2009/4/10 サイクロン掃除機開発のHidden Story

今週は、サイクロン方式の掃除機を開発した、James DysonさんのHidden Story。

サイクロン方式の掃除機。
今や日本でも広く使われていますが、そもそも、開発を始めるきっかけはどこにあったのでしょう?
ジェームズ・ダイソンさんは、そのスタートラインをこう振り返ります。

家で掃除機をかけていたんです。
でも、使っているとだんだん吸引力が落ちてくることに気づきました。
掃除機を調べてみると、問題は 紙パックにあることが分かりました。
ゴミを吸っていると目詰まりしてきて、空気の流れが悪くなるんですね。
そこで私は 吸引力が落ちない掃除機を作りたいと思ったのです。


自分が求めるモノがこの世に存在しないのなら、自分で作ってしまえばいい。

ジェームズ・ダイソンさんは、理想の掃除機の開発に着手します。
問題は紙パックにある。では、紙パックを使わないためにはどうすればいいのか?
意外な場所に 開発への扉は隠されていました。

ヒントは、製材所にありました。
ダイソンさんが目にしたのは、製材所の屋根に取り付けられていた大きなサイクロン。
木くずを集めるサイクロンを見て、ひらめいたのです。
これを掃除機に活用できるのではないか。

1980年。 開発がスタートしました。

イングランド西部の街、バース。
ジェームズ・ダイソンさんは この街にあった作業所で、製材所で見たサイクロンを 掃除機に導入すべく 研究を続けました。
もちろん 小型化することが必要。 さらに。。。

当時のサイクロン技術では、集められる物質は20ミクロンが最小だと言われていました。
でも、掃除機の場合、もっと小さな、0.3ミクロンの物質を吸引する必要があると考えました。
0.3ミクロンというのは、たばこのけむりくらいの粒子です。

どうすればそれを実現できるのか、試行錯誤が重ねられました。
作った試作機は、5,000台。
掃除機を作るために ほこりまみれになる、という毎日。
ダイソンさんいわく、
「特別なことを何かしたというよりは、勤勉にまじめに努力した結果」
サイクロン方式の掃除機は完成に至りました。

フィルターの場合は、ゴミはその膜のどこかで捕まるわけです。
つまり、その部分で目詰まりしてくる、ということなんですね。
でも、サイクロン方式では、空気の流れを妨げるものは何もないんです。

ダイソンというブランドネームのもとで、サイクロン方式の掃除機が発売されたのは、1993年。 そしてそれ以後も進化は続きます。

最後に伺いました。 ジェームズ・ダイソンさんの仕事の哲学。

常にアンハッピーであること。

常にもっといいものができると信じること。
だから、毎日職場に行くと、新しい技術を開発しようと思う。