2010/1/29 福井県 三国港

福井県北部、三国港。 日本海の荒波と、吹きつける雪まじりの風に向かって、彼女は大きく背伸び。
そして心に決めました。 暖かいおすましを食べよう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。


今週は福井県、坂井市三国町です


観光名所の東尋坊。

荒々しく削られた断崖絶壁が1キロあまり続き、そこに打ち寄せる荒波が水しぶきをあげます。

その絶壁の形は五角形や六角形の岩の柱の集まりで、地質学的に大変珍しい「柱状節理」といわれるもの。

国の天然記念物に指定されているその岩は、太古の火山活動により、マグマが冷えてできたもので、世界でも韓国の金剛山、ノルウェーの西海岸と東尋坊の3ケ所だけ。
大自然が創造した、珍しい種類の石で作り出された芸術作品。そういっても過言ではありません。

真冬の今は、越前ガニのシーズン

極寒で吹雪の悪天候でも、わざわざ観光客がやって来るのが三国町。
お目当ては冬の味覚の王様といわれる「越前ガニ」です。

これは、暖流と寒流がせめぎあう福井県沖でとれたズワイガニの愛称で、雄はズワイガニ、雌はセイコガニと言われています。

身は、繊維が細くてほのかな甘味があり、舌触りが滑らか。

爪に黄色いタグが付けられ、まさにブランドです。そしてそのカニを食べさせる旅館は、真冬がピークの高い料金です。

それもそのはず、週に1回から2回行われるセリで、カニ一杯が1万円から、10万円で取引されるものもある、ということですから、やはりそれなりのお値段にならざるを得ないようです。

競り落としたカニをどう食卓に出すかが、宿の腕の見せ所

カニは何より鮮度が命。だからセリの直後に生け簀に入れます。
そしてこだわる旅館は、海辺に生け簀の施設を構えて、新鮮な海水を循環させながら、ひと月ほどカニの体内にある泥を吐かせます。
まあ、デトックスのようなものでしょうか。
十分に寝かせてから食すカニの身の味たるや、まるで海水のようでもあり、ほんのりと甘くもあり…。

カニ刺し、焼きガニ、茹でガニ、カニ鍋、カニ雑炊。

カニのオンパレードのフルコースでも飽きることなく食べ尽くし、翌朝はあっさりとしたカニのおすまし。

「お取り寄せ」が盛んな今、わざわざ行く理由。


そこでしか食べられない味だからなのです。


昆布と蟹味噌だけで味を整えて作られた鍋は、あっさりしているのですが、ダシでいただくカニのおすましはまた違ったさっぱり感。

朝からついついご飯がすすみます。

三国の漁港の周辺には、料理どころなどもいくつかありますが、朝ではなく、夕方にセリが行われるので、朝ご飯はやはり旅館や民宿でいただくというのが一般的になります。