2009/7/10 松嶋啓介さんの情熱物語

今週はフランス、ニースに一つ星のレストランを構えるシェフ。 松嶋啓介さんの情熱物語。

先月、東京・神宮前に1軒のレストランがオープンしました。
お店の名前は、「レストラン・アイ」。
プロデュースを手がけたのは、フランス・ニースに一つ星のレストランを持つ、松嶋啓介シェフ。
実は、松嶋シェフがミシュランの星を獲得したのは28歳のころ。若くして、高い評価を得たのです。

「フランスで何かをやりとげたい」っていう気持ちがあったんで。 お店が開きたい、フランスで出すっていうのは20歳のときから決めていたんで、誰もやったことがないことをやりたい。 それには、日本人でフランスに店を出すっていうのはそんなにあったことじゃないし。。。 どうせなら、やったことのない、店を出して星を獲るっていうのをやりたかったんです。

20歳で初めてフランスに渡った松嶋シェフ。
当時の自分自身をこう振り返ります。

無謀、がむしゃら、向こうみず。

「ボンジュール」、そして「働かせてください」という言葉だけを覚えて降り立ったフランスでした。
以後、フランス各地のお店を転々。
いくつかのトラブルを経験し、、やがて心に決めました。
「大好きなフランスに残るには、自分で店を開くしかない」

そして、25歳の誕生日。 南仏 ニースにレストランをオープンします。

自分の目の中に通るニースを表現しようと思っています。

松嶋啓介っていうフィルターは日本人なんで、他のフランス人には見えないものが見えるんじゃないかと。
それだけ意識して仕事しています。
旅をしているとよくあることなんですけどね。旅から帰って来たときに、出張して帰って来たら、普段気がつかないけど気づくことってあるじゃないですか。

22席のお店は、すぐに地元に受け入れられました。
2006年版のミシュランで一つ星獲得。

日本からやって来た挑戦者が 大きな何かをつかんだ瞬間でした。

28歳。。。若くして、ミシュランの星を獲得した松嶋啓介シェフ。
常に大事にしているのは、視点をずらすこと。

ニースにいるときは 外国人である日本人として。
そして、東京のお店をプロデュースするときはフランスに暮らす者として。
外からの視点を持ち続けています。
神宮前にオープンした「レストラン・アイ」にはこんな想いを込めました。

制限があるお店にしようと思ったんですね。 地産地消っていうこと、それからいろんな工夫のあるお店にしたいと思いました。 制限することによって、その土地の良さを表現できるんじゃないかと。 そうすることによって「らしさ」が出ますよね。 東京らしさって、東京の人が何人わかるかっていえば分からないと思うんですよ。 その東京らしさの追求ってことで、料理人というクリエイターとしてものづくりを楽しんでいきたい、というのがこのお店にかけた想いですね。

東京らしさとは何なのか?
食材は、関東近郊のものだけに制限することを決めました。
そして、東郷神社の森だった場所に開くお店だから、内装は「自然とともに生きる」というコンセプト。
さらに、スタッフの衣装は、すぐそばにある「ビームス」が担当。
さまざまなアイディアが詰め込まれました。

やっぱり海外でやってる経験はすごく大きいですね。 あとは自分が経験したことをどうやって伝えていくか。

それを同じ思いをもった仲間達と仕事をしながら、フランス語で分け合うという言葉、パフターゼというんですが、みんなで共有して成長していければ、新しいムーブメントを生めるんじゃないかと思ってますね。
ま、料理自体がそうですよね。
料理っていうのは、時間を楽しむためのアイテムで、自分が自分だけで楽しむものでなく、友であったり、家族であったり、一緒に時間を過ごすためのものなんですよね。

人と人をつなぐもの、それが料理だ。
そう語る、松嶋啓介シェフ。

そもそも、海外を目指す想いが芽生えたきっかけは、子供のころに出会った、コロンブスの伝記でした。
大航海時代に生きたコロンブスの精神が松嶋シェフの羅針盤となったのです。

コロンブスの卵みたいなことをやりたいですよね。

「それってオレにも出来るんだけど」って言われるようなことをしたいですね。
けど、一番最初にやれる勇気、言える強さを身につけたいですよね。
誰でも考えられることだけど、誰もやっていないっていう。

僕も一皿あるんですけど、牛肉のミルフィーユわさびっていう。
わさびをはさんでお肉をささっと焼くだけのものなんですけど、フランスですごく受けてるんです。
こんなの日本のステーキハウスで食べられるよって言うかもしれないけど、でも最初にフランスやる勇気って大事ですよね。

最後におっしゃっていた「牛肉のミルフィーユ わさび」はニースのお店のスペシャリテ。

松嶋シェフがプロデュースした「レストラン・アイ」。
原宿に先月オープンしたんですが、すでに人気になっているようです。
「東京らしさ」にこだわったレストラン。
さらに詳しくは、お店のサイトをご覧ください。

» Restaurant-I(レストラン アイ)