こんばんは。今夜は「Tシャツ作りのエキスパート」をお迎えしました。
昭和10年、つまり1935年創業の久米繊維工業の専務取締役・久米博康(くめ ひろやす)さんです!
久米繊維工業の3代目でいらっしゃる久米さんのお話では、昭和10年の頃にはまだ、日本には「Tシャツ」という言葉すらなかったそう。
肌着に使う「メリヤス」の製造をする会社をスタートされた久米繊維工業さんがTシャツに出会ったきっかけは、アメリカ映画が大好きな映画少年だった2代目、つまり久米さんのお父様。
アメ横にも近い墨田区の本庄が発祥の地であった久米繊維工業さんの2代目がアメリカ映画やアメ横に興味を持たれるのは、自然な結果だったのかもしれません。
当時アメ横で売られていた米軍の払い下げのTシャツをご覧になって、お父様やご兄弟が、なんとか日本でもTシャツを作れないだろうか、と思われた事が、久米繊維工業さんとTシャツの、もっと言えばもしかして、日本とTシャツ文化との、出会いとなったのかもしれません。
その後試行錯誤を重ね、1950年代に久米繊維工業さんから売り出されたTシャツは、初めは「Tシャツ」という名前すら一般的ではなかったため、「色丸首」という名前で売られていたのだそう。
その後、「VANジャケット」や「ジュン」といったブランドのTシャツも流行したことも相まって、Tシャツは時間をかけて、私たちの生活にしっかり溶け込んだわけですね。
そんな日本のTシャツ文化発祥の地でお育ちになった久米さん、小さな頃からTシャツは選び放題。
でも、高校生の頃の反抗期には、ヘインズのTシャツなんかを着て、お父様にこっぴどく叱られた事もあったとか…。そんなお家ならではのお話ですね。
さて、久米繊維工業さんでは、先日開催された「LIVE EARTH(ライブアース)」のオフィシャルTシャツも作られました。
(「LIVE EARTH」は、ミュージシャンの方々が集って気候危機を訴えるイベントのことですが、こちらではその詳しいご説明は割愛させていただいて…。)
これは実は、坂本龍一さんから久米繊維工業さんへ直接、「アーティストパワー」というプロジェクトでオーガニックコットンのTシャツをという依頼があったことが事のはじまり。
以前から久米繊維工業さんでは、アメリカ産のオーガニックコットンを使ったTシャツを作っておられたわけですが、このとき久米さんは、坂本さんに紹介された「エコロジーオンライン」というNPO団体の方とお話をされて、原料も日本のものを使ってみてはどうだろうというお話に。
けれども日本でオーガニックコットンを生産しているところはほとんどなく、だったら日本にもともとあった「和綿」という品種を、自分で有機栽培してみよう!というプロジェクトにまで発展。
そうして、千葉県の鴨川で和綿種の保存に取り組んでおられる方から、40粒ほどの種を分けてもらい、栃木県で30年来有機栽培を続けていらっしゃる方の手を借り、種を増やすことから始められたのだそう。
それからボランティアの方々と一緒に、5年間という時間をかけて着々と種を増やし、昨年ようやく20kgほど、Tシャツ90枚分ほどの綿が採れたのだとか。
そしてちょうどその頃に企画された、「LIVE EARTH」のオフィシャルTシャツとしてめでたく採用されたわけです。
そんな大変な過程を経てやっとできた90枚のTシャツ、今日は見せていただくことができました。
和綿は繊維が太くて短く、Tシャツにするのにも紡績会社などの特別な協力を得て、大正時代からの古い編み立ての機械を使ってゆっくりと編み上げ、やっとこの形にすることができたというその布の手触りは、柔らかくて滑らか。それから、手のぬくもりを感じるような気がしました。
数が少ないため、今回はチャリティオークションという形で販売することになったそうですが、今回手に入れる事ができなかった方は、この和綿作りのお手伝いをすれば、数年後にはまた何十枚か作れるようになるかも…?
そんな風に作ったTシャツ、絶対捨てられない…どころか、私ならしばらく飾っておくかもしれません…。
みさと
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今日の曲は、「Rydeen 79/07 / Yellow Magic Orchestra」でした。 |