レスラー2009年03月31日

僕は80年代、アントニオ猪木が大好きだった。
「戦いのワンダーランド!」と古館伊知郎が熱烈実況したテレビ中継を愛し、
ハルク・ホーガンやブルーザー・ブロディとファイトする猪木に熱狂し、
藤波vs長州やタイガーマスク、前田そして蝶野、小川に至るまで
そのプロレス熱は続き、
猪木の引退試合も「行けばわかるさ!ダーッ!!」も東京ドームで生で見て、
そして先細り自然消滅し、最近は全く・・・なのである。

思い出せば、両国国技館での猪木vsブロディ戦とか見に行ったし、
あの試合中にリング下で
猪木がカミソリで自身を流血させた等々の
プロレス八百長暴露記事に失望したっけなあ。
今更「サンタクロースなんていないよ」と同じように
「プロレスなんて筋書きあるじゃん」なんて
真面目に言ってほしくなかった時代だ。

しかし、ショウアップしたエンターテインメントをリングで披露するには
尋常でない鍛え方と薬物で肉体改造するしかないレスラー達の晩年は辛い。
この作品「レスラー」は80年代に全米で名声を誇り、
今は全てを失った元人気プロレスラーが主人公の超お薦め作。

ランディは生活の為にスーパーでバイトしつつ、
地方巡業の少ないオールドファンを相手に
リングに上がり続ける中年プロレスラー。
後輩レスラー達からは尊敬されるが、ハードな連戦は確実に肉体を蝕み、
ついには倒れて緊急入院する羽目に。
話し相手と言えば場末のバーの子持ちストリッパーぐらいで、
疎遠な娘からは軽蔑され切っている。
しかし、その原因もランディに100%あるほどのホントのダメ男なのだ。

このランディを演じたミッキー・ロークが
今年のアカデミー賞で主演男優賞にノミネートされ、
影の主役として大フィーチャーされたのは記憶に新しいし、
ストリッパー役のマリサ・トメイも助演女優賞にノミネートされたくらいの
まさにダークホース的注目作である。

本作の大きなテーマは
誰もが避けることが出来ない老い、そして死への恐怖と孤独。
その予感を感じながらも、自分が最も輝いた時代を幻影の如く追い続け、
また そこにしか自身の生き甲斐を見い出せない男の悲哀を
ミッキー・ロークは見事に背中で演じ切っている。
そう、カメラは老いぼれた男の後ろ姿を全編 映し続るのだ。
その様は寂しく哀れで主人公の人生全てを凝縮しているようでもある。
そして「自分は彼とは違う」と言い切れない複雑な感情に揺り動かされる、
特にオッサン世代には必ず刺さる本作、
ストーリーも解り易く気が付けばもうエンドロールだった。

そのエンドロール、
ミッキー・ロークとも親交があるブルース・スプリングスティーンによる
主題歌が流れる中、様々な想いが浮かび上がって泣きそうになった。

いい映画だと思います。
6月上旬公開

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スラムドッグ$ミリオネア2009年03月30日

日本公開まで3週間を切った、
というか、まだ3週間弱ある超話題作の「スラムドッグ$ミリオネア」。

インド版クイズ・ミリオネアが舞台の本作は、
映画好きの方なら作品のイントロダクションをご存じだろうが、
物語の軸は2点。
インドのスラム育ちの主人公は
なぜ難問に正解を出し続けられたのか?
そして、なぜクイズ・ミリオネアに参加したのか?
ということである。

その答えを2時間かけて描いているので、
内容に詳しく触れないが、
きっと脚本が素晴らしかったんだろうなあ、というのが
見終わった僕の感想。

インド生まれの作家ヴィカス・スワラップの
「ぼくと1ルピーの神様」という原作があっての脚本だから
アカデミー賞では脚色賞としての堂々の受賞だった。
この 短めなエピソードを無理なく幾重にも敷き詰めて
フラッシュバックしつつ展開する絶妙の脚本を手掛けたのは
痛快英国下町人情劇「フル・モンティ」のサイモン・ビューフォイ。
ということで僕はシナリオ本を読んでみたくなった。

