしても集まってこないんですよ。

もうひとつは海外のコメディ作品って、日本の配給会社が受けないんですよ、ヒットしないから。
だから、もっと情報がないんです。
じゃあ、海外に当たろうかって言ったってパイプないですからね。 吉本興業なんて関西弁しかしゃべれない人の集まりですからね。

で、途中、会議をまたしだしても、これやめなあかんちゃうか。 いやいやいやいや、ま、やりましょうや、誰かがまた言う。。。

で、もうひとつ問題は、お金をどうやって集めるか。 映画祭にお金がかかるなんてあまり思ってなかったんです。
でも、めちゃめちゃかかるらしい。
どうする?みたいな。
じゃあ、俺らもお金だす? 俺らのお金も出すの? じゃあ、どっか行きいや。どこに〜?みたいな(笑)

それ自体がコメディのようなミーティングと、さまざまな交渉を経て、2008年10月、第一回沖縄国際映画祭開催の記者会見。
カンヌで夢見た、自分たちの映画祭が、いよいよ幕を開けようとしていました。

何とか開催にこぎつけた沖縄国際映画祭。
観客の反応は...

みんなものすごい笑ってくれてたんですよ。
映画祭のテーマ、ラフ&ピースというテーマで始めたので、笑顔が会場中にあふれてたということだけは間違いなかったですね。
歩いてくるお客さんがみんな笑顔だった。
それはよかったですね。

第2回沖縄国際映画祭は、カウントダウン期間が 明日3月20日から23日まで。
続いて 24日から28日の期間で 映画祭が開催されます。
ラフ部門13本、ピース部門13本が コンペティション対象作品。
加えて、過去の名作のリスペクト上映。
さらに、映画だけでなく、お笑いのステージも大規模に展開されます。 

より詳しい情報は、沖縄国際映画祭のサイトをご覧ください。