2010年10月24日

読食の秋とする。其の六。

 これはもう、真打ち登場。言わずと知れた男のお作法の先生、山口瞳さんの一冊。

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『行きつけの店』
 山口瞳

 銀座の[鉢巻岡田]に始まって、浅草、由布院、地元・国立、横浜、金沢、小樽、倉敷……と、山口さんが行きつけの店を訪ね、その店の名物を肴に、呑み、喰い、語る。

 そこにあるのは味と人。料理の旨さは言わずもがなの名店ばかりですが、「人柄」や「気働き」や「佇まい」も店の内。そして「客」も店の内。その視点は、ワタシにも影響大。「マニュアル」や「店員教育」や「開発」で、ある程度のことはできるとしても、できないことが書いてある。それが「味」があるということかしらね。

 ちなみに単行本も持っていて、文庫も持ってます。どんだけ(笑)。単行本版は平成5年(1993年)刊行なので、残念ながらもう仕舞ってしまったお店もあるようですが、でも、上に書いたように、これはお店ガイドなのではなく「お客の流儀」が書いてある本だから、今でも、何度でも読み返せる。

 この本を含め、山口瞳さんの著書で学んだことを21世紀に応用して活かせればいいと思って生きているようなフシがありますな、ワタシ。でも、それを目の前の誰かに説明するのが面倒臭い年齢になってきてしまった。説いてわかると踏んだ相手以外には。だから、たいていは黙ってその「味」を食(は)んでますので、そこんとこは邪魔しないで欲しいやね(笑)。

TASK WATANABE| 07:51 | カテゴリー:CULTURE


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