2008年12月16日

吉村絵美留 -2- 修復に携わるときの気持ち

今週 のゲストは絵画修復家の吉村絵美留さんです。

先月、イタリアのウフィツィ美術館で、ルネサンス時代の画家ラファエロの作品「ひわの聖母」が10年におよぶ修復作業を終え、公開されました。修復するのに10年かかったということは、修復作業を始める前の調査というのがかなりされているはずだと吉村さん。どんな素材で描かれているか、汚れだけ落ちて絵の具だけが落ちないような薬品があるか、汚れの成分は何か。。。などなど。そういったことを全部分析して、一番ベストな方法を模索していかなければいけないので、調査の時間がかなりかかるそうです。そして空気中の汚れだけでなく、当時の作品のほとんどが正面を保護するために天然樹脂でできているニスを塗っていたため、空気と触れ合うとどんどん酸化して、茶色くなっていってしまいます。だから古い作品は茶色みがかった色彩をもっています。良い作品は本来、そういった余分なものは全部とらなくてはいけないと吉村さん。そうでないと、茶色のサングラスをかけて綺麗な作品を見ているのと同じことになってしまうから。

吉村さんが絵画修復の仕事をしたきっかけは、吉村さんのお父さんが画家だったことから。画家はどうしても絵を描き始めて最初の頃は売れるわけもありません。それでも作品をつくるためには、大量の絵の具が必要になります。例えばお父さんは赤と黒を使った抽象画を描いていたそうなのですが、その赤い絵の具というのが非常に高価な絵の具を使っていたそうです。
合成したものだと安くあるのですが、やはり色が全然違うんだとか。良い絵の具を使いたいから、それを購入するのですが、そのチューブから赤を搾り出すときは、まるで自分の血液を搾り出す気がしていたんだそうです。どの画家もそれぐらいの気持ちで作品を描いているということを身近に感じてきた吉村さん。だから画家の有名無名に関わらず、真剣に描かれている作品が朽ちていくのはとても残念に思うそうです。「そういった作品を修復していきたい」というのが仕事を始めた最初からの気持ちだったとおっしゃっていました。
ShareSmile Staff| 22:00 | トラックバック(0) | カテゴリー:mon-thu

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