「天然コケッコー」に心洗われる2007年05月31日

自分がいかにゴチャついた都会に暮らし、
気忙しくなっているかを思い知らされ、
ゆとりを持たなくちゃあ、
と気付かせてくれる映画なんだ、これは。

日本の典型的な田舎風景をもつとある地方の、
小中合せても全校生徒が6名の分校が舞台の本作。
物語は〜
ある日、いかにも東京育ちのイケメン中2男子「広海」が転校してくる。
主人公「そよ」は同級生なだけに、期待を膨らまし親切に接するのだが、
結構屈折している「広海」に「そよ」はガックリ、しかし・・・。
〜と始まる。

そして主人公「そよ」と「広海」が
高校に入学するまでの思春期2年弱を、
子供たちの成長に併せてゆっくりゆっくりと描いていくのだ。

丸出しの方言と東京弁、海辺の戯れ、夏祭り、
淡い恋心、おせっかいな大人達、修学旅行、etc
見る側の期待に応えつつ進むこの映画に、
想像を大きく外すエピソードは無い。
ある意味、田舎の予定調和的な話なのかもしれないが、
実に丁寧に愛情たっぷりに作られた作品だから、
見る側も次第にそのゆったりしたペースが心地よくなってくる。
そして自分が幼かった頃と映像をダブらせながら
一時だけど純粋になれる、そんな映画なんだなあ。

ちなみに、最近僕がグッと来たのが、
都会育ちの小学4年生2人が、交換留学・ホームステイの形をとって
田舎の村で1年間過ごすというNHK総合で放映されたドキュメント番組。
それと共通する日本ならではの風情を「天然コケッコー」に感じた。

日々の中で、
じいちゃんやばあちゃん達から作法や生活の知恵を学び、
隣人たちにも環境にも優しく暮す。
そんな正しい生き方って最近難しくなってしまったけれど、
その必要さを「天然コケッコー」は教えてくれます。
夏休み公開です!!

STAFF| 15:20 | カテゴリー:

お奨めヒューマン・ドラマ「ラッキー・ユー」2007年05月28日

久々に個人的に見たいと思い、面白かった作品がこれ。
「LAコンフィデンシャル」「イン・ハー・シューズ」のカーティス・ハンソン監督作「ラッキー・ユー」である。
(僕の中で「LAコンフィデンシャル」はここ10年のBESTに近いなあ。)

舞台は2003年のラスベガス。
才能はあるのに、肝心な勝負で強気になり過ぎイマイチなポーカー・プレイヤー(エリック・バナ)が主人公。
プレイボーイだけど人付き合いが下手な彼は、スターになることを夢見てベガスにやってきた新人シンガー(ドリュー・バルモア)と知り合い惹かれあうのだが、生来のギャンブラー気質が災いして関係が中々上手く進まない。

そんな彼はベガスで開催されるポーカー世界大会への出場と勝利を目論むが、立ちはだかるのが伝説的ポーカー・プレイヤーの実父だった・・・。
といった導入部。
父親役はカツラを被ったロバート・ドュバルで、物語は反目し合う父子関係を主軸にしつつ、主人公の感情の変化と共に進んでいく。
つまり、ギャンブラーの単純な恋バナなどではない、
ヒューマン・ストーリーなのだ、本作は。

かといって作風は重苦しいモノではなく、
なんでも賭けにしてしまうベガスのアッケラカンとした街の空気感を上手く生かし、コミカル・タッチに描いていくので気楽に見ることが出来る。
ということで監督の名前で気合を入れ過ぎると、拍子抜けするかもしれないが、いわゆる秀作の部類なので、クオリティは保証します。

さてポーカー・プレイヤー親子の話だけに、
ポーカー場面もかなり多く、本物のプロ・プレイヤーが本人役で大勢出演もしている。 初心者役に説明するといった設定で、ルール解説もあるのだが、
用語やテキサス・ホールデムというゲームを知っていると楽しめ方も深くなるはずだ。 ちなみに僕はまったく知らないで見て、ちょっと勿体無い思いをした。

ポーカー・フェイスという言葉は
ポーカー・プレイヤー達の配札を読み取られないように、感情を押し殺したゲーム態度からきた言葉だということに、今更ながら気づきました・・・
日本公開は6月23日だそうです。

STAFF| 05:54 | カテゴリー:

尾上菊之助の「怪談」2007年05月23日

僕は怖い話が大の苦手だ。
だからホラー系は自分から進んでは見ない。
本作は「リング」でその名を世界中に広めた中田秀夫監督の最新作。
そしてタイトルが「怪談」とくればその時点で関心の対象外なのだが、
旧知(窮地?)の関係者に熱烈に誘われて試写に足を運んだ。

主演は尾上菊之助と黒木瞳、
共演は井上真央、麻生久美子、木村多江、瀬戸朝香と美形揃い。
時は江戸時代、忌まわしい出生の秘密をもつ美男の煙草売りと、
やはり不幸な生い立ちながら、凛と生きる三味線の美人師匠。
この過去でも因縁の二人の悲恋が様々な惨劇を巻き起こす・・・
という典型的な日本の怪談話なのだが、
僕は本作を通じて、尾上菊之助の所作の美しさに感嘆。
歌舞伎役者の持つ、日本人としての美意識の高さを再認識した。

両親・姉ともトップスターの尾上菊之助は
「明日の歌舞伎界を背負う若手スターの一人で、女方も二枚目もいい。」
という資料どおりのサラブレッド的存在。
今年30歳になる彼が映画初主演したのが本作なのだが、
劇中の菊之助はとにかく他に類を見ないほど、立振舞いが美しい。
やや前かがみに小走りする姿、
煙草売りの道具を整理する姿勢、
着物の埃を手ぬぐいで払う腕、
女性を抱きかかえる時の指先と、
その全て・隅々までに気配りがされ、動作に無駄がない。

これは幼い頃からの厳しい教育が生み出したもので、
いきなり真似ようとしても出来ない所作であろう。
そこから滲み出る色香も女方としての本領だろうし、
僕は映画を怖がりながらも、尾上菊之助の魅力に引き込まれてしまった。

あと余談だが、「時効警察」ファンで麻生久美子好きな僕は、
真面目に演じる彼女も交通課のしずかチャンに見えてしまったなあ。

ということで、先入観をもつのは仕方ないけど、
見所はいっぱいあるし、それほど怖くない昔話として見る価値充分。
黒木瞳も井上真央も世代を超越して美しいし、
よろしければ覚えておいてください。公開は8月です。

STAFF| 02:25 | カテゴリー:

騙されたほうが楽しい「プレステージ」2007年05月20日

本作がクリストファー・ノーラン監督最新作と聞いて興味を持った人は、
本当に映画好きだと思う。
「メメント」「インソムニア」「バットマン・ビギンズ」と彼の作品は、
いずれも人間のダークな面を臆せず描いていて印象深い。
中でも、10分間しか記憶が持たない主人公の行動を
10分きざみで戻していくという奇想天外な「メメント」に僕はヤラレた。
「メメント」は実の弟ジョナサン・ノーランの小説を兄弟で脚色して
映画化したものだったが、
本作「プレステージ」も兄弟で脚本を書き、自ら監督したという力作。

舞台は19世紀末のロンドン。
最近ではイリュージョンと呼ばれる大仕掛けなマジックに挑む
二人のライバルが主人公である。ということで、
あのデビッド・カッパーフィールドが監修を務める念の入り様だ。

ヒュー・ジャックマンとクリスチャン・ベールが演じる二人の若きマジシャンは、
同じ舞台に立ちながら独り立ちの時を目指すいわば仲間でライバル。
それが、ある悲劇的な事故がきっかけで反目し、
互いを貶めようとする最悪な関係になる。
人間味を失い変わり果てながら、いかに相手の裏を描き、出し抜き、
自身がトップ・マジシャンの地位を獲得するか、
にしか関心を持てないようになるのだ。
マジシャンが相手を辱める最高にして最悪な方法とは
マジックを失敗させ、種明かししてしまうこと。
その為に二人のマジシャンは・・・
と、今回も人間のダークサイドを前面に映しながら物語りは進んでいく。

二人のいわば師匠にマイケル・ケイン。
二人の間に微妙に入り込む助手がスカーレット・ヨハンソン。
そして物語に深く関係する実在の発明家をデビッド・ボウイ。
その助手を「ロード・オブ・ザ・リング」のゴラム役のアンディ・サーキスが演じており、更にエンディング・ソングはトム・ヨークと、曲者オールスターなのだ。

題材がマジックということで、色々と仕掛けやドンデン返しも用意されているのだが、監督も「結末をしゃべらないで」と言っているので、これ以上は書かない。
ちなみに、この「プレステージ」を楽しめるか否かは、見る側にかかっている。
タネはないか、スキはないか、と思って「重箱の隅」的に見るよりも、
俺、騙されたい!と楽しむ心、余裕をもつ。
これがこの手の作品を一層興味深くしてくれる秘訣だろう。
そう、結末だけにこだわらなくてもいいじゃないか!!
僕はお奨めします。

STAFF| 13:09 | カテゴリー:

記録的応募数「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」2007年05月14日

やっぱりみんなジョニー・デップとオーランド・ブルームに
会いたいですですよねえ・・・

先週末ご応募を締め切ったJGMT企画
パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」アジア・プレミア。
J-WAVE枠は100組200名様分だったが、信じられない応募数!
数はお知らせできないが、倍率が軽く100倍を超えた、
とだけお伝えしておこう。

こんなに応募が殺到した招待企画は正直めずらしい。
無効です、といっても重複応募をされる方を省いても、
J-WAVE史上でかなり上位にランクされる多数の方からのご応募、
本当にありがとうございます。
厳正に抽選の上、近日発送いたします。
当選された幸運な方は、そのラッキーとともに
5/23武道館へお越し下さい。

なお、この件(当落他)に関してのお問い合わせにはお答えできません。
ご了承下さい。

STAFF| 09:20 | カテゴリー:

おひとりさま大歓迎「主人公は僕だった」2007年05月10日

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この写真は昨夜おこなった「主人公は僕だった」の
BOOM TOWN試写会の開場前の僕とクリトモのヒトコマ。
今回も大勢来場いただき、ありがとうございました。

ちなみに本番では珍しく前方両隅に若干空席ができたのだが、
これは、
お一人で来場された当選者がこちらの予想以上に多かったから。
実は来場者の3割強が「おひとりさま」だったのだが、
これは作品の前評判や性格を反映していたのだろう。

登場人物も多くないし、日本で今が旬といえる役者もいないし、
物語自体も淡々と進むし、コメディではないが、シリアスでもない・・・
しかし映画好きな人には是非見て欲しい秀作なんだなあ。
終わったあと、ひとりでニヤケてしまうタイプの映画だから、
お一人様で劇場に行きたい人も是非!

STAFF| 08:17 | カテゴリー:

敗者復活?「プロヴァンスの贈りもの」2007年05月01日

昨年11月にこのブログで取り上げた
リドリー・スコットの新作「ア・グッド・イヤー」。
配給予定だった20世紀FOXの都合で公開が無期延期になっていたが、
日本の配給会社が角川映画に変更になり、
以前はサブタイトル予定だった「プロヴァンスの贈りもの」が
邦題本タイトルとなって、今夏の日本公開が無事に決まった。
こんな事って珍しいけど、お奨め作なので改めて紹介しよう。

これは南仏プロヴァンスの風の音がとても心地よい秀作だ。
ストーリーは・・・
ラッセル・クロウ演じるロンドンの金融界で活躍するトレーダー。
彼は利己主義で金至上主義、休みもとらず
野心と自尊心が支えという厭な奴だ。
しかし幼い頃はプロヴァンスに暮す叔父と伸び伸びと過ごす純な少年だった。
疎遠になっていた叔父の死、そして広大な屋敷とブドウ畑の相続権があるという
連絡を受けた仕事中毒の彼は、嫌々ながら南仏に飛び、
屋敷も畑も高値での売却を試みる。しかし!・・・  と話は進む。
ここで主人公は人生を豊かに生きる別の道を知っていくのだが、
どうなるかはお楽しみに。

ラッセル・クロウもよく頑張っているのだが、抜群に良いのが
主人公の叔父役として回想シーンで度々登場するアルバート・フィニー。
「ビッグ・フィッシュ」でも本作同様、回想シーンで物語をリードしていく父親役で主役を食う名演技を見せていたが、今回も怪演でインパクトが強い。ゆえに見ていて「ビッグ・フィッシュ」に近い印象を持った。

本筋と関係ないことで気になったことが一つ!
ウディ・アレンのヒット作「マッチポイント」内で、
主人公が暮す舞台となったロンドンの高級マンションがあるのだが、
多分同じ部屋が本作にも出てくるのだ。
ロケ候補地はいっぱいあるはずだが、
リドリー・スコットとウディ・アレンはなぜ同じ部屋(多分)を選んだのだろう・・・

とりあえずは公開が決まったことを喜びたい。
ちなみに字幕監修はソムリエ田崎真也さんだそうです。

STAFF| 06:12 | カテゴリー:

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