2009/12/11 ボックスフラワーの誕生秘話

今週は、デンマーク出身のフラワー・デザイナー、ニコライ・バーグマンさん。
箱の中にお花を敷きつめたボックスフラワーが大人気。

そして、六本木ヒルズ52階 東京シティビューで開催中、スカイ・イルミネーションも手がけるニコライさんにお話を伺いました。

ニコライ・バーグマンさんが日本にやってきたのは、今からちょうど10年前。
デンマークでおよそ3年間半、フラワービジネスについて学んだ後、そのトレーニングコース終了をお祝いしようと、父親の仕事でゆかりのあった日本へ旅行することにしました。

次どうすればいいかっていうところで、日本に行くチャンスがあったので日本行ってみようと。

東京はもちろん、京都も行ったんですけど、あとは花屋さんの知り合いのところに行って、もともと父親が園芸、鉢物を扱っているところの知り合いだったので、そういうところも行ったりして、3ヶ月間くらい。
で、デンマークに戻って、それで1年間はデンマークにいたんですけど。 その3ヶ月の印象がバンバン来て、すべて雰囲気が違いますね。
すごく面白いなと思って、そこでまた、1年後にビザを取って日本に来たんですけど。

食べ物も、街並も、言葉も違う。
強烈な印象を受けたニコライさんは、日本で働く決意をします。
埼玉県川越市のお花屋さんで仕事に就き、日本語を学びながら、お花を売る毎日。
その後、都心のショップを任されるようになりました。

ニコライさんにとって幸運の場所は、南青山の骨董通り。

この通りで働いていたときに、その後、ニコライ・バーグマンさんの代表作となるボックスフラワーが生まれたのです。
きっかけは、ひとつの依頼でした。

骨董通りのお店での事だったんだけど、ちょうどそこに引っ越してから、このボックスフラワーが生まれたんです。

ショップに立っていたら、お客様が入って来て「プレスのギフトとして考えているんですけど、そういうのやってますか?」と聞かれて「はい、やってます」とすぐに答えたんですけど。
「今までにない規模で、数が多くて、あまり場所がなくて、だけどお客様にすぐ出せるような商品はないんですか?」と。

花屋だったらすぐ考えるのは、ブーケだとかアレンジメントだとか、なんですけど、そうすると、あのくらいの数だと置けないし、袋に入れるのも面倒くさいし、それはできないと。

プレス向けのイベントでのおみやげ用にお花が欲しい。
しかし、条件がありました。
そのお花を置くスペースが限られている。
そして、量も多い。
だから、できれば、重ねて置けるものにしたい。

「花は重ならないですよ」と思ったんです。 もちろんお客様には言わないですけど。

花を重ねる。

それは、普通では考えられないリクエストでした。
ニコライさんの眠れない日々が始まりました。

「大量に重ねて置くことができる、プレゼント用のお花が欲しい」
このリクエストに応えるべく、ニコライ・バーグマンさんは、ひとつの方法を思いつきました。

無理矢理にいろいろ考えたんですけど、アレンジメントとかブーケとか、そういうところでボックスに入れてパッケージしたりして重ねたりしたんですけど、自分も満足できなくて、で、いろんな箱をたくさん買って。 急に、「箱に直接花を入れたら」というところでアイディアが始まって、自分で「これはいいんじゃないかな」というサンプルを作ったんですよ。

これが、四角い箱にびっしり花は詰まった、ボックスフラワーが生まれた瞬間のお話。
しかし、そこにはもうひとつのHidden Storyがありました。

一番面白かったのは、もともと注文した方、もともと来た方には、注文を貰わなかったんですよ。

不可能に思える要望を出したその人は、結局注文をしなかったのです。
でも、智恵をしぼり、ギリギリまで頑張ったお花屋さんを、幸運の女神は しっかり見ていました。

すごくサンプルを、お店のなかにバンバン、サンプルが置いてあって、やっぱり毎日、人がいっぱい通って、「何ですか、これ?箱のなかにお花が入ってるの」と。 たくさんの人からいい反応があって、「これだ」と思って、お店の商品として出し始めたんですけど。

お花を買うことが大好きで、仕入れのために市場に行くのも最高に楽しいという、ニコライ・バーグマンさん。
最後に伺いました。
日本に来て10年、振り返ってみての感想は?

チャレンジがいっぱいあるっていうところ。 毎日の生活をしている中での緊張感がやる気になるんですよ。

デンマークと日本で仕事をして、そのワクワク感や緊張感が毎日のインスピレーションになるんだと思います。
あちこち行って、いつも違う印象が入ってくるので、そこがデザインに映ったりとか。
文化が全く違うからね、日本とヨーロッパとは。 そのコントラストが楽しい。

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