2017年03月19日

BOOK STAND 柳澤健さんが登場!

WEB本の雑誌とのコラボ企画『BOOK STAND』。
毎回、著名人のお気に入りの一冊を伺っています。

今週はノンフィクションライターの柳澤健さん登場です。
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柳澤さんは文藝春秋社の「Number」編集部を経て、2003年に独立。
これまでの著作は『1976年のアントニオ猪木』『1985年のクラッシュ・ギャルズ』『1964年のジャイアント馬場』『1974年のサマークリスマス 〜林美雄とパックインミュージックの時代〜』などがあります。
そして今年出版された最新刊『1984年のUWF』では、初代タイガーマスクの佐山聡や前田日明らが所属していたプロレス団体を徹底取材。
プロレスファンだけでなく格闘技ファンを巻き込んで大きな話題になっています。

今回は柳澤さんが「今の自分をつくった3冊」を紹介してくださいます。
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今夜はその2冊目です。

わかっていても信じたい
今夜ご紹介するのは岸田秀「ものぐさ精神分析」という本です。この本も1977年ぐらいに出ていて、結構ベストセラーになっていて、

一言でいうとこの本は「全ては幻である」という本なんですよ。

男も女も国家も時間も空間も全ては人間が生み出した幻である、と。
で、なぜ人間はそんなものをつくらないといけないかというと、鯨からミジンコに至るまで全ての生き物は「本能」を持っていると。で、その本能によって世界の一員になっているんだけども、人間は本能が壊れてしまった、と。だから普通は馬だろうが牛だろうが、ネコだろうが、生まれてすぐ動き出せるんだけれども、人間は未熟児の状態で生まれてしまったから誰かに世話をしてもらわないと生きていけないと。
その段階で本能が壊れるのである、と彼は主張するわけですね。
で、その本能が壊れた人間がどのようなへんてこなことをするか、と。
人は生まれて、特に母の影響を強く受ける・・・岸田さん自体が母の影響を強く受けて、深く傷つくんですね。で、その母の支配からなんとか脱しようと思って、母は自分のことを愛しているというふうな前提に基づく証拠と愛していないという前提に基づく証拠をいろいろと集めてノートに書くんですよ。で、その書いてみた結果、冷静に考えてみると、母は自分のことを利用しているだけだっていう恐ろしい結論に辿り着いてしまうと。
苦しいわけですよね、母親が自分を愛していないという前提を認めるのは。
そんな中で彼は、学者のフロイトの精神分析によってなんとか解消しようと思うわけです。
例えば母が子どもを育てるのは、もう本当に愛情だけだってみんな思いたいわけですけど、年とった自分を世話してくれる人がほしいとか、向こうは向こうで自分の利益のために動ていると思えば、絶対視しなくて済むわけですよね母親の愛情を。
僕自身もちょっと母親のことで悩んでいた時期があったので、それは非常に解消された部分がかなりあります。

BOOK BAR staff| 00:40 | カテゴリー:BOOK STAND


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