おくだ健太郎・歌舞伎ソムリエです。
お正月の歌舞伎公演、きょうは新橋演舞場の話題。
ひるの部(11時開演)の
「寿曽我対面」(ことぶき そがの たいめん)について。
初曽我(はつそが)といって、これは、
俳句の季語にもなっているくらい、お正月の歌舞伎を象徴する一幕です。
曽我十郎・五郎兄弟、という人気キャラが、江戸の芝居には、ありました。
この兄弟、幼いころに討たれた父親の、かたき討ちを、
18歳に成長してから見事果たした、鎌倉時代に実在した2人です。
それが、江戸の芝居で、とにかく観衆の支持を得たんです。
とくに、弟の五郎。やんちゃで暴れん坊で、
強い相手に立ち向かっていく姿が、大人気だったんですね。
廓を舞台にあばれまくり・モテまくりの助六というキャラがいますが、
あれも、「正体は曽我五郎」という設定になってるくらいですから。
で、「対面」の一幕ですが、これは
親のかたき・工藤(くどう)という大名の、新春の宴に、
兄弟が目通りをゆるされて、ここで初めて2人は工藤の顔を知る、
という場面なんです。
やんちゃな五郎・・・荒事(あらごと)の歯切れ良い役者
おだやかな十郎・・・和事(わごと)のマイルドな役者
威風堂々の工藤・・・座頭(ざがしら)格の大看板役者
宴をいろどる遊女たち・・・女形のスター
という感じで、歌舞伎の主だった役柄を、一同にそろえた配役になります。
お正月のテレビ特番で、そのときの芸能界の人気者が
ずらりと顔をそろえる。。。あの雰囲気とおなじです。
江戸には、幕府公認の芝居小屋は3つあったんですが、
原則として、3座すべてが毎年、曽我兄弟の新作を、
正月〜5月末にかけて、3回公演に分けてロングランしたんです。
で、正月公演のフィナーレは3座とも、「対面」の趣向でした。
「ついに親のかたきと対面した兄弟。かたき討ちはかなうのか?
さぁその結末は。。。つづきはぜひ、3月公演で!」
てなかんじで、役者衆が勢ぞろいで「対面」の舞台を演じることで
「今年もぜひご来場を」と呼びかけていたんですね、観客に。
工藤・中村吉右衛門
五郎・坂東三津五郎
十郎・中村梅玉(ばいぎょく)
をはじめ、今回も魅力的な配役で、平成の「初曽我」。ご堪能ください。
1/2〜26 の公演です。
(この一幕、イヤホンガイドを担当しますので、
よろしければお聞きくださいませ)