2009/4/17 スイスの銀行と守秘義務

銀行の顧客情報の守秘義務が法律上定められているスイス。
このほど、スイス政府は、銀行の守秘義務を緩和し、脱税の疑いのある顧客に関しては、外国政府の調査に協力し、資金情報を透明にすることを明らかにしました。

世界中の富裕層が、資産の預け先に選ぶスイス。

推計によりますと、タックスヘイブンと言われる地域におかれている富裕層の資産のおよそ3分の1が、スイスにあると言われています。
その総額は2兆ドル(およそ200兆円)にものぼるとも。。。

しかし、顧客情報を開示することになれば、顧客が離れていく、なんてことにもなりかねません。
こうした政府の決断を、スイスの銀行自体はどのように受け止めているのでしょうか?

スイス銀行家協会のインターナショナル・コミュニケーション部長、James Nasonさんに電話でお話を伺います。。

そもそも、世界の富裕層は、なぜスイスの銀行に資産を預けようとするのでしょう?

スイスの銀行が、世界の富裕層の信頼を得てきたのは、何百年にもおよぶその経営体質の安定性、そして安全性。銀行家たちの専門性。そして顧客情報を守る守秘義務です。

銀行の顧客情報を提出するという、アメリカ政府、さらに、OECD(経済協力開発機構)の要求に応じることになったわけですが、スイス政府はなぜこうした判断に踏みきることにしたのでしょう?

顧客情報を提出するのは、書類偽造などをともなう積極的な「租税詐欺」tax fraudと認めた顧客に関してのみ。 Tax fraudのほかに、単純な資産隠しである「単純脱税」tax evasionがあるが、こちらは違法ではあるものの、スイスでは犯罪にあたらない。そういった顧客の情報は出しません。

UBS銀行は230億スイスフラン(およそ2兆円)近い資産を失ったとも言われていますが、スイスの銀行の信頼性にダメージを与えることになると思いますか?

スイスには大小含め330近い銀行があります。 UBSは不動産担保ローンで巨額の資本を失ったけれど、UBSのケースだけで判断することはできない。 そもそも顧客情報を厳格に守るというスイス銀行の守秘義務だけが、スイスの銀行の強みではないのですから。顧客がスイス銀行を資産の預け先に選ぶのは、その歴史、安全性、銀行サービスの多様性にもあるからです。

いつこの金融危機から抜け出ることができると思いますか?

金融危機の入口に入ったばかりなのか、出口に近いのか、今どの位置にいるのか分からないのだからこれはわかりません。 ヨーロッパの金融危機をみると5年におよぶ低金利をはじめとしたいろんな要素が絡んでいる。金融システムに対する信頼をいかにしてもどすか、中小企業間がビジネスをスタートしやすいような資金ローンをスムーズにしたりすることも必要だと考えます。