2010年09月27日
ヘヴンズストーリー
人間が自分以外の人間を一度も憎まず死んでいくことなどできるだろうか。
よほど幼くしてこの世を去っていく子供は例外として、
人間は一瞬にしろ、それが「本気でない」と思ったにしても、
「殺したいくらい」他人を憎むことがあると思う。
私のような温厚に見られている、
と本人は思っている人間でも何度かある。
具体的にいつ、何故、誰をと問われても
思い出せなかったりはするのであるが。
我々は常に幸せと憎しみが裏表の世界の中で生きている。
愛している人々が見知らぬ誰かに殺された時に、
誰も憎まず、心穏やかにいられるはずがない。
憎しみはエネルギーを消耗するが、
さらに、憎しみは憎しみを呼ぶ。
内乱、紛争、戦争は憎しみの連鎖である。
「愛している人を守るために」「敵」を殺しに向かう。
愛する人を殺された「善良な市民」は銃を持って立ち上がる。
それがいつの間にか、何のために戦っているのかわからなくなっても、
誰もいなくなり、憎むエネルギーを失うまで殺戮は続くのである。
ああ、人間でよかった。愛するものを失ったら、
生きる証明として敵を殺しにいけるもんな。
敵を殺すということは、
愛する人、愛する故郷、愛する祖国を守ることだといってる人いるもんな。
他の地球上の生物でこんなことありえないもんな。
このヘヴンズストーリーの監督、瀬々監督は
愛と憎しみの表裏一体の矛盾について、ずっと考えていたのではなかろうか。
私はいつも同じようなことを考えている。
殺すことの意味、殺されることの意味
(正確には殺された人が近しい人に与える影響)、
復讐で得られるもの、復讐で捨ててしまうもの、
そして、愛するということの意味。
私が勝手に決め付けたこの映画のテーマである。
こんな話、2時間くらいでチョチョイとこなせるものではない。
映画は10分の休憩を入れて4時間48分続く。
恐くなるくらい時間の経過を感じない。
どろどろの苦しさを感じさせずに、
この映画を見せきった監督の技量に驚いた。
「憎しみ」について普段から考えている人、
誰も憎んだことなどないと勘違いしている人、
この映画に答えがあるかどうかは知らないが、
是非足を運んでいただきたい。
長かったといえば最近は「愛のむきだし」が4時間近くあったが、
それを越えましたね。
トリビア用に長い映画を調べてみました。
結構長いのが1985年に作られたクロード・ランズマン監督による
フランス映画「SHOAH」(ショア)。9時間半です。
ナチスのユダヤ人虐殺の真実を追ったドキュメンタリー映画。
世界で一番長いのは、1987年のアメリカで作られた、
ジョン・ヘンリー・ティミス4世監督の「The Cure For Insomnia」。
詩の朗読にポルノやヘビメタのビデオが挿入された映画だそうです。
そりゃ寝るわな。87時間。
この映画は一般向けには売られていないそうです。
何年かに一度、上映されるらしいので、
どうしても見たい人は日々、目を凝らしているように。
10月2日より公開。
映画『ヘヴンズストーリー』公式サイト
大倉














