音楽、映画、エンタメ「ここだけの話」

ボブ・ディラン研究家が語る、飽くなきライブへの追求

4月9日にオンエアされたJ-WAVE土曜夜の番組「THE MUSIC SPECIAL」(ナビゲーター:サッシャ)。今回の特集は先週から引き続き、現在ジャパンツアー中のレジェンドアーティスト、ボブ・ディラン。

今週もミュージシャンのおおはた雄一さんと、レコード会社時代にボブ・ディランのディレクターを務め、ボブ・ディラン研究家としてファンの中ではお馴染みの菅野ヘッケルさんが対談し、「ボブ・ディランはなぜ、今もなお歌い続けているのか?」に迫りました。

ライブ会場の話で「今回もZeppかと思ったらオーチャードホールなんですね」と言うおおはたさんに、ヘッケルさんは「今やってる曲がみんなで立ち上がってって感じじゃなくて、じっくりと聴いてくれという曲。カバー曲が多くて、今までのロックコンサートとはまた違うコンサートになってる。今までとはまったく違うディランのショー。まだ解明できてないけど1幕2幕で演劇的な構成をしていると僕は思う」と答えます。

さらに「視覚的には照明が暗い。スポットライトを使わないからボヤッとしてる。聞き手は歌に集中するしかない」と続けるヘッケルさんに、おおはたさんも「確かにものすごい暗かったですね」とライブを思い出すと「映像を見ても、暗がりで誰かが歌ってる……くらいのものしかない。多分、映像に撮られることを嫌っていると思う。写真も嫌うし、最近はまったく人にも会わない。ステージが終わると楽屋にも行かずに、バスに乗って帰っちゃう」と、最近のスタンスをヘッケルさん明かします。

「じゃあ、すぐ来てすぐステージに行く?」と聞くおおはたさんに「いや、サウンドチェックは必ずやる。これは見事。同じセットリストに固定しているから、やらなくてもできるだろうと思うけど、それでもやってる。自分がやること、ステージで歌うことに対して妥協はしない。サウンドチェックをせずに出てきて歌っても客は満足すると思うけど、そんなんじゃ今の自分をさらけ出したことにならないと思ってると思う。生きてる限り、その時の自分とは違うわけじゃない。それを音楽を通して人に伝えたいと思ってると思う」と熱く語るヘッケルさん。おおはたさんも「みんなが求めることじゃなくて、自分が今やりたいことが一番ですもんね」と共感していました。

さらにヘッケルさんは「公演終わり、観客に手を振ったりするアーティストもいるけど、ボブ・ディランの意向は、ショーが全部終わるとステージ上に一列になって観客を睨みつけて、どんな反応をするのか見極める。ショーはどうだったのか気になるし、確かめようと思ってると思うけど、そのまま手を振らず頭も下げず引っ込む。『どうもありがとう』と言ったことが1回か2回あるだけ。それがネットで大騒ぎになるほど。あくまでも『客を楽しませるために何かやるって気はない』と僕は断言できる。自分が今出せるものを出して、それを客が喜んでくれたかどうかを見極める。そういうのが今も続いてる。見る方も分かってるから、両者が満足して1日のショーが終わる」と続けます。

そして、「見るチャンスがある時に見ておかないと絶対後悔すると思う。そういうアーティスト。今75歳だから次いつ来てくれるか分からない。見るタイミングがある人は絶対見た方がいい。生で同じ空間にいる。同じバイブレーションを肌で感じる。それが重要。そういうチャンスがせっかくあるんだから」とリスナーに呼びかけました。

なんとも深いボブ・ディランの世界。これは行ける時にライブに観に行くしかありません。見るチャンスは……今でしょ!

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