2009/2/6 「スマイルシャッター」の開発物語

今週は、笑顔を撮影するための技術「スマイルシャッター」の開発物語。

被写体となっている人にカメラを向け、その人が笑った瞬間にシャッターが落ちる。。。
SONYがこの機能をデジタルカメラに最初に搭載したのは、2007年9月のことでした。
「スマイルシャッター」と呼ばれるこの技術、開発が始まったのは、ひとりの社員がこう思ったことがきっかけでした。

子供の写真を撮りたいときに、子供にカメラを向けても笑ってくれないじゃないですか。なかなか笑顔も引きつってしまったりとか。子供が笑った瞬間にシャッターを切るのがいいんですが、自分でその瞬間にシャッターをきるのは難しい。だったらカメラが自動でシャッターを落としてくれればいいじゃないか。
そんな発想から生まれています。

「子供の笑顔をうまく撮りたい。」
開発者のこの想いが すべての始まりでした。
まず取り組んだのは「笑顔集め」。

カメラがこれを笑顔を認識しないといけませんので、その仕組みをカメラに埋め込まなければいけません。なので、笑顔の写真をたくさん集めて、それを解析するところから始まっています。笑顔というのは特徴があって、目尻が下がるとか、口角が上がるとか、歯の見え方とか、いろんなポイントが重なって、これは笑顔だと判別しますので、いろんなデータを集めて、「笑顔の平均顔」というとおかしいかもしれませんが、そうしたデータ集めから始まっています。

さまざまな国の、さまざまな年齢の人の笑顔。
世界の笑顔が集められました。
そしてその膨大な資料を解析し、笑顔とは何なのか?
それを判断するシステムが構築されていったのです。

「SONYのスマイルシャッター」
この技術を支えているのは、デジタルカメラに内蔵されている「画像処理エンジン」です。

画像処理エンジン ビオンズというのが搭載されています。
基本的にカメラを構成するのは、レンズ、イメージャー、画像処理エンジンでスマイルシャッターについては、この画像処理エンジンで行っています。

レンズがとらえた光は、イメージャーと呼ばれる部分から「画像処理エンジン」に送られ、そこでそれが笑顔なのかそうでないのかが瞬時に判別されるのです。小さなボディの中で膨大なデータ処理が行われているのです。
そして、SONYの岡祐介さんは、この技術の画期的な点についてこんなコメント。

私がこの機能を見たときに最初に感じたのは、従来カメラは撮影する側がシャッターを押して写真が完成していたと思うのですが、撮影される側にシャッターを切る権限が移ったということで新しいカメラだなと思いました。それから1回スマイルシャッターのモードにすると何枚も撮影するんですが、仮に1枚目の笑顔が引きつっていたとしても、シャッターが落ちたことに反応して笑顔になるんですね。その2枚目のほうが自然でいい笑顔になっていることが多いですね。

もともとは 開発者が「子供の いい笑顔を撮影したい」というところからスタートした「スマイルシャッター」。
しかし、チームの中に常にあったのは。。。

お客様の声とどうマッチさせるかというのが、ものづくりの上では一番大事かなと思っています。技術がいくら先に進化しても、お客様のニーズがついてこないと意味がない。。。意味がないとまでは言わないけれど、カメラである以上はまずはキレイにとれること。そこから派生してより自然な笑顔とか、子供のよりいい顔を残したいとか、そういう風に進化していくと。。。

笑顔の写真が世界にあふれていく。
そしてその写真を見た人がまた笑顔になる。
新しい技術が 心と心をつなぎます。