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日本で韓国現代文学「K-文学」が増えている理由とは?

日本で韓国現代文学「K-文学」が増えている理由とは?

J-WAVEで放送中の番組『ACROSS THE SKY』(ナビゲーター:玄理)のワンコーナー「WORLD CONNECTORS」。5月6日(日)のオンエアでは、翻訳家・吉川 凪さんに「K-文学」という愛称で親しまれている韓国現代文学にフォーカスしました。

■「K-文学」が増えている理由

吉川さんは、韓国の仁荷大学に留学し、韓国近代文学を専攻。現在は、韓国に関する著書の執筆、翻訳をされています。4月に発表された日本翻訳大賞では、吉川さんが訳した韓国の長編ミステリー小説『殺人者の記憶法』(著:キム・ヨンハ/出版社:クオン)が大賞を受賞しました。

『殺人者の記憶法』をはじめ、日本では韓国の翻訳本の出版が増えているそうで、その背景には3つの理由があると吉川さんは言います。

吉川:ひとつは、現代の韓国は先進国といわれていますが、日本が抱えている社会問題と共通しているんですよね。だから、日本人が共感しやすい内容が増えたかなと思います。もうひとつは、『殺人者の記憶法』はミステリー仕立てですけど、もともと韓国ではミステリーとかSFとかファンタジーとかはあんまり発達しなかったんです。でも最近の若い作家は、そういう作品をどんどん書いていて、エンターテインメントとしても読める作品が増えたかと思います。最後のひとつは、韓国文学翻訳院とか大山(テサン)文化財団などが、韓国文学を海外に翻訳・出版するときに支援金をくれるんですね。そういう支援を知って出版してくれる出版社が増えてきたことが言えます。

最近、韓国が抱える高齢化社会、少子化、就職難、格差社会、若者の貧困問題などの社会問題が作品のテーマによくなっていると話します。また、昨年はセクハラ問題など、「#MeToo運動」にも連動して、フェミニズム小説が多く出版されました。

■昔の韓国文学は?

最近の韓国文学のテーマを聞いた玄理は、「昔の韓国文学はどのような題材多かったか」と質問しました。

吉川:何十年か前の韓国文学は、だいたい日本の植民地時代の話や朝鮮戦争前後、軍事独裁政権など、社会で苦しむ人たちの姿を書いた小説が多かったんじゃないかと思います。
玄理:重そうな内容ですね。
吉川:そう、怖かったり悲しかったりすることが多いんですよね。
玄理:恋愛小説みたいな作品は?
吉川:そういう作品は少なかったなと思います。

韓国では、村上春樹さんと東野圭吾さんの作品が、絶大な人気を誇っていると吉川さん。

玄理:いま韓国で活躍している作家たちは、日本文学の影響をすごく受けているんじゃないですか?
吉川:韓国の若い作家で、村上春樹さんの影響を受けていない人って、あまりいないんじゃないでしょうか。日本の小説だけではなく、アニメとか漫画とか映画とか、最近ではライトノベルもすごく人気みたいです。

最後に吉川さんは、韓国文学と触れあえる場所として、神保町のブックカフェ「CHEKCCORI(チェッコリ)~韓国の本とちょっとしたカフェ~」を紹介。ここでは、韓国文学だけではなく、韓国に関連した本を扱っているそうで、韓国の作家を招いたイベントなどもおこなっているとのこと。韓国文学に興味のある人はぜひ訪れてみてください。

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【番組情報】
番組名:『ACROSS THE SKY』
放送日時:日曜 9時-12時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/acrossthesky/

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