2014年08月30日

BOOK STAND 大野更紗さん登場!

WEB本の雑誌とのコラボ企画『BOOK STAND』。
毎回、著名人がお気に入り一冊から印象的な一行を紹介してくれます。

今週からは、作家の大野更紗さんが登場。
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大野さんは大学院生のときに民主化運動や人権問題に関心をもち、
勉強していたところ、2008年から自己免疫疾患系の難病にかかり闘病生活がスタート。
ノンフィクション作家の高野秀行さんにメールで相談したことがきっかけで、
闘病日記「困ってるひと」のWEB連載が始まります。
その連載が好評を博し書籍化も実現。20万部を売り上げるヒットを記録しています。
そして、この夏、待望の新刊「シャバはつらいよ」が出ました。

シャバはつらいよ.png

今週は、大野更紗さんがお気に入りの本を紹介してくれました。

簡単には希望は見いだせない…。

「その後の不自由―「嵐」のあとを生きる人たち 」という1冊。
著者の、上岡春江さんと大嶋英子さんは、トラウマをもった人達や
DVの被害者のシェルターで援助したり暴力にあった人たちを支援する
グループの方々が書いた本。この本に書いてある事とは、
「その後の人生をどう生きるべきなのか」「どのように生きののびるのか」を
これまでにないやり方で書いている。医学書院からでている「ケアをひらく」
シリーズなんですが、そこの名物編集者の白石さんが1人で作っているような
非常に不思議なシリーズなんですが、例えばなんらかの依存症の人、
薬物とかアルコールとか様々あると思いますが、自分が依存症の状態の時に
健康な人と付き合うとどうやらすごく寂しいと感じるらしいんです。
相手とぴったり重なりあう「ニコイチ」の関係を望んでしまう。
それは男女の関係だけではなく、自分以外見ないでほしいとか、自分以外と
喋らないでほしいという気持ちが出てくる。でも、健康な人は「ニコイチ」の
関係にはなってくれないそこで大暴れしてしまう。
そういうことが坦々と当事者研究として書いてある。読んでいるこちらは
依存症の人はそういう構造で暴れるんだと知る。


なかでも印象的だった一行は、

一見合理的で洗練されているかのように見えるそのモデルを眺めても
私はそこに希望をあまり見いだせないでいます。
むしろ、バタバタと慌ただしい日常の支援の中で本人達がやらかす
「まったくもう」と思うようなトラブル、そのトラブルの質がふっと
変わっていることに気付く瞬間に希望を見出すのです。

この本の中には、希望を見出すことはそんなに簡単じゃないと
何度もでてくる。でもその事自体に希望を見出すしかないと書いてある。
じゃ、どうすればいいんだ!という気持ちになるんだけど、
じたばたしてでもちょっとづつ進んでいこうという人がいる事が伝わってくる一行です。

BOOK BAR staff| 23:39 | カテゴリー:BOOK STAND


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