期待通り「ディパーテッド」2006年10月31日

あの「インファナル・アフェア」のハリウッド・リメイク版「ディパーテッド」。
全米でも大ヒットしている本作の完成を、僕も待ち望んでいた。

楽しみにしている人も多いと思うから詳しくは書かないが、
結論から言うと期待通り!僕は存分に堪能した。
ストーリーはかなりオリジナルに近いとだけ言っておこう。
(勿論単純なリメイクではないけどね)

さて面白かった・よく出来ている、と感じたのは、
オリジナルが良かったから当たり前なのか、
スコセッシ監督・キャスト達の表現力の賜物なのか、
どちらかは正直判断に迷うところ。
ただ、前者を理由にしてしまうのは、本作に対して失礼だなあと思う。
ゆえに後者として、もう少し分析してみよう。

まず、製作陣が本気でリメイクに立ち向かったということ。
これは豪華かつ実力派の役者達を揃えたことからも伺える。
ジャック・ニコルソンもマーク・ウォールバーグもいつも通り凄いし、
共にくたびれた感じのマーティン・シーンとアレック・ボールドウィンも流石だ。
そして主役の二人、レオナルド・ディカプリオもマット・デイモンも
これが代表作の一つになる事は間違いない。
と、ここまで書いて男優ばかりなのに改めて気が付いた。

そう、これは男の映画である。
ひとりの精神分析女医が重要な役どころとして登場するが、結局は男達の勝手な論理に振り回されてしまうし、全く女性寄りに立って作られていない。
ここで大事なのは男の美学だし、男の生き様だし、男の憧れだし、
マーティン・スコセッシがこの映画で描いているのは
そんな男達の身勝手なのだ。

内容が実生活から離れていればいる程、
憧れ度が高くなると感じさせてくれる、
現実逃避のテンポいい2時間半!
絶対チェック!!してね、と絶賛します。

STAFF| 14:06 | カテゴリー:

鉄チャンの為の「明日へのチケット」2006年10月29日

渡辺祐さんから教わったのだが、
おっさんになると鉄チャン=鉄道ファンになるというのは
僕に関してはその通り!だ。

最近気になっているのはいつも利用している東急東横線の
元住吉駅周辺高架工事と東急目黒線の地下化工事。
遂に休日には車両先頭部・運転席後方に乗って路線の確認をしつつ
元住吉や洗足・西小山駅まで足を運んでしまうほどのオタクになってしまった!

そんな鉄チャンは見逃せない単館公開作品が「明日へのチケット」だ。
もっとも、僕がこの映画を見る気になったのは
宣伝で使われているセルティックのユニフォーム姿の3人組が
大のサッカー・ファンの気持ちを揺さぶったからだったのだが。

これはヨーロッパ鉄道を舞台に3人の監督が
それぞれ少しずつの関連性を持たせながら制作した3話のオムニバス作品だ。
1話目はオーストリアからローマに列車で移動する初老の教授が主役。
彼が車中で気に掛けるアルバニア難民の家族がその少しずつの関連性となり
2話・3話を繋ぐ役を果たすのだが、話自体は独立して進んでいく。

ちなみに3話目の主人公が、チャンピオンズ・リーグ応援のため
列車でグラスゴーからローマまで超長旅中の男子3人組なのだが、
僕のように宣伝に乗っけられ、頭からサッカー映画か?
と期待していると全く違っていて裏切られるので要注意。

さて物語自体は派手な展開も無く、実に淡々と進んで行くのだが、
それは長距離列車の中でのことなので、映画を見るほうも自分自身が
車中で目的地までの暇つぶしで空想や人間観察しているかのような
錯覚を覚えさせてくれる。

決して急がずに、
線路と車体の生み出すリズムに身を任せながらの列車での旅・・・。
これに憧れるようになったら、そして何の変化もなさそうな、
しかしそこから空想が広がる本作が気になりだしたら、
それは正しいおっさんという事なのだろう。
ということで、自分がおっさんだと自覚している人にお奨めします。

STAFF| 10:44 | カテゴリー:

ロードムービー「リトル・ミス・サンシャイン」2006年10月20日

アメリカ人はロードムービー好きだ。
広大な土地、果てしない道を人生に置き換えて、
本当に数多くの名ロードムービーがアメリカから生まれてきたのだが、
この「リトル・ミス・サンシャイン」もそのひとつに加えられるだろう。
といいつつ、これにはシリアスさがほとんど無い。
限りなくコメディか?と思わせる作品で、小ネタ満載で笑えるのだ。

主人公となる家族、アリゾナのフーヴァー家は変った人ばかり。
ヘロイン中毒で老人ホームを追い出されたじいちゃん。
ニーチェを真似て沈黙の誓いを立て、口を一切きかない長男。
ミス・アメリカに憧れる、あまり可愛いとは言えない幼児体型の長女。
自殺未遂をした自称プルート研究者のゲイのおじ。
そんな彼らに振り回される夫婦の計6人は、
子供向けのミスコン「リトル・ミス・サンシャイン」に長女を参加させるため、
遠く数千キロ離れたロサンゼルスまでポンコツバンで旅に出る。

その道中で起こる様々なハプニングが、
如何に家族の絆を強くしていくか・・・を描いているのだが、
それこそ僕が大好きな三木聡作品のような、
超くだらないエピソードも多く登場し、見る者を和ませてくれる。
といってもアメリカ人の笑いのセンスは日本のそれに比べると
かなり大雑把で肉体表現なんだけどね。

過剰な感動を求めずに、気楽に見れる本作のような映画も必要だ。
ちなみに東京国際映画祭にも出展されています。

STAFF| 05:26 | カテゴリー:

あるDJの人生・・・2006年10月17日

昨夜「千手観音」のテレビ放映に感銘を受けた。
ご存じない方に簡単に説明すると、
中国各地から選抜された視覚、聴覚などに障害のある人たちで構成される
中国残疾人芸術団という非常にレベルの高いアーティスト集団がある。
「千手観音」とは彼らの代表作の一つで、
21人の聴覚障害者たちが演じる幻想的な舞踊なのだが、
音の無い世界に生きる彼らは振動や合図をきっかけにしながら、
CGをも凌駕するパフォーマンスを展開するのだ。

踊りを超えて心まで表現する彼らのプロ意識の高さに驚嘆したのだが、
ある意味、そう、ある意味で同じテーマを持つ映画が
「フランキー・ワイルドの素晴らしき世界」だ。

この映画の主人公はヨーロッパのダンス・ムーブメントの中心地イビサで
活躍するクラブDJ、フランキー・ワイルド。
ヨーロッパ中を熱狂させる彼は、女性にだらしなく、
いわゆるヤク中のロクでもない男なのだが、ある日悲劇が襲う。
連日大音量に身を任せている内に聴力を失ってしまったのだ。
自業自得とも言えなくは無いこの事態にフランキーはどう立ち向かうのか。
と、物語は進んでいく。(これは実話ではないそうだ・・・)

自堕落な主人公に感情移入はしなかったが、
どんなダメ男君でも追い込まれれば努力をするし、
フランキーがいかに奇跡の復活を遂げるか…が興味深く描かれていて、
なかなかの秀作である。
そんなことを書いている僕も、この6日間で5夜ライブ!と、
大音量漬けの日々を過ごしていて他人事ではないんだなあ。
一応プロユースの耳栓は使っているンだけどね。

音楽映画だと思わずに人間物語りとして見ると
結構いい味出してるので、気にしていてください。
フランキー・ワイルドの素晴らしき世界」公開は12月です。

STAFF| 04:34 | カテゴリー:

「フラガール」の凄いクチコミ効果2006年10月12日

本物のヒロシが今日午前J-WAVEにいたのを見て喜んだ
J-WAVEのヒロシです・・・
(久しくこの名前使っていなかったけど、毎回僕が書いています)

最近色々な人に「お薦めの映画は?」と訊かれる度に
フラガール」!と答えている。
ちなみに先週末も親戚に薦めたら、感動で大泣きして帰ってきたが、
世の中のあちこちで同じことが繰り広げられていてヒットしているそうだ。

実は「フラガール」業界では、
公開劇場数が多すぎて客が集中せず満員感がないとか、
西日本ではコケているとか、
前評判がぶっちぎりに高かったのに、
期待どおりには動員に繋がらずに苦戦していたようだが、
僕のように見た人の満足度はかなり高く、また人に薦めたくなる作品なので、
公開4週目を迎えてロングランになる気配大!

こういった優秀な映画がヒットするとうれしくなるねえ。
まだの人はジェイク・シマブクロのサントラと併せて是非!!

STAFF| 06:16 | カテゴリー:

必見!「父親たちの星条旗」 しかし・・・2006年10月05日

今夜ミスチルのピロウズとの対バン@ZEPP TOKYOに行った。
進化するミスチル、やっぱり凄い。
会場にはレミオロメンの3人やGLAYのJIROの姿も。
そういえばマドンナ@東京ドーム、僕の近くには江角マキコ、観月ありさ、押切もえetc!そしてジェイク・シマブクロ@川崎チッタでは松雪泰子が!!
スターと言われる人達も結構普通にライブに行ってるねえ。

さて本題である。
クリント・イーストウッドが硫黄島を題材に2作品同時制作していたのは、
様々な報道で知っている人も多いだろう。
その1本目、アメリカ側からの視線で撮った「父親たちの星条旗」を見た。
必見の作品だと思う。そしてとても複雑な心情を抱かせる映画だった。

第二次世界大戦、いわゆる太平洋戦争末期、硫黄島は日米激戦の地となり、日本兵約2万千名・米兵約7,000名と信じられない数の命が落とされた。
悲劇という意味で、そこはまさに象徴的な場所である。

日本との激しい戦闘の末、1945年2月23日アメリカ兵士達は硫黄島の小高い丘に勝利の証として星条旗を立てるのだが、その瞬間を捉えた「空前の一枚」の写真が全米を熱狂させたのだった。
米新聞各紙は競ってその写真を一面で取り上げ、戦地の悲惨さを覆い隠すように、旗を立てた兵士たちを英雄化する。そんな戦勝ムードの中で帰国した3名の兵士たちは、真実とは違う、作り上げられた「武勇伝」で祭り上げられ、戦費を捻出するためのアメリカ国債キャンペーンのシンボルとして駆出される。
矛盾を抱えながらも、早く戦争を終わらせたい想いもあり、国民的英雄を演じ続ける3人にフラッシュバックするのは、硫黄島での耐え難い戦場の凄惨さだった・・・。

と粗筋を書いくだけでも辛くて泣けてくる戦争の現実を、イーストウッドは無表情なまでにモノクロやセピアカラーを使いながら淡々と描いていく。
ただし戦争モノといっても、本作は9.11以降多く作られた「アメリカの正義のためなら戦争も仕方なし」、といった軍国主義を正当化した映画とは全く違う。さらに僕には反ブッシュとさえ思える反戦作品だった。また加えてアメリカに根深く残る人種差別への非難メッセージを含んでもいる。

さて感動する映画の多くは主人公たちに素直に感情移入していくものだが、
この作品ではその行為が我々に複雑な感情を抱かせるのだ。
なぜなら主人公たちが命を守るため戦い殺してしまう相手は日本人だから。
この現実がある以上、僕は感涙を流すことはなかった。
しかし、主人公に憎悪も持たなかったのも事実。
それは反戦というイーストウッドの強い主張が明確だからに他ならない。

試写の後、僕は彼が日本側の視線で作ったもう一方の作品、
「硫黄島からの手紙」を一刻も早く見たいと思った。

STAFF| 15:57 | カテゴリー:

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