グラン・トリノ2009年01月29日

クリント・イーストウッドの大ファンの僕にとって
この映画はマストな作品だ。
「チェンジリング」に続いて間を開けず公開される監督作「グラン・トリノ」、
自身が「ミリオンダラー・ベイビー」以来の主演も務めている。

今回イーストウッドの役どころは偏屈で超頑固で元軍人、
自動車工をリタイアして久しい典型的な老白人ウォルト・コワルスキー。
自分の孫はおろか息子夫婦とも分かり合えない彼は、
最愛の妻に先立たれて益々意固地になる始末。
親しみを込めて『ウォルト』と呼ぼうとする神父にも
「慣れなれしいぞ、『コワルスキーさん』と呼べ!!」と毒づくのだ。
そんな彼の愛車は勿論アメ車、72年製のフォード『グラン・トリノ』で、
それが映画のタイトルでもあり、重要な役割を担っている。

白人以外への偏見にも満ち溢れた彼は
隣に越してきた東南アジア系のモン族一家が気に入らないが、
色々な揉め事がきっかけで互いに打ち解け、親交をもつように・・・
というイントロダクション。
書き過ぎると興ざめなので、このくらいにしておきますよ。

さてクリント・イーストウッド監督作と言えば
「許されざる者」「ミスティック・リバー」等に代表されるように、
内容がとてもシビア・非情で、重苦しい作品が圧倒的に多い。
今作も決して明るいテーマではないストーリーではあるが、
いつもながらの完成度の高さには感服するばかり。

年を重ねた者にしか表現出来ない主人公の心描写には
本物の優しさがあり、老いたからこそ監督・主演が可能な、
見る者の心にグッと迫る、説得力のある秀作である。
(褒め過ぎですかね、ファンなので・・・)

ちなみに主題曲を歌っているのはジェイミー・カラム。
こちらも素晴らしい。

日本公開はゴールデンウィークということで。

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リリィ、はちみつ色の秘密2009年01月28日

これは久々に万人にお勧めしたいアメリカ映画である。
例えば最近でいうと、「風のガーデン」とか
「西の魔女が死んだ」とかで感涙に咽んだ人には
絶対見て欲しい!大推薦作品なのだ。

舞台は1964年のサウス・カロライナ州。
公民権法が制定されたとはいえ
人種差別が色濃く支配している田舎で暮らす主人公、
14歳の少女・リリィ(ダコタ・ファニング)。
リリィは4歳のときに自らの過ちで母を失ったトラウマに悩み続けている。
そのうえ粗野で自分に全く理解を示さない農夫の父親に愛情はなく、
黒人家政婦ロザリン(ジェニファー・ハドソン)が暴力事件に巻き込まれても
彼女を助けようともしない父の姿に絶望し、ロザリンと二人で家を出てしまう。

母の面影を求めて辿り着いたのは
知的な黒人3姉妹が住むカリビアン・ピンクに塗られた屋敷。
その長女オーガスト(クイーン・ラティファ)が切り盛りする養蜂場で世話になり
ひと夏を過ごすうちに、リリィは本当の愛情や絆、優しさを学んでいく――。

この作品はアメリカでベストセラーとなり
日本でも「リリィ、はちみつ色の夏」という邦題で出版された物語の映画化。
強力な出演陣には3姉妹の二女役のアリシア・キーズも含まれていて
これでハズす訳が無いのだ。

映像も自然に包まれた風景がそれは美しく、
物語を一層感動的に映し出してくれる。

それにしても天才子役と呼ばれ活躍し続けているダコタ・ファニング!
ここでは自身と同じ14才の役柄なのだが、
輝きは増すばかりで本当に素晴らしい!
そして美しく成長していて将来が益々楽しみである。

とにかく褒めちぎりたい本作、
試写室では男性も多数泣いておりました。
そしてほんの45年前のことなのに、
こんなに有色人種に対しての差別が激しかったことにショックを受けました。

3月公開です!!!

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(c) 2008 Twentieth Century Fox

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それでも恋するバルセロナ2009年01月26日

ウディ・アレン監督・脚本の本作「それでも恋するバルセロナ」は
本年度のゴールデングローブ賞で4部門にノミネートされ、
見事作品賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞した話題作。
しかし、である。
これはどう見てもミュージカルじゃあないし、
コメディで片付ける内容でもない、と思うのだ。
勿論ここで取り上げるからには、お薦め作なんだけれど、
僕はゴールデングローブ賞のこのカテゴライズの方法が
ちょっと、ちょっとちょっと なのである。

さてウディ・アレンがスカーレット・ヨハンソンを起用するのは3作目。
よっぽど彼女が大好きなんだな、と
ウディ・アレンの愛情すら感じる作品だ。

そんな主人公スカーレット・ヨハンソンは
大半の男性の願望・妄想を納得させるような
自由奔放で情熱的な出会いを常に求めるアメリカン娘な役どころ。
美女だけど性格が真反対で生真面目な親友と
バルセロナに一夏過ごしにやってくる。

そして当然の如く現れるニヤついたハンサムスパニッシュ画家。
彼は平然と3人で、そう、男一人に女二人の3人で
アヴァンチュールを楽しもうと提案するんだ。
この画家をハビエル・バルデムが演じているのだが、
あの「ノー・カントリー」での冷徹非情な殺し屋と同じ人物とは思えない、
エロ、いや色男役である。うらやまし・・・

他にこの画家の元妻で激情女をペネロペ・クルスが
見事にぶち切れ気味に演じていて
本年度アカデミー賞助演女優賞にノミネートされている。

感想としてはアメリカ人から見たスペイン人って
こんなにも開放的で情熱的なんだ、
そしてかなり羨ましいんだなあ、ということ。
それは日本人の僕も同感。
ちょっとウザいくらいに
男女の駆け引きばかりが頭の中を廻っているラテン系には敬服です・・・
と、ウディ・アレンは言わせたいハズの
恋愛モノであります。
公開はなんと6月、かなり先ですが、気にしておいてください。


さて場面写真の代わりに
僕の週末の
フロンターレミオロメンの一瞬を!
いよいよ両者2009年本格稼働です。

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イエスマン2009年01月23日

ジム・キャリーの
イメージどおりの、ちょっといい話的なコメディ、
イエスマン YESは人生のパスワード」。
かなりお下劣!みたいな(これがないとね)なネタも含んで
久々に難しいことを考えないで映画を見たぞ。

世間に対して超ネガティブで、友人の気遣いにさえ
「NO THANK YOU」を連発してしまう主人公。
ひょんなことから知人の誘う新興宗教のような
自己啓発セミナーに足を運んだことから
人生が大きく変わっていく・・・という想像し易い1時間44分。
なんだけど、流石トップ・コメディアンの主演作だけあって
実によく練られたお馬鹿ストーリーだ。

ジム・キャリーって日本で置き換えると
さんま?原田泰造?それとも最近だと
はんにゃ金田哲って感じなコメディアンだけど、
「エース・ベンチュラ」「マスク」「ダム・アンド・ダマー」が
ヒットしてから15年、すでに彼も47歳!
若々しさの秘訣はお馬鹿で明るく活き続けることなんだろうな。

3月20日公開ということで。

さて!
今夜からレミオロメンの全国ツアーが始まります!
さあ何回見に行こうか!!

STAFF| 04:31 | カテゴリー:

重力ピエロ2009年01月15日

これは伊坂幸太郎のベストセラー・ミステリー小説の映画化である。

とっても仲は良いのだが、ルックスも性格も全く違う兄弟。
地味すぎる兄・泉水(加瀬亮)は遺伝子研究に没頭する大学院生。
運動神経抜群で美少年ゆえに追っかけまでいる弟・春(岡田将生)は
強い正義感も働いて街の落書きを消して回る日々を送っている。
母(鈴木京香)は既に他界して、
優しさ溢れる父(小日向文世)と男3人での家族関係は実に良好。
そんな兄弟が連続放火事件を探るうちに直面する、
余りに大きな謎、そして家族の過去の辛い出来事を
物語は暴いていくのだ。

原作を読んでいない人の為にもストーリーはこれ以上書かないが、
非常に重い題材を真正面から描く本作、
何が正義で正当なのか解らなくなる。
それでも僕は映画として充分堪能することができた。

それは主演二人の俳優に負う部分が大きい。
最近益々若き名優の道まっしぐらの加瀬亮と、
大人に近づき益々イケメン度がUPした岡田将生。
二人とも素晴らしい才能の持ち主だ。

まず加瀬亮。 
僕の中では「ハチクロ」の真山巧役が秀逸で、
先週から始まった「ありふれた奇跡」もハマリ役」だと思うし
(新聞のインタビューだとそうとう無理してるらしいけど)、
本作の役も彼以外に考え辛い程の収まり具合。
彼もまたカメレオン俳優の一人だと強く思う。

そして岡田将生
「天然コケッコー」や「イケメンパラダイス」での
無邪気さ漂う好印象の美少年も今夏には20歳。
そのイケメンも武器にしつつ
役者として確実に強いインパクトを画面から放っていて
僕のお気に入りの一人だ。

公開は5月23日、伊坂幸太郎のホーム、
宮城では4月25日先行公開だそうです。
まだかなり先だけど覚えておいてください。

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(c) 2009『重力ピエロ』製作委員会

STAFF| 02:37 | カテゴリー:

ゴールデングローブ賞2009年01月12日

第66回ゴールデングローブ賞が発表になった。
僕も前回ここで書いたケイト・ウィンスレットが
「レボリューショナリー・ロード」の主演と
「愛を読むひと」の助演とダブルで女優賞を受賞! 凄い。

まあゴールデングローブ賞はノミネートされるだけでも
高い評価を受けた印になるから、
ここでのノミネーションをチェックしておくと外しは少ない。

ここで主演女優賞・助演男優賞・助演女優賞の3部門に
4名がノミネートされ!
脚本賞も加えて5部門ノミネートで
惜しくも受賞は逃したが、注目の演技が見れる作品が
「ダウト -あるカトリック学校で-」だ。

僕はいつもどおりに事前資料を何も見ずに試写に望んだのだが、
とにかく実力派の役者さん達が揃って迫真の演技なのである。
見終わって資料を読んで大量ノミネートは当然だと、
ゴールデングローブ賞の選考に携わっている映画関係者に
改めて尊敬の念を抱いたのであった。

「ダウト -あるカトリック学校で-」。
描かれている時代はケネディ大統領暗殺直後の1964年、
舞台はニューヨーク、ブロンクスのカトリック系教会学校だ。
主人公は厳格過ぎるほどの校長でシスター(メリル・ストリープ)。彼女は
物分りが良く生徒にも人気の神父(フィリップ・シーモア・ホフマン)が
とにかく普段から気に入らない。そして、
彼がある生徒と“不適切な関係”をもっているのでは?との疑惑をもつ。
果たしてこれは妄想か?それとも真実なのだろうか?
というイントロダクション。
これは05年にトニー賞とピュリッツァー賞をダブル受賞した舞台劇を、
作者ジョン・パトリック・シャンリィ自身が監督・脚本を手がけ映画化したもので、
メリル・ストリープ、フィリップ・シーモア・ホフマン以外にも
教師役のエイミー・アダムス、生徒の母役ヴィオラ・デイヴィスが
助演女優賞ノミネートを果たす納得の演技を見せてくれる。

まあ過去作品も演技力で評価され続けてきた
メリル・ストリープとフィリップ・シーモア・ホフマンだが、
この二人を指してカメレオン俳優という言葉があるといえるぐらい
今回の二人も溢れる程の凄味がある。

物語自体は宗教観に疎い僕には少々馴染めないものではあったが、
見てよかった、と時間が経ってから思える作品であった。
3月 全国ロードショーということです。

STAFF| 10:06 | カテゴリー:

レボリューショナリー・ロード2009年01月05日

年末年始お笑いを見続け&GROOVE LINEを聴き漁り、
満点大笑い!の日々を送っていた僕だが、
今年初めに紹介するのは実に重く考えさせられる作品だ。

暮れに見て、
作品の完成度や出演陣の素晴しい演技に感銘を受け、
それと反比例するかのようなシビアな内容に打ちのめされた本作、
レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで」。

タイトルは主人公夫婦が暮らす閑静な住宅地の地名。
前途洋々希望に満ちて出逢ったはずのカップルを
レオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットが演じているのだが、
彼らは映画が始まって3分後には倦怠期の夫婦になってしまう。
物語はここから1時間50分、ということで、
スクリーンは「私達はこんなハズじゃあなかった」と、
人生の現実に悩み葛藤する夫婦の心の内を映し続ける。

見るからに美男美女で、素敵な家に住み、
2人の可愛い子供にも恵まれ、
職場や近所の皆が憧れる理想の家族にしか思えないのに・・・。
しかし、他人にはどう見えようが、
本人達にしか理解できない苦悩って誰にでもある。
そしてその苦悩がまさに夫婦の絆を試すが如く、
二人に圧し掛かっていく様は冷酷で重苦しい。

監督は「アメリカン・ビューティー」で
やはり理想の家庭が崩壊する様をシニカルに描いて
アカデミー監督賞を受賞したサム・メンデス。
彼の監督作では他に「ロード・トゥ・パーディション」も印象深かった。

レオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットといえば
「タイタニック」以来の共演ということだが、
本作で二人とも既に多くの映画賞にノミネートされていて、
間違いなくアカデミー賞でもクローズアップされるだろう。
それくらい二人の演技は凄みがあり、名優だと唸らせられる。
そして同じくらい重苦しいストーリーに捕りつかれてしまった。
果たして出口はあるんだろうか・・・。

1月24日公開です。

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STAFF| 09:44 | カテゴリー:

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