正直、過去に「トレインスポッティング」しか
好きになれなかった僕はダニー・ボイル監督がかなり苦手。
彼の手法による映像は見疲れすることが多いからなのだが、
これは流石にアカデミー賞8部門獲得作である。
2時間最後まで全く飽きさせずに、きっちりピークを作り出すし、
今風に格差の産む残酷さを前面に押し出しつつ、
それはインドでの出来事として結構客観的に見れてしまった。

それくらいインドのスラムは「どん底」に描かれていて、
多分現実はもっともっと悲惨なのであろう。
なんか上から目線な自分に「やるせ無さ」を感じてしまった。


今最も注目されている作品なので、
いまさら僕に色々言われなくても見ますよね?
とにかく見てください。
4月18日公開です。

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鴨川ホルモー2009年03月27日

京都でオールロケされた本作を見て
映画はイマジネーション次第でなんでも出来てしまう物なんだ、と
改めて思ったアホアホ(勿論褒め言葉)な作品だ。

二浪で京大に入学したダサい主人公・安倍明(山田孝之)と
かなり弱虫な帰国子女高村(濱田岳)が
正体不明の「京大青竜会」という怪しいサークルに入ってしまうところから
話は始まるのだが、
京の都に千年以上に渡り伝承される謎の祭り"ホルモー"に
ハマっていくという、最高にバカバカしい話を役者陣は真剣に演じるのである。

共演女優陣は大木凡人型風貌で登場の栗山千明に
典型的美人女優の芦名星。
元々はフジテレビでドラマ化された「鹿男あをによし」の
万城目学のデビュー作だそうで(すみません、読んでいません)
「鹿男あをによし」も一風変わったドラマだったので、
それから想像すると多分外れないイメージだと思う。

オール京都ロケだからか、昭和の匂いが全編漂うのだが、
最先端のVFXを駆使した2000匹のギズモちっくな「オニ」が、
画面を駆け巡り、なんとも自由な映画なのだ。
作者たちが何を意図しているのか、正直さっぱりわからんのだが、
中笑いしてしまう好感のもてる作品だから、
最近のナンセンス物が好きな人はハマると思います。

4月18日(土)公開!
しかし濱田岳という役者は・・・

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ディズニーのボルト2009年03月22日

同じボルトでも
VOLT はロックスター吉井和哉のニュー・アルバムで、
BOLT はディズニー新作アニメーション。
どちらもお奨めだけれど、ここではBOLTのほうを取り上げると。

改めて言うのもなんだが、
ディズニーのアニメーションは、
いつの時代も万人を納得・感動させてくれるし、
今作もその例外ではなく、実によく出来ていて素晴しい。
例えば
世界中の大人達が子供達に見せたいと、心から思えるような作品、
といった感じだなあ。

加えて今回の主人公ボルトは犬!
きょうのわんこ が毎朝の日課のような僕にはたまらんのだ。

本国アメリカ版ではジョン・トラボルタがボルトの声を演じていて
誰が日本版を担うのかも楽しみ。
しかし字幕版での上映館は減る一方で少し寂しい気がする。

筋書きを説明する必要はない映画なので、
出来の良さを信じて公開まで待っていてください、
と 日本公開は 8月1日(土)!かなり先です・・・

© Disney Enterprises, Inc. All rights reserved.

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オリコン1位!2009年03月16日

レミオベスト 見事にオリコンアルバムチャート1位!
今夜月曜のレミオロメン武道館公演、素晴しかったぞ!
火曜日に行く人、まあ僕は2日間当然のように行くけどね、
絶対期待以上の感動が待っています。
ちなみにグッズ売り場の行列ハンパないから、
購入希望の方はお早めに・・・

一応映画ブログだから言い訳です。
ここ数週間、ちゃんと試写に行ってるんだけど
個人的に気に入った作品が全くない。
実は例外的に1作品だけあったんだけど、
それは大人の事情でまだ書けません。
頑張ってお勧め作品探します・・・

staff| 15:00 | カテゴリー:

3月9日 といえば・・・2009年03月09日

レミオロメンの初ベスト盤「レミオベスト」のリリース日!
そして午後3時9分、渋谷109前で
サプライズ・ライブが敢行された!!
「Sakura」と「3月9日」の2曲だったけど、
その場に居合わせた人はラッキーだったと思うよ。

staff| 07:31 | カテゴリー:

インスタント沼2009年03月06日

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三木聡
僕はこのブログで何回もこの人の事を書いてきたが、
バカボンのパパの如く大尊敬している三木聡監督の最新作が
このタイトルからして意味不明な「インスタント沼」だ。

主演は三木作品の常連、麻生久美子で
共演が加瀬亮、風間杜夫。
ちなみに、この二人の共演者に加えて松重豊まで出ているので、
ありふれた奇跡」とかなりカブっているけれど、
勿論まったくの別物。
そんな松重豊・ふせえり・岩松了の3人の三木作品常連組、
松坂慶子・相田翔子・工藤官九郎・白石美帆・笹野高史・温水洋一etc
実に多彩な顔ぶれが揃っている今回も
三木聡ワールド100%な脱力ナンセンス・コメディなのだ。

彼の作品は大別して二つ。
まずはナンセンスながら結構大衆受けもする寸止めタイプ、
「時効警察」「転々」「亀は意外と速く泳ぐ」。
そしてコメントに困ってしまうほどの規格外作品、
「イン・ザ・プール」「図鑑に載ってない虫」「ダメジン」。
だと思うんだけど、今回はその中間というか、
典型的三木作品ながら、過去のものとは感じ方が違った。

まあ、いつものように超脱力だし、ナンセンスの極致だから
まともに正面からストーリーを語ったりする作品ではないし、
褒め言葉として、ホントにバカバカしい2時間である。
今の時代だからこそ、
こんなアホな大人の本気な冗談に付き合ってみるのも良いと思うよ。

5月公開。
その前にJ-WAVEで試写会やります、乞うご期待!!


さて気がついたら、このブログもう4年も書いている・・・。
本業のライブは年間150本以上と映画以上に行っていて、
お薦め映画ブログなら他に適任者がいそうだけど、
まあレミオロメンとフロンターレも全開だから、
5年目も、もう少し続けます・・・。

そんな川崎フロンターレは明日シーズン開幕戦!
レミオロメンは3月9日、レミオベスト発売日に
BOOM TOWNとM+に生ゲスト&さいたま公演先行予約!!
絶対聴いてね!!!

STAFF| 05:01 | カテゴリー:

レイチェルの結婚2009年03月02日

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題は「レイチェルの結婚(原題Rachel Getting Married)」 なのだが、
主人公は結婚するレイチェルではなく、妹のキム。
そのキムを演じたアン・ハサウェイが
アカデミー主演女優賞にノミネートされた作品である。

物語はキムが薬物中毒の更生施設から退院、帰宅するところから始まる。
姉のレイチェルは2日後に結婚を控えて準備に忙しいし、
式を手伝う人々で家中がザワついている。
そんな中でキムは居場所もなく、当然周囲もしっくりこない。
挙句の果てに何かにつけ皆喧嘩腰になってしまい、
祝宴を前に家の中は一触即発に・・・。

と、結婚というハッピーな響きとは間逆に
映画はどんどん混沌とした人間模様を抉り出していくのだ。

監督は、あの「羊たちの沈黙」「フィラデルフィア」のジョナサン・デミ。
本作ではビデオカメラを使用してリハーサル無しという、
いわばドキュメンタリーの如きスリリングさを優先した手法で撮影されていて、
画面の「ざらつき」と登場人物たちの心中の「ざらつき」が重なって
独特な仕上がりになっていた。

さてアン・ハサウェイといえば
「プリティ・プリンセス」「プラダを着た悪魔」新作「Bride Wars」等
いわゆる美人女優の王道を行くイメージをもっていたのだが、
今作はそれを見事に覆すダークサイドを演じており、
アカデミー・ノミネートも頷けた。
しかし、しかしである!
主演女優賞って辛い女性像を演じないと取れないものなんだろうか・・・。
この作品でも「チェンジリング」「愛を読むひと」と同様に
幸せから距離を置かれてしまったヒロインは辛いよねえ、と僕は唸った。
結局は自立するしかないんだよなあ。

4月公開です

STAFF| 11:05 | カテゴリー:

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