2015年09月27日

BOOK STAND 鵜飼秀徳さんが登場!

WEB本の雑誌とのコラボ企画『BOOK STAND』。
毎回、著名人のお気に入りの一冊を伺っています。

今週からは日経ビジネスの記者、鵜飼秀徳さんが登場。
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鵜飼さんは京都のお寺に生まれ、実家の副住職も兼務するという
異色の経済記者です。
全国の寺の存続危機を記した著書「寺院消滅」、たいへん話題になり、
経済書としては異例の売上げを記録しています。
寺院消滅.jpg
今回は鵜飼さんに「自然と人間」をテーマにした本を3冊選んでもらいました。

今週は、その3冊目です!

心でとらえたものをキャンバスに投影したもの

東山魁夷「日本の美を求めて」。
日本画家の巨匠、東山魁夷さんが日本の風景…
目で見た風景というよりも心象風景について書かれた本です。
つまり、心の目で見る。
ここに書かれている中に、奈良時代の高僧、鑑真が日本に来たときの
様子がかかれています。彼は瀬戸内海を通って6回目のチャレンジで
ようやく日本に到達するんですがその時に視力を失っている。
その光を失った中でも瀬戸内海に入り大和に入っていく時の様子が
彼の目には、非常にくっきり見えていたということが書かれています。
実は、あまりエピソードは載っていないんですが奈良の唐招提寺の話とか
そういった事も書かれていますが、日本の風景、日本の自然、そして色彩。
そういった抽象的なものをテーマに描いているんです。
もう、自分の心の中を描いているといっても過言ではない。
ですので、一見本としては捉えどころのない作品。
ただ、読んでいて非常に心地が良い、そんな本です。
東山魁夷さんの絵は淡い。中学の頃、国語の教科書で「道」という
ただ一本の道がキャンバスの真ん中を通ってその両脇はただの草むら
しかもその草むらのディテールは描かれていない。
緑一色に塗られている…これは、おそらくモチーフになっている場所は
あるんですけども、東山魁夷さんがおそらく目で見るんですが、
同時に心でとらえたものをキャンバスに投影したものだと私は考えています。
私は、東山魁夷さんの絵をそれで好きになったんですが、そういう点では
人間の心の様っていうのかそういったものをもう1度考えてみるというか
本当に日本人が今大切にしなければいけないもの、つまり目で見てそれだけを
信じるのではなく…、こういう時代だからこそ心のあり方とかそういったものを
もう一度見つめてみるということがこの本を通じて学び直せると思います。

BOOK BAR staff| 00:32 | カテゴリー:BOOK STAND


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