こんばんは、『東京スカイツリー』の設計デザインを担当した日建設計の吉野繁です。
従来、電波塔として使われてきた東京タワーの周辺に高層ビルが建ち並んだので、もっと高いところから電波を発信しようという意図で作られたのが東京スカイツリーです。国内では300mクラスまでのビルしかなかったので、634mという高さは設計も施工も未知の部分があり、苦労もありました。
たとえば上空300m以上の風の記録が日本にはありません。そこで気球を飛ばして風の強さを計ったりもしました。結果的に国交省が出しているグラフに近い値だったんですが、最大級の台風が来ると上空では毎秒120mくらいの風が吹きます。その風にも耐えられるような設計をしました。
クライアントである東武鉄道さんと初めてお会いしたのは2005年のお正月でした。普通は「何階建てのオフィスを」などと依頼されるものですが、東武鉄道さんは「時空を超えた風景を作って下さい」とかなりザックリとした依頼をされ、出席した設計事務所の面々が皆「???」と戸惑いながら帰ったのを覚えています。
大きな地震が起こった時はテレビが重要な情報源となるので、電波塔はテレビ放送がちゃんと発信しつづけられる事が求められます。それをはるかに超える巨大地震なら倒れないことが絶対条件です。そこで奈良の法隆寺の構造を参考に、塔の中心に心柱(しんばしら)を据え、心柱の揺れと周りの鉄骨の揺れ方が違うことで、お互いに揺れを吸収しあう制震構造を採用しました。
ちなみに「傾いて見える」という噂は三角形特有の目の錯覚です。たとえば錦糸町から見れば傾いているようには見えないんですが、浅草や曳舟の南あたりから見ると傾いて見えます。機会があったら注意してご覧になって下さい。