あけましておめでとうございます。演劇コンシェルジュの出雲あきらです。私の今年初の観劇はミュージカル「ドロウジー・シャペロン」です。2006年のトニー賞では作品賞こそとらなかったものの主要5部門を受章した作品で、私も最近のブロードウェイ作品の中では大好きな作品の一つです。しかも、私が今のブロードウェイで最も好きな女優のサットン・フォスター(「モダン・ミリー」の主演でトニー賞を受賞した)が出演していた作品でもあります。ところが、今回の日本版ではその役を藤原紀香が演じる?聞いた瞬間、唖然としました。あのトニー賞女優が演じた役を、初ミュージカル出演の人が演じられる訳がないと。
結論から言うと、藤原紀香は健闘していました。今回の日本版で最もウィークなキャストと思っていたのですが、意外や意外、歌も演技も私が思っていた以上で、本人は相当な稽古を重ねたことと思われます。これに関しては拍手を送りたいと思います。ところが、ブロードウェイでは大変ノスタルジックに浸れて、最後は感動の涙を流せた作品にもかかわらず、残念ながら今回の日本版は泣けませんでした。なぜなんだろうとずっと考えていたのですが、狂言回しの小堺一機に原因がありそうです。この役以外の登場人物はすべて架空のミュージカルの世界の人で、唯一、観客と会話をし、観客が思い入れをするのがこの狂言回しの役。キャスティングを聞いた時になんてピッタリの役だろうと思ったのですが、セリフが聞き取りづらいし、抑揚もあまりなく声の大きさも一辺倒で、残念ながら感情移入ができませんでした。
正月早々、相変わらず厳しい意見を申し上げてしまいましたが、とはいえ、正月にふさわしい楽しい作品には違いありません。藤原紀香を見るだけでも劇場に足を運ぶ価値があるミュージカルです。 1月29日まで、日生劇場にて。