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スポーツで「ゾーン」に入るとどうなる? フェンシング・太田雄貴が、その感覚を語る

スポーツで「ゾーン」に入るとどうなる? フェンシング・太田雄貴が、その感覚を語る

J-WAVEの番組『SEIKO SOUND STORAGE』。ミュージシャンやスポーツ選手など、各界で活躍するゲストがマンスリーで登場します。5月のマンスリーゲストは、公益社団法人 日本フェンシング協会会長・太田雄貴さんです。

これまで、オリンピックに4回出場した太田さん。初めてのオリンピックは2004年のアテネオリンピックでした。5月11日(金)のオンエアでは、アテネオリンピックの出場を決めた高校時代を振り返りました。

【前回の記事はこちら】太田雄貴「五輪で初メダリストになるのは僕だ」…練習を重ねた少年時代を振り返る 


■「ライバルに勝ちたい」という思い

小学校3年生でフェンシングに出会い、父と二人三脚で練習に励み、中学2年、3年と、全国優勝を果たした太田さん。通っていた平安中学校は中高一貫で、太田さんにとって、中学1年生でも高校3年生と練習できる環境は魅力的でした。6年間で自分の立ち位置が変わっていくことで、すごく勉強になったと言います。

太田:この学校は、顧問の先生はいても指導者がいないので、自分たちで練習メニューを考えてOBの先輩に提案をしに行って、直しがきて改善をして、「じゃあこれでいこう」と計画を立てるっていう、そういう伝統的な学校でした。

自分たちで、限られた時間で何をするべきかを考えることが、太田さんにとってすごく大きな経験になったそう。そんな学生時代に、太田さんが憧れる選手がいました。それが4つ年上の福田佑輔さんです。

太田:この方は、僕が日本で唯一と思っているくらい、ライバルです。彼が1年生でインターハイ3位だったんですね。2年、3年は優勝していたので、インターハイ3連覇するためには、もちろん1年目から優勝しなきゃいけないんです。「彼の記録を超えるぞ!」ということが、僕の最大のモチベーションでした。

その結果、太田さんは高校1年生で優勝。そのときの決勝戦で太田さんはフェンシング界にその名を轟かせる試合をします。

太田:15対0でインターハイ1年目優勝。松坂大輔さんふうに言うと、いわゆる決勝でノーヒット・ノーランみたいな感じだったんです。基本的に15対0っていうスコアを僕のキャリアで出したのって、たぶん今までで10回出たかどうか。インターハイ1年目決勝のタイミングで来たっていうのは、ものすごく大きな出来事だったかなって思います。


■優勝のあと…怪我に苦しんだ時期

しかし、その鮮烈な優勝のあと、太田さんに苦しい出来事が降りかかります。それは、座骨の剥離骨折。硬い椅子に座ったときに当たる骨と、太ももの裏の筋肉の付着部が剥がれる怪我だそう。足を開いて突く「ファンデブ」という技を出すときに痛みを伴うと太田さんは言います。

いろんな治療法を試すも、なかなかよくならず、苦しい時期を送ります。高校2年のときには、怪我に苦しみながらなんとか優勝したものの、周囲からは「去年のほうが強かった」と言われ、とても悔しかったと振り返ります。


■「ゾーン」を初体験

そんななか、大きな転機となる、全日本フェンシング選手権大会に出場します。太田さんは当時17歳で初出場でした。予選はすべて2位通過だったため、「優勝なんてできっこない」と太田さんは思っていたと言います。

太田:メダルを取れればいいかなぐらいに思ってたんですけど、あれよあれよという間に決勝までいくんですね。小学校のときに初めて会ったオリンピック選手が市ヶ谷廣輝さんだったんですけど、彼が決勝の相手だったんです。

試合が始まると市ヶ谷選手の猛攻により、手も足も出ない劣勢に立たされます。10対2と大きくリードされ、絶体絶命になります。このときに、もうダメだと開き直った太田さんにある変化が起きました。

太田:開き直ったと同時に、スポーツ界でよく言われる「ゾーン」っていうのに、初めて入れたというか、初体験しました。集中の向こう側にいけるというか、相手が次に何をするかっていうのが、だいたいわかる。

「ゾーン」に入ると、自分の予測と相手の動きがシンクロし、通常よりも相手の動きがゆっくりに見えるそうです。市ヶ谷選手の次の一手が完璧に予測できた太田さんは、見事に逆転優勝。現在、その制度はありませんが、当時は優勝すると無条件でナショナルチーム入りが約束されていました。

太田:もともと「アテネは無理だなぁ」って思ってたんですけど、一気に出られるんじゃないかってなって、必死にアテネに向かって突っ走っていくっていうのが、当時の高校生活でした。

その後、左足首の靭帯を断裂する怪我に見舞われながらも、インターハイ3連覇を果たします。さらに、福井県で行われた高円宮牌フェンシングワールドカップで3位、韓国国際大会でベスト8に入りました。この結果、アテネオリンピックへの出場という夢を叶えることができました。

次回5月18日(金)も引き続き、太田雄貴さんが登場し、4度の出場を果たしたオリンピックについて話します。オリンピックでメダルを獲得するまでの苦悩と、それを支えた音楽とは? ぜひ続けてお聴きください!

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【番組情報】
番組名:『SEIKO SOUND STORAGE』
放送日時:金曜 24時-24時30分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/soundstorage/

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