チェンジリング2008年12月22日
クリント・イーストウッドの監督作はいつも重い。
最新作の「チェンジリング」 もその例外でなく、重く深い。
今回題材が一昔前とはいえ実話だということもあり、
その現実から目を背けたくなるのだが、
映画としての完成度や社会性、
そして一縷の希望に賭ける人間、特に母親の想いの大きさに
圧倒される作品である。
主演はアンジェリーナ・ジョリー。
彼女が演じる主人公は1920年代のロサンゼルス郊外で
一人息子を生きがいに大事に大切に育てるシングルマザー。
しかしながら生活の為には残業や休日勤務も厭わず引き受ける。
それがある意味アダとなって息子が行方不明に。
全米中を巻き込んで数ヵ月後発見された息子を名乗る少年は、
全くの赤の他人だった・・・。
というイントロダクションなのだが、
物語はとても深い闇に分け入っていくのだ。
見る人の為これ以上ストーリーには触れないが、
過去作品と同様に
イーストウッドは人間の心の奥底に存在する
説明のつかない残忍さを見る側に投げかけてくるので、
覚悟して作品と向き合う必要はある。
では、そこに希望や未来はないのか?ということだ。
イーストウッド作品の場合、
クオリティの高さと引き換えのように
表層的な暗闇ばかりがクローズアップされる傾向にあるが、
彼の作風の根源には
絶望や焦燥感の向こうに希望の光を捜し出そうとする
前向きな想いや直向さが存在する。
そして、それが常には成就しない、という現実も。
僕は心底イーストウッド・ファンだし、
しかし、1本の映画に込められた彼の想いが余りに大き過ぎて
1回集中して見たら、疲れ果ててしまうのだ。
「ミスティックリバー」「ミリオンダラーベイビー」「硫黄島からの手紙」も
一度見ただけで絶対に記憶から消しされることのない程、
僕の心に深く刻まれて、繰り返し見ることが出来ずにいる。
本作も同様なインパクトがあり、
だからこそ真面目な映画ファンの方には見てほしいのだ。
来年2月20日(金)公開です。
