2017年10月17日

社会人類学者 レヴィ=ストロースが考えた「野生」とは?

思想家で人類学者の中沢新一さんです。

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中沢さんがディレクターを務める、
「野生展:飼いならされない感覚と思考」が
今週20日(金)に開催されますが、そもそも
この「野生」という言葉は誰から影響を受けたのでしょうか?
中沢さん「レヴィ=ストロースじゃないかな?
僕なんかが勉強を始めた頃にレヴィ=ストロースの
「野生の思考」という本が人気だったんです。
野生的な未開文化っていうのは、
非常に洗礼されているんだっていうのが、
レヴィ=ストロースの考えだったわけです。」

レヴィ=ストロースとはどのような人物だったのでしょう?
中沢さん「20世紀の初めに生まれて、
若い時は哲学の勉強をしていて哲学者だったんですよ。
ヨーロッパ文化の限界を超えないという意識が非常に強くなって
未開社会の研究に乗り出していったんですね。
当時 哲学者が未開社会の研究に乗り出すっていう
例はほとんどなかったんですけど、
彼はブラジルのアマゾンの原住民のところに行って、
滞在し研究するんですね。で、(次に)フランスに行って、
高度主義っていう人類学を確立していったんです。
彼が僕らなんかの年の時は神話に没頭していましたから、
「神話論理」っていう大きい本を次々と書いていったんですね。」

レヴィ=ストロースの大切にした
「野生」とはなんだったのでしょう?
中沢さん「アマゾンの原住民を研究する、
それから世界中の人類学の資料を読んでいると、
原住民っていうのは、決して未開だったり、
野蛮だったりするんじゃなくて、例えば、
植物なんかもものすごい細かく分類して、
どれが役に立つ、どれが毒があるかを膨大な知識で作っている。
それから動物のことに関してもものすごい知識を持っているんです。
その知識の作り方を見ているとヨーロッパの
生物学者がやっているやり方とほとんど
かわらないんだってことを発見するんですね。
今は科学ものすごい発達しているけど、
その原型で言われているところは、
未開社会で行われる野生の思考ってのが大元になっていて、
基本的には変わらないんだってことを発見するんですね。」

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「野生展:飼いならされない感覚と思考」
会期:2017年10月20日(金)ー2018年2月4日(日)
会場:21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー1、2
休館日:火曜日、年末年始(12月26日 - 1月3日)
開館時間:10:00ー19:00(入場は18:30まで)
入場料:一般1,100円、大学生800円、高校生 500円、中学生以下無料
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今夜の選曲:Afro Jane / 細野晴臣


staff| 19:52 | トラックバック(0) | カテゴリー:ゲストトーク

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