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戦争体験者「これは語っていいのだろうか?」 葛藤を経て…涙なしでは読めない一冊

戦争体験者「これは語っていいのだろうか?」 葛藤を経て…涙なしでは読めない一冊

J-WAVEで放送中の番組「BOOK BAR」(ナビゲーター:大倉眞一郎・杏)。毎週ナビゲーターのふたりが「今読むべき本」としてオススメの本を持ち寄っています。3月24日(土)のオンエアでは、杏が『沖縄戦を生きぬいた人びと 揺れる想いを語り合えるまでの70年』(著:吉川麻衣子/創元社)、大倉が『「国境なき医師団」を見に行く』(著:いとうせいこう/講談社)を紹介しました。

■「ただのインタビュー本ではない」戦争体験の話

『沖縄戦を生きぬいた人びと 揺れる想いを語り合えるまでの70年』は、戦争体験者から当時のことを聞いたインタビュー本ではなく、沖縄で生まれ育った臨床心理士である著者・吉川さんが、10年以上続けてきた研究テーマである「沖縄戦を経験された方との語らい」をまとめた本です。

戦争体験者がインタビューを受ける際、「事実だけを語ってください。それ以外は話さないでください」と言われることが多いそう。「記録を残す」という意味では、“事実のみ”が重要になりますが、体験者の中には、あやふやな記憶、感情的な部分、時間が経つことで自分の中で変わったことなど、事実だけでは伝えられない思いがあるものです。

:たとえば、防空壕を作っていたところを「出ろ」って日本軍に言われて、出なきゃいけなくなった。「出ろ」って言われて、悲劇に見舞われて生き残った人が語ることはあるけど、「出ろ」って言ったほうの人は、「果たして語っていいのだろうか? 人を傷つけた側なんだから、語る資格なんてないんじゃないのか」っていう葛藤があったりする。
大倉:そちらの方にもお話を伺っているわけですね。
:なので、参加するまでにどれくらいかかったとか、話すまでにどれくらいかかったっていう、現代の話の本なんです、これは。

終戦から70年経った今でもなお、戦争が人々の心に影響を与えているということを実感する一冊です。杏がこの本を手に取ったきっかけは、友人がSNSで「声をあげて泣いた」と紹介していたからだそうで、実際に本の一部を読んだ大倉の目からは涙がこぼれました。

■『「国境なき医師団」を見に行く』で大倉が惹かれたエピソード

続いて、『「国境なき医師団」を見に行く』を紹介した大倉は、本書に書かれた、いとうさんが最初に出会った看護師とのやりとりに考えさせられたと言います。

看護師に「なんで国境なき医師団に入ったんですか?」といとうさんが尋ねると、「違うんです。国境なき医師団に入るために看護師になったんです」と返答したというエピソードです。

大倉:使命感というよりも、「困っている人がいたら助けるのが当たり前でしょ?」っていうところから、みんな発想しているんですよね。それがね、この本を読んでいるとスッと入ってきちゃうんですよ。すごく考え方がシンプル。そこがグッとくるんですよ。
:本当に行動に移せるか移せないかって、ものすごく隔たりがありますよね。

それぞれが胸に響く内容に触れ、本について熱く語りました。ぜひチェックしてみてください。

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【番組情報】
番組名:「BOOK BAR」
放送日時:土曜22時-22時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/bookbar/

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