2010/1/8 青森県 大間町

本州最北端の下北半島から津軽海峡を見渡し、雪雲の合間にかすむ対岸の道南を望んで、彼女は大きく背伸び。

そして心に決めました。 日本一といわれるマグロを食べよう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。

今週は青森県下北半島の先端、大間町です!!

函館への「津軽海峡フェリー」の出港準備が忙しいこの時間。 次々と車が船に乗り込んでいるところですが、何といっても近年ここで水揚げされるクロマグロが、ブランドとして有名です。

太平洋と日本海の海流が複雑に交わり、潮の流れが必然的に早くなるこのあたり。
サンマやトビウオ等を追ってきたマグロがこの津軽海峡にやって来る頃には、上質な脂がのっています。

特に海水温が一番下がる年末が、一番おいしいとされる時期。
築地市場で5日に行われた初セリで、重さ232.6キロの天然の大間産クロマグロが1,628万2,000円の最高値で競り落とされました。
キロ当たり単価は7万円。 過去10年で3番目の高値だそうです。


実はマグロがほとんど獲れない時期もありました


かつてのマグロ漁は、7月から10月ごろまでが最盛期とされ、伝統的な一本釣りが主流。
死んだサンマやトビウオなどをまるで生きているかのように見せる仕掛けで、「アタリ」を待つというもの。
船が大型化し、経済成長で食の高級志向がはじまった70年代後半に大間沖の魚影が薄くなり、水揚げが激減したことがあります。
青函トンネルの工事、温暖化による水温の変化などなど、原因はいろいろと取りざたされましたが、ここ15年あまりは、再び大漁となったことで、マグロの生態系にはまだまだわからないことが多いという結論に落ち着いているようです。
ただし水の流れが変わったのでしょうか、マグロ漁の最盛期はぐんと遅くなって、9月から12月、そして時には年明けまでというのが最近の傾向だそうです。


クロマグロを地産地消で


東京の料亭や有名寿司店で高級食材として珍重される反面、人口6,000人あまりの大間では水揚げこそすれ、地元での消費は微々たるものでした。

しかし「大間のマグロ」の名前が全国区になるに従い、この地にマグロを目当てに訪れる人も少しずつ増え、古くからある食堂やすし屋の他にマグロ専門店も去年秋オープン。
自社で船を持ち、釣ってきた近海物のクロマグロを店舗の中の工場でお客さんの前で解体。
そのまま切り身を販売したり、調理して店内で食事もできる。
こうして地域の活性化をしていこうという試みです。


口の中でとろける、という脂の乗ったトロの味わいは、ホンモノを体験した人でなければわかりません。
初セリのクロマグロは、半分が銀座の高級寿司店、そしてあと半分が香港をベースにし、日本にもフランチャイズがある、寿司のチェーン店によって購入されました。
そんな縁起物を食べるか、それとも本州最北端に食べにいくのか。 どうしましょう。