2015年12月20日

BOOK STAND 田崎健太さんが登場!

WEB本の雑誌とのコラボ企画『BOOK STAND』。
毎回、著名人のお気に入りの一冊を伺っています。

今週はノンフィクション作家の田崎健太さんが登場。
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今週はノンフィクション作家の田崎健太さんが登場。
田崎さんは1968年京都市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、小学館に入社。
週刊ポスト編集部などを経て1999年に退社。
その後はノンフィクション作家として『CUBAユーウツな楽園』
『ジーコジャパン11のブラジル流方程式』『楽天が巨人に勝つ日』
『偶然完全 勝新太郎伝』などを執筆されています。

今回は田崎健太さんが最新著書『真説・長州力 1951-2015』執筆にあたって
参考になったという本を3冊選んでもらいました。

長州力.jpg

今週は、その3冊目です!


「取材される人間は必ず嘘をつく」

井田真木子さんの「プロレス少女伝説 新しい格闘をめざす彼女たちの青春」です。
井田真木子さんは、十数年前に早くして亡くなられた方なんですが、
この「プロレス少女伝説」というのは、神取忍さんだったり
中国籍の女子プロレスラーとか、女子プロレスラーに密着して
女子プロというものは何か?ということを書いている名作中の名作!
当然僕も昔から読んでいたんですが今回長州力さんの本を書くときに
プロレスをどう描くか参考にしたくて読み直したら、
やっぱり良くできているんですよね。当時、この本を書いた時井田さんは
30代でしょうけど、文章も上手いし神取忍さんにずっとくっついて
本年を言わせる、そのやっかいな神取忍さんとどう向き合うか…
やっぱり凄いなと改めて思いましたね。
僕は井田さんと仕事をしたのは1回だけなんですけど何回か一緒に飲みに
行ったりとかお話を伺って、僕が小学館を辞める時もお手紙をもらったり
したんですけど、彼女がいつも言っていたのは「取材される人間は必ず嘘をつく」
というのが彼女の教えだったんです。
だからいかに嘘をつかせないように自分には真実を話せるようにどうやって
巻き込んでいくか、実はこれが井田さんがめちゃめちゃ上手い手法で
まさにこの「プロレス少女伝説」なんていうのは、神取忍さんだったりとか
女子プロレスラーを井田真木子ワールドに引き込んで舞台に上げて
話を聞いているんです。プロレスっていうのは色々秘密があるので取材するのが
難しい上に女子となるとまたちょっと難しいですよね。
だからそこを井田さんが掘り起こして、そして「神取忍」という女子プロの中の
異物を上手く描いた非常に面白い作品です。
そんな神取忍さんの言葉をこう書いています…

あのね、私、柔道やってたじゃん。
だから、勝負に負けるときっていうのはさ、
最初に、心が折れるってこと知ってたんだよ。

この「心が折れる」ってのはここで使ってるんですよ。
これもやっぱりまさに誠実な井田さんらしい、神取忍という人間をきちっと
その会話を使いながら「心が折れる」…うん、結構ちゃんと書いてるなって
改めて思いましたね。あの僕は、井田さんだけは敵に回したくないなぁって
思うぐらい緻密で綿密な下準備、そして…なんて言うかな、
その自分の土俵に上げるテクニックってものは凄いものがあって、
改めて読むとやっぱりなかなか凄いですよね。

BOOK BAR staff| 00:30 | カテゴリー:BOOK STAND


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