2010/1/15 東京R不動産

今朝は、新しい視点で不動産を発見し、紹介するウェブサイト「東京R不動産」のHidden Story。

東京R不動産。
そのウェブサイトには賃貸物件、売買物件がずらりと並びます。 どの物件にも、まずは一行、キャッチコピー。
例えば、「6メートル・ガラスウォール」、「レトロ散歩」、「はたらきやすい家」。
さらにクリックして解説を読むと、キャッチコピーの意味が分かります。
その物件を取り上げた理由が そこにあるのです。

代表の吉里裕也さん いわく、「不動産のセレクトショップ」、東京R不動産。
そもそも、設立に至ったきっかけは。。。

僕が物件を探すときに、街の不動産屋さんに行きますよね。 そうすると、新しい物件だったり、駅から近い物件だったり、フローリングの物件だったり、同じような形の物件しかなかなか紹介してもらえない。

自分としては、駅からちょっと遠くても広い物件がよかったり、古い物件も逆に味があってよかったり。 というのを志向してましたと。
それを不動産屋さんに話してもなかなか理解してもらえない。 なんで古い物件がいいの?と。 それがひとつです。

もうひとつは、例えばオフィスとかでも、倉庫っぽいオフィスとか、ニューヨークのロフトっぽいのはないのかとか、知り合いから探してくれと頼まれることも多くてですね、ただそれを不動産屋さんに言ってもなかなか理解してもらえない。
それを僕が翻訳するような役割でお手伝いしてきたんです。


もうひとつ、大きなポイントとなったのが、「2003年問題」でした。
都心に大規模なオフィスビルが続々と登場、既存のビルに大量の「空き」が出ると予想されていたのです。



その中で僕らが注目していたエリアで、中央区の隅田川あたり、東日本橋だったり、馬喰町だったり、千代田区の東神田だったり、もともとの下町というエリアですね、そこが2003年問題で空き室が結構出てしまったと。
そのタイミングで、アートイベントが開かれることになったんですね。

そのときに、空いてる物件をギャラリーに見立ててアートイベントをやろうと。
で、その物件をイベントが終わったあとに東京R不動産で扱おうと。
それがちょうど2003年の11月でしたね。


いくつかの流れのなかで、物件を「東京R不動産」というウェブサイトにまとめることになりました。 反響は絶大でした。
しかし、行く手には、乗り越えるべき壁があったのです。



反響は大きかったんですけど、ビジネスになっていなかったんですよ。
問い合わせはあるけれど、借りてくれないという。
馬喰町とか東日本橋とか、誰も知らない。
誰も知らないっていうのは、渋谷、青山あたりでやっているクリエイターの人たちって、とにかく知らないし行ったことがない。

「興味があるんだけど、借りるところまでいなかいという」そういうリアクションだったんですよね。


2003年、東日本橋、馬喰町といった下町のエリアを中心に物件紹介をスタートした東京R不動産。
この地域の物件が数多く契約に至るようになるまでには、時間がかかりました。



そのころは、不動産仲介ビジネスというよりは、地域の活性化といいますかNPOでも何でもないんですけど、そうした意識のほうが強くて。


代表の吉里裕也さんによると、そのエリアの状況がようやく変わったのは、2008年ごろ。
現代アートの有名ギャラリーが移転してきたことをきっかけに物件も活性化。
町の空気にも 新しい風が吹き込まれたのです。

2004年からは、中央区だけでなく、渋谷にも拠点を設けより幅広いエリアの物件を紹介するようになります。
しかし、物件集めは難航を極めました。
吉里さんからのリクエストに不動産業者は眉をひそめます。



天井高い物件ください、とかって言われても、探しようがないんですよね。
普通の物件の情報に書いてないですから。

川沿いの物件とかは「かろうじて」。 バルコニーの広い物件というのも「かろうじて」。
Viewがいい物件と言っても伝わらなくて、公園の近くの物件ないですかとか。 駅から20分以上かかる物件ないですかとか。 築20年以上の物件ないですかとか。
世の中の逆逆でいくから、不動産屋さんには、けむたがられましたね。


スタートからおよそ6年。
東京R不動産は、実績を作ることで 状況を切り開いてきました。



半年間、お客さんの案内が一件も入らなかった物件がありましたと。
それは築30年の古い物件ですと。

それを僕らがサイトで紹介したら、20組くらいお客さんが内見に来ちゃうわけですよ。


既存の不動産業の概念をくつがえすべく登場した「東京R不動産」。
ウェブサイトにならぶ多様な物件。。。
そのひとつひとつには、こんな想いが込められているのです。


